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電車での温もり

いちゃいちゃが書きたかった(かけなかった)

いつも以上に拙いですが、心を広くしてお読みください。

夏休みも終わり、今週からは二学期が始まっている。

HRが終わり、あとはもう家に帰るだけなのだが、うだるような暑さに負け、私は冷房が効いている教室で机に伏せていた。


「あー、教室から出たくない……」

「まだまだ暑いものねぇ」


帰り支度を終わらせた真悠子に声をかけられた。伏せていた顔を起こし、机の上に組んだ腕に顔を載せる。

窓の外の景色を見ると、晴れ渡る青空。絶対暑い。


「なんか冷たいもの飲みたい…」

「あれ?宥香飲み物なくなったの?」


そうなのだ。家から持ってきた水筒の中身は空っぽ。あんまり大きくないから夏場は飲み干してしまうことが多い。新しい水筒買おうかな。

うん。と答えるようにうなずくと、真悠子はカバンからペットボトルを出した。


中身が凍ってる……?

私が出されたペットボトルに対して疑問符を浮かべていると、飲む?と差し出してくれた。


「飲む飲む!これ何味?」

「水。かっこオレンジ味」

「わぁ!おいしいよね、このシリーズ。じゃあ、少し貰っていい?」


私がそう言ってペットボトルに手を伸ばそうとすると、首にヒヤッとした感触が走った。


「っひゃあ!つめたっ…」


反射的に首元を抑え、驚いて真悠子を見ると笑いながらゴメンゴメンと謝っていた。

どうやら凍ったペットボトルを私の首にあてたらしい。


「暑いっていうから少しは涼しくしようと思って」


脇は毛細血管がたくさんあるからそこを冷やすと体全体が冷えるとかは聞くけど、首元もだったっけ?

まぁどっちでもいっか。

今度こそは手渡されたペットボトルを手に持ち、ふたを開けて飲む。

冷たくて生き返る。


二口、三口飲み真悠子に返し、お礼を言う。


「ありがとー」

「いえいえ、どういたしまして」


少しの間、真悠子としゃべっていると、不意に真悠子の視線が上の方を見た。

気になってぐるりと後ろを向くと、そこにはソウ君がいた。


「あれ?もう学校出る時間?」


そう言いながら時計を見ると、確かにもう学校を出ないと電車の時間に間に合わなくなりそうだ。

慌てて席を立つ。

慌てて席を立った私に、ソウ君はゆっくりでいいよと声をかけてくれた。優しい。


「飲み物ありがとね!ばいばーい」

「じゃあね、宥香。気をつけなさいよ」


真悠子に挨拶をし、カバンを持ってソウ君の隣に並ぶ。


「ごめんね、待たせちゃったかな」

「いや、大丈夫」


いつも通りに聞こえるけど何だろう、なんか違和感……。

心なしか歩くスピードも速いし、耳元が赤い?もしかして…


「ソウ君、熱中症?」

「え、熱中症ではないけど、なんでそう思ったんだ?」


私は、さっき感じた違和感を話す。


「あー、それは、自己嫌悪に陥ってただけだから気にしないでもらえると助かる」


自己嫌悪とは。


「何かあったら相談に乗るよ?」


そう伝えると、ソウ君は複雑そうな顔をしてわかった。と言ってくれた。




そうこうしているうちに駅に着いた。電車が来るまでは後もう少しだ。

ホームに並んで電車を待つ。

並んでいる人数は少なく、これなら座れるだろうと少し期待した。


電車に乗り込むと、ホームと電車内の寒暖差があり、体がぶるりと震えた。

さ、寒い…。冷房効きすぎでは?

電車降りるまで体が冷えないといいけど…。


空いている席を探して二人で腰を下ろす。


数分後。

寒いのはちょっと我慢すれば慣れるかなって思ったけど、やっぱり慣れず、両腕をさするしかない。


「宥香、寒い?」

「…ちょっと寒い」


両腕をさすっている私に気が付いたのか、ソウ君が声をかけてくれた。

ちょっとごめんな、と言ってソウ君は私の頬に手を伸ばした。

ソウ君の暖かい手に触れられた箇所がじんわりとあったかくなってくる。


「ソウ君の手、あったかくてきもち―ね」


私は無意識に、添えられた手に自分の手を重ね、ふにゃりと笑う。

ソウ君の手は暖かくて、少しごつごつしていて。

ふわふわした気持ちのまま猫のようにすり寄る。すり寄った時に、また手の温度が上がった。

あれ、ソウ君ってこんなに暑がりだった?


不思議に思ってソウ君を見上げると、なぜか顔を赤くしていた。

そこで私は自分が何をしていたのか思い出す。


・寒いと両腕をさすっていたら、頬に手を添えられる。

・その手が暖かくてすり寄る。


ひええ……!なんか私、すごいことしてしまっていた。


「ごめんなさい。ごめんなさい…!」

手を離し、電車のなかなので小声で謝る。


ソウ君は心ここにあらずといった感じでぼーっとしている。

私が謝り倒していると、ソウ君は、顔を赤く染めながら

「こっちこそ、ごめん。……ちょっと役得だったかも」

と謝った。でも最後の方は慌てている私には聞こえなかった。



あああ……!電車の中という衆人環視のなかで私は何をしているんだ…!


ちらっと見た限り、私たちと同じ制服を着ている人はいない。

でも、明日からこの車両乗りづらい……。


お互い真っ赤になった私たちは、最寄り駅に着くまで一言も発しなかったのであった。



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