寝ぼけて
最近、異世界転生タグをつける基準がわからなくなってきた
「私たち今日帰るの遅くなるから夜は自由でいい?」
朝ごはんを食べている時にお母さんから告げられたのは 今日のご飯は自由 ということ。
自由となると、何を食べてもいい。家にストックが置いてある即席めんを食べてもいいし、冷凍食品を食べてもいい。もちろん冷蔵庫にある食材を使って自分で何かを作ってもいい。
まぁ、私が食べるのはもっぱら即席めんか冷凍食品だ。
いや、自分で作れないわけではないんだよ?でも一人分となると面倒だし…
「わかったー。今日何時ごろに帰ってくるの?」
「そうねぇ……。今日の仕事が七時までだから…八時から九時くらいには帰ってこれると思うわ。もしかしたらお父さんの方が早く帰ってくるかも」
なるほど。
朝ごはんを食べ終わって準備を終わらせて少ししたら、もう家を出る時間だ。
お母さんに帰ったら洗濯物お願いね、と伝えられ家を出る。
ドアを開けると隣の家からもドアを開ける音がした。
お隣から出てきたのはソウ君だ。おはよう、と声をかけ隣に並ぶ。
「おはよう、宥香」
いつも通り挨拶を返してくれるソウ君。そこから今日の授業がこうだ、今日の英語はあてられたくないなどいろいろな話をしながら歩く。
あ、そういえば今日の夜何食べようかなぁ。お母さんは確か冷凍庫にオムライスあるって言ってた。それにする?それとも久しぶりにラーメンかなぁ。なににしよっかなぁ
朝から夜ごはんの話してるけど、別に食い意地張ってるわけでも食いしん坊キャラでもないからね!?
早い段階から何食べるか決めとかないと何も食べたくないって思っちゃうんだよねぇ。
そういうの割とない?おいしいものは好きなんだけどそれがいまいち食欲につながらないというかなんというか…?何言ってるかわかんない?
とりあえず私も何言ってるかわかんない。
「―――宥香?ぼーっとしてるけどどうかした?」
「えっ?私そんなにぼーっとしてた?」
「ああ、いやずっと生返事だったからどうかしたのかと思って」
夜ごはんのことを考えているだけでそんなに生返事をしていたのか…。
え、私自分が知らないだけでそんなに食い意地張ってた?いや違うよね?うん、多分…?
「えっとね、今日の夜ごはんのこと考えてたの。何食べようかなぁって」
「なんで夜ご飯?」
「今日お母さんとお父さん帰ってくるの遅いから夜ご飯自由なんだー」
「そうなのか」
というや否やものすごい速さでカバンから携帯を取り出しなにか操作をするソウ君。
……えっ?どうした?
「そ、ソウ君?どうしたの?」
「宥香、今日俺の家で晩ご飯食べないか?」
「い、いやそんなの悪いし別に私一人でも…」
「母さんが久しぶりに宥香とご飯食べたいって」
「え、いやでも……ほら、いきなり一人分増えるのは紫織さんも大変じゃない?」
そうだよ。簡単にいうけど食事一人分増えるって結構大変なんじゃない?いや私もそんなわかんないけど。
「大丈夫。今日カレーだから」
ソウ君の家のカレーっておいしんだよなぁ。昔ソウ君の家に泊まった時に食べたカレーはめっちゃおいしかった。
なんて考えていたら紫織さんがお母さんに連絡を入れたらしく、私は今日の夜は田島家で食べることとなった。
学校が終わってソウ君の家に直行、というわけではなかった。ほら洗濯物頼まれてたしね。
紫織さんには六時くらいに家に来てと言われたのでそれくらいに向かうことにした。
インターホンを鳴らして田島家に入る。ちなみにドアは開けておいてくれていた。
「いらっしゃい、宥香ちゃん。最近は会うことも少なかったわよねぇ」
「おじゃまします、紫織さん。最後に会ったのって四月くらいでしたっけ」
「あ、立ち話もなんだし、座って座って」
そう言われてソファに腰を下ろした。
話すのは学校のことが大半。ソウ君はあまり学校の話はしたがらないようだ。
いろいろと話していたらもうすぐお米の炊ける時間だ。
紫織さんは今から仕上げに取り掛かるようだ。手伝うことないかなぁ。
「そうだ宥香ちゃん、奏太を呼んできてくれないかしら。あの子の部屋、入っちゃっていいから」
私のミッションはソウ君を呼ぶことになった。
ソウ君の部屋は二階の一番奥にある。
部屋のドアをコンコンとノックする。返事がないから寝てるのかなぁ。
「そーくーん?紫織さんがご飯もうすぐでできるから降りてきてだってー」
部屋の外から呼んでも返事がない。寝てるなら起こしたほうがいいよね…?
部屋に入ってもいいのかなぁ。
私たちは幼なじみだけどそんなに個人の部屋に入ることはない。家に行ってもだいたいリビングにいることが多い。
……起こさないとだよね。よし、入ろう。
失礼しまーす、といいながらソウ君の部屋に入る。
けっこう片付いてるんだなあ。あ、でも人の部屋をじろじろ見るのはだめだよね。
部屋を見回したい気持ちを抑え、ソウ君を探す。
…あ、ベッドが膨らんでるから寝てるのかな。
私はゆっくりとベッドに近づく。
やっぱりソウ君はベッドで眠っていた。
……それにしてもソウ君の寝顔かわいいな。いつもは大人びた感じだけど寝顔は年相応だ。
「ソウ君起きて。もうすぐで夜ごはんできるよ」
床に膝をつき、ソウ君を揺り動かす。
…うーん、なかなか起きないな。もう少し強めに揺さぶる?
何度か声をかけていると身じろぎをしだした。
「……ん」
「ソウ君おはよう。ご飯できてるよ」
「……あれ、ゆか…?なんで…?あ、ゆめ……」
「ゆ、夢じゃないよ!現実だから!」
そのまま夢の世界に行ってしまいそうなソウ君に慌てて声をかける。
その勢いのままベッドに身を乗り出して起こそうとすると、いきなりバランスを崩してソウ君の方に倒れかかった。
バランスを崩したのはソウ君が私の腰に手をまわしたからだ。
「そ、ソウ君!?ど、どうしたの?どんな夢見てるかわかんないけどとりあえず起きよう!?」
叫ばないとやっていけない。
だって、抱きしめられた時の私とは違う硬さとか間近で見るソウ君の顔とかを意識してしまうから。
今、絶対に私の顔は熟れたリンゴのように真っ赤だ。
私の叫びで目が覚めたのか、ソウ君の目が開いてきた。
「宥香…?どうし、」
どうした、と言おうとしてソウ君の言葉が止まった。
ソウ君の目線の先にはソウ君の胸にもたれかかっている私とそんな私の腰に手をまわしている自分の腕だ。
じわじわとソウ君の顔が赤くなっていく。
「……っごめん!」
ものすごい速さで腕を外し、私を立たせる。
「おはようソウ君。寝ぼけてた?」
大丈夫。多分いつも通りに言えてるはず。
「あ、そ、うだな。寝ぼけて、うん。寝ぼけてたのかもな…」
心なしか残念そうに見える。どうしたんだろうか。
あ、そうだ。起こしに来た目的を言わないと。
「もうすぐでご飯できあがるって。私は先に下に行くね」
「あ、ああ。ありがとう」
あんまり顔は見れなかった。
だって私の顔はまだ少しだけ赤いだろうから。
赤面男子いいなって。
もっとはやれ赤面男子




