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謎解きは昼休みに済ましたい。

(朝の忙しい時間にとんでもないものを見たきがする。)


 そんなことを考えながら学校の駐輪場で自転車に鍵をかけた。衣替えも済んで半袖になったはいいが、やはり湿度が高く、まとまりつく不快感は払えないのが難点だ。駅から学校までの道のりは自転車でゆっくりいっても20分ほどだが、朝の時間でも汗をかいてしまう暑さだ。


 教室に向おうと下駄箱で上履きへ履き替えていたら後ろから突然奇声が聞こえてきた。


「おっはよ~」


 声が聞こえてきた方向を見なくてもこんな挨拶を朝から恥ずかしげもなく人前で出来るのは奴しかいない。


「ようサトル、朝から随分とテンション高いな」

「そうさ俺はいつだって全力で生きてるよ。」

またセンチメンタルにさせてくれるセリフじゃないか

「それにしてもヨシハルはいつでもテンション低いよね」

「まぁ低血圧だから朝は特に苦手なんだ」

「根拠が不明確だけど、そこは友人のよしみで追求しないであげるよ」

と、いつもの朝の有意義な会話を楽しんでいたら学校の始業時間を知らせる予鈴がなった。



 サトルは遅刻を甘んじて受け入れるのだろうか、何も言わずに自分の席に向かっていった。

 僕はというと、どうやら家を出た時から腕時計が10分ずれていたらしい。遅刻する意思はなかったのだ。知っていたらサトルとも無駄な会話などしなかったのに。

そのような主旨の話を担任である河原(かわはら)先生に話してみたら

「今の時代、時計っていったら電波時計だろ。俺の見てみろ。」

と謎の反論と自慢で遅刻を取り消してはくれなかった。


 この河原という先生は白髪が目立つ頭皮で髪を手櫛で片方にもっていった頭をしていて、定年退職間際でやる気があるのかないのか分からないような人である。その辺りが学年主任ではあるものの厳しすぎず生徒には人気がある所以なのだろうか。


「なぁサトルよ、今日は朝から災難なんだが」

席が隣のサトルは一時間目の準備をしながらどうということはない様子で答えた。

「あぁ朝から駅でまさか殴りかかる男子高校生を見られるとはね~」

「そうそう電波時計ってな...な、なんで知ってるんだよ」

「電波時計ってなんだよヨシハル」


そんなことはどうでもいい。

「なんで朝のその出来事を知っているんだと...」


 言いながら気づいたが、そういえばこいつとは地元が一緒だし朝ほぼ一緒の時間に学校に着いたことを考えると多分こいつも同じ電車に乗っていた口だなと思いついた。サトルはバスで通学していいるはずだが、俺が時間に余裕があると思ってゆっくり来たせいで大回りしてくるバスと同じくらいの時間に着くはめになったのだ。




朝、起きるとリビングの食卓に朝食が用意されていた

「おはようねぼすけ」

 朝から罵倒してくる妹の詩音(しおん)を傍目に自席に着く。ことはなく、父が先に家を出たようなのでドアから一番遠い上座に座った。

 今年、妹は中学三年生になった。世間一般的には中3は受験生だが、地元の中学校ではなく市内の、しかも盆地内にある私立の中高一貫校に所属している。そのままエスカレーター式に高校には進学出来るそうだ。しかも優等生で生徒会に属すほどで兄とは比べものにならないほどに良い子である。のだが、そんなことより。


「え、寝坊?」

席についてから妹の言葉が朝のエンジンかかり始めの脳に染み渡ってきた。

「うんもう8時だよ?」


なんてこった、もういっそのこと開き直って朝食を食べてから学校に向かうことにしよう。

とはいえ急ぐことに越したことはない。ご飯、納豆、焼き鮭をかっ込みそそくさと準備し駅へと向かう。

 

駅に入るとすぐに電車が来るところだった。

ホームへと続く階段をあがってすぐの待機列に並んだ。

皇海大(こうかいだい)附属高校 大谷賢治(おおたにけんじ)だ!」

という叫び声とゴッ、という鈍い音が一発どこかから聞こえてきた。見回すと反対のホームでガタイの良い男子高校生がその目の前にいた別の学校の男子学生を殴り倒した所だった。そしてその横にいたもう一人の男子学生も直ぐさま殴り倒される。


(あれ、あの倒れてる男子の制服見覚えあるな……)

 それを遮るかのように定刻通り電車がホームに進入してきたのだった。



 4時間目の数学が終わり、教科書を机にしまっていると、同じく教科書類を片付けているサトルが話しかけてきた。

「なんで名乗ったんだろうね」

 あのあとすぐ話を切り上げ、午前中の業間休みにも話かけてこないと思ったら昼休みの話題はやはり今朝の事件についてだった。短い休み時間でなくて昼休みに片付けてしまう算段だったんだろう。

「なんでだろうな・・・」

「ヨシハル、考える気ないでしょ?」

 午前中4時間授業を受けてすぐの頭に何を考えろというのだ。それはあまりにも横暴ではないだろうか。

「考えてくれれば褒美にコーラを進ぜよう」

そんなものでこの不動ヨシハルを・・・


「やろうか!」

「そう来なくっちゃ!!」



 自販機には昨日まで見なかった飲み物が追加されていた。衣替えで一新されたのは服だけではなく自販機の中身もそうみたいだ。昨日まであった「あたたかい」が無くなり、「つめた~い」一色になっていた。しかし、新しいモノがいくら入ろうと僕の選択は揺らがなかった。

 赤いパッケージが眩しいコーラをサトルにおごっていただき、そのまま一般棟一階にある我が写真部の部室で昼食を食べることにした。

 

 全生徒、入部が義務付けられているこの高校では珍しくもない行動だ。しかし、今日は活動日ではないので他に部員は居なかった。と言っても他には二人しかおらず、俺たちを入れた総勢四人の小さな部だが。


さて、それじゃ状況確認からやっていくとしよう。


次週は私事で忙しいため

短編を投稿予定です。

すみませぬ

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