3話 Unlimited garbage works
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吾輩は神である。
名前はまだない。
そう、おれは山田 雅、高校三年生。
ネットゲームのハンドルネームを考えながら、登校している。
戦車が戦車を洗車するゲーム。Wash -ワールドアナザースーパーハイパー- が今日の午後六時から配信開始になる。楽しみで仕方がない。あぁ、早くやりたいぜ。
自転車で下り坂をスピードを出して下る。
時速80kmで走る車から手を出すと男の夢に包まれる、そんな話をどこかで聞いた様な気がする。
気持ちのいい風を浴びながら、山田雅は考えていた。
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人生の何の得にもならない会話が続いていた。
学校と家の中間地点、M駅についていた。
かと言って、電車に乗るわけでもない。
市内に学校はあり、ここはA県のM市の、ただの田舎だ。
電車は遠出する時以外、使うことはない。
「今日も今日とて暇だなー」
大門が嘆く。
「平和が一番だよ」
今日は大門がいても平和だと、そう感じた。
しかし、そんな平和も束の間だった。
平和とは長く続かないものである。
「おっ、やっさーん、おーかどぉー」
後方から、猛々しい声が聞こえた。
刹那、二人は走り出す。周りの目など気にしてはいけない。
聞こえないフリをする。
大門もなりふり構わず、走っている。
しかし、大門の背中がどんどん遠くなる。
大門は足が速かった。
決して、おれの足が遅いわけではない。
頭の中で言い訳をしている間に__
「捕まえた」
耳元で囁かれた。
甘い、甘い、蕩けそうな声で。例えるなら、食べ物が腐った時の腐乱臭だ。
全身に鳥肌が立ち、飛び退く。
そして、嘔吐く。
「月曜の朝から勘弁してくれ、雅」
嘔吐きながら、返事をする。
「もー、やっさんてば、朝から可愛い」
彼は山田 雅。身長185cmのひょろがりのっぽで
顔面が凶器で出来ている。 血潮は泥で、心は硝子。
その体は、きっとゴミかなんかで出来ている。
彼が口を開くたびに、周りは吐き気を催してしまう。
決して口臭が酷いわけではない。
ただ、この男、言動が気持ち悪いのだ。
これが可愛い女の子なら、どれだけマシだっただろうか。
さて、どうやってこの男から逃げ出すか
吉田悠也は、考える。
考える。考える。考える。考える。考える。考える。考える。考える。考える。考える。考える。考える。考える。考える。考える。考える。考える。考える。考える。考える。考える。考える。考える。考える。考える。考える。考える。考える。考える。考える。考える。考える。考える。考える。考える。考える。考える。考える。考える。考える。考える___________________。
そして____。
学校に到着した。