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第一話 エルトニア魔術学院の長い入学記念

もう一方の連載作品に手を付けず、ましてや課題もせず、何やってんだろ、俺

 エルトニア魔術学院。

魔導先進国ウェルギスに10ある魔術学院のうちの一つで、多くの高名な魔術師を育ててきた名門校である。そんな学院に入学するのは決して簡単なことではない。

名門校であるエルトニア魔術学院には毎年、定員200人というのに対し、受験人数は600人を超える。だから、合格の通知が届いたときは、よほど座学に自信がなければドッキリなのではと疑ってしまうほどだ。


 ヘティシア=オーフェン。この春からエルトニア魔術学院に通うことが決まった生徒のひとりである。彼女もその合格通知が届いたとき、ドッキリなのではないだろうかと疑ってしまった一人だ。


そんなエルトニア魔術学院では毎年、講師のうちの誰か一人に入学記念授業という、魔術の基礎を再確認する授業を行わせるのが伝統である。(その授業はタダ働きなので誰もやりたくないというのは秘密だが)


 さて、今年の講師の授業はというと...


 「(前略)そんな魔術だが、それは自らの魔力を使う技術である。

どのような魔術があるかというと(中略)


 魔力というのは精神の力とも呼ばれ、この力がなくなれば生物は魂を肉体に留まらせることができなくなる。実際、死者には魔力が存在しないことからもそれは証明されている。


 そのような危険があるのになぜ、使うのか、それは常々言われていることではあるが、使いすぎなければ自然と回復する上に、すでに確立された技術で、便利であるのだから、人間が利用しない道理はないといえるだろう。


 その魔力だが、人によって属性が違う。属性というのは、魔力が帯びている特性のことであり、基本的には『火』、『水』、『風』、『土』、『光』、『闇』、属性を有さない、『無』である。

だが、何事にも例外というものは存在する。ごく稀に、属性を複数持ち、それが混ざり、違う属性になることもあるのだ。もっとも有名なのは、聖女様の光と水の複合属性、『聖流』だろう。


 さて、なぜ属性を複数持つことが起きるのか、『魔力に属性があるのは、生まれつきである。』と一昔前は言われてきたが、最近では、魔力に属性を与える臓器が人間にあるのではと言われている。

複数の属性を持つのは複数の、属性を与える臓器があるのではと、そして、属性がない者はその臓器が欠落、もしくは機能が弱いからなのでは、という考えが主流になってきている。


 え?なぜかって?最近、医術が発展したことで、人間の体の構造がわかってきたのだが、その中に、用途不明の臓器が二つ見つかった。一つは前述した属性を与える臓器、仮名「属性精製器エレメントジェネレータ」で、もう一つは魔力を貯蔵する臓器、仮名「魔力貯蔵庫マナストレージ」なのではないかと考えられている。というのも、この二つの臓器は年齢を重ねていくごとに互いが近づいていくのだが、これだけでは根拠が弱い。だが小さい生まれたばかりの子供に魔術を教えてみたところ、その魔力には属性がなかったのだ。その子は今では10歳になるのだが、その属性は火であった。さらに、(後略)

なに?もう時間だと?ここからが面白いのに...残念だがこれで魔術の基礎、魔術学院入学記念授業を終了する。


 この後は入学式の時に配られたしおりをもとに、これから4年間通うことになる教室へ各自移動してくれ。清聴、ありがとう。」


 ...長かった。

いや、実際は例年通りの時間だったのだが、内容の濃ゆさと、情報量の多さがたくさんの生徒をダウンさせていた。


 なにはともあれ、授業はこれで終わり。生徒たちは自分のしおりに書かれている教室へと移動を始める。ヘティシアもその例にもれずしおりの確認を行う。


「第0(ゼロ)魔術教室?」


しおりによると彼女は第0魔術教室がこれから4年間通う教室らしい。(ちなみにしおりは生徒一人一人に手作りで作られている。作った先生がどうなっているかは想像にお任せする)


「えっと、場所は「あの...」はい?」


後ろから声をかけられ振り返ると、そこには眼鏡をかけた女子生徒がいた。


「す、すみません、第0魔術教室って、ど、どこにあるかわかりませんか...?」


どうやら彼女も同じ教室に振り分けられたらしい。


「あなたも第0なの?」


「は、はい。あなたもなんですか?」


「えぇ、私も探してるとこだし、一緒に探しましょ」


「お、お願いします...」


「いいのよ、これから4年間通う教室の仲間なんだから。あ、自己紹介しましょうか。私はヘティシア。ヘティシア=オーフェンよ」


「あ、わ、私はネ、ネリネ、ブ、ブラスト...です」


「ネリネ=ブラスト。うん!いい名前じゃない」


「あ、ありがとう、ヘティシアも、いい名前だ、よ?」


「ありがとうね。ヘティでいいわ、よろしくネリネ」


「う、うん、よろしく、ヘティ」



でも書いてしまう。人間だもの。

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