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目失  作者: Homumin
5/10

5話 鳥の散歩は三歩

************************************



 意味がないことが好きだ。意味のあることも好きだが、意味のないことは殊更好きである。

 しかし、意味のないこと全てが好きなわけでもない。

 意味のないことでも、とりわけつまらないものは嫌いだ。意味があるから面白いわけじゃない。意味がないから面白いわけでもない。

 なら、意味がないのに面白いことは、意味があって面白いものよりも価値が、値打ちが、取り柄が、美点が、意味が、ある。

 そう、______は考える。



**************************************



______________________________________

 よしだ君へ

  

  よしだ君の

 おおきな背中を見て、すごい頼りある人だなって

 思います。

 悲しいときも嬉しいときも

 どんなときでも

 よしだ君と一緒にいたいなってそう思います。

 凛々しくて気品のあるあなたが好きです。 つきあってください。

  今日の放課後、校門前で待っています。

  

  Sより

______________________________________


 「なんだこの恋文は」

 吉田悠也は憤慨する。知能指数の低い作文に。これではまるで小学生が書いたものではないか、と。

 しかし、小学生ならば、それはそれでいいとも思った。

 「小学生か……」

 「えっ、ついに目覚めたのか」

 後ろにいた、山田に独り言を聞かれてしまった。

 そんな山田を無視して、手紙を丁寧にポケットにしまい、教室の後ろ側の扉を開ける。

 席に着き、頭の中を整理する。


 今日も朝の妹の目覚ましは最高だった。いや、最高という言葉では表すことのできない、美しさ可憐さ可愛さ儚げさ、自分の語彙では言い表すことのできないものだった。






 吉田悠也の頭には既にラブレターのことなど無かった。


 





 午前の授業が終わり、昼休みになった。

 三人の男が周りに群がる。大門、山田、鈴木だ。なんの許可もなく周りの席に座り昼飯の準備を始めた。

 いつも通りの光景だった。

 気にせず自分も持ってきた母お手製の弁当を広げる。

 「やっさん、今週末ナンダムやりに行かないか?」

 鈴木が、ハンバーグを頬張りながらデートのお誘いをしてきた。

 「あー、ナンダムか、いくいく」

 ナンダム、それは巨大ロボ同士が戦う熱い男のゲームなのだ。この誘いに乗らずして、何に乗るというのか。

 「じゃあ、そのあと大門の家で泊まりでゲームしようぜ」

 「あー、行けたら行くかな」

 きっとナンダム以外のゲームであることに違いない。そんなものに行く意味はない。しかし、理由もなしに断るのは、よくない。

 吉田悠也は気遣いのできる男だった。と、自分でそう思っている。

 「絶対来ないだろやっさん」

 笑いながら、指摘する大門。

 「まぁ、そもそもおれは今週末無理だわ」

 大門は何やら予定があるのか、断った。

 こんな年中暇な人間に予定があるとは、恐れ入った。

 吉田悠也は心の上っ面で謝罪した。

 


 昼食を済ませ、ゆっくりと、眠りに落ちていく。

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