真相(7)
結局ジェラールが私の身代わりを引き受け、私は治療に専念することになった。
その夜、私は苦い薬を飲み下しながら、「負けない」と自分自身に誓った。
「……負けるもんか」
膝に掛けたキルトを握り締めながら、窓の外に見える月をきっと見あげる。
――病気なんかに負けるもんか。絶対に未来を諦めるもんか。
だって私が諦めてしまったら、ジェラールが報われない。ジェラールに合わせる顔がない。
それが、私の世界に対するはじめての抵抗だった。
この時私はまだ気づいていなかった。フィリップ様のためにではなく、ジェラールのために頑張ろう――そう考えている自分がいることに。
学園は全寮制になっていたから、ジェラールは週末に許可を得て、シャルトル邸に戻ってくるようになった。私はジェラールの来てくれる、週末が何よりの楽しみになった。
ジェラールは私に一週間分の勉強や、学園で得た交友関係を教えてくれた。
ここで驚いたのはジェラールは頭が良くて、上位の成績をキープしていたことだ。きっともともと頭がよかったんだろう。ついて行くのが大変だったけれども、もう諦めないと決めていたから頑張った。
ジェラールが必ず話してくれる、クラスメートや友達の話も楽しかった。ジェラールはやっぱり皆に好かれて、すっかり頼られているみたいだった。
「それでさあ、今じゃあいつらもすっかり反省して、婚約者を大事にしているって。それはよかったんだけど、最近じゃ恋のキューピッドとか、別れたカップルの修復とか、そんなことばっかり頼まれるようになって、俺は何でも屋じゃねーっつーの」
私はそんなジェラールの話に笑いながら、心のどこかで嫉妬している自分を感じていた。
――ジェラールの友だちもクラスメートも、私の知らないジェラールの顔を知っているんだ。
きっと男の子にも女の子にも、ジェラールを好きな子だっているだろう。
ずきんと胸が痛んだ。その瞬間、私は自覚してしまったのだ。
「ん? アディ、どうしたんだ?」
慌てて笑顔を作る。けれども、胸の痛みはまだ続いていた。
「ううん、なんでもない。それからどうしたの?」
ああ、そうだったんだ。私はジェラールが好きだったんだ。いつからかわからないくらい、ごく自然に好きになっていた。




