真相(6)
それからのジェラールとの日々は、ほんとうに楽しくてならなかった。私たちはきょうだいで、親友で、いつもいっしょにいた。
父はよく「お前たちは二人で一人なんだね」、と笑いながら目を細めていた。ジェラールはなぜか顔を赤くして頬をかいていたっけ。
ジェラールは明るくて強くて頼りになって、ジェラールがいると不思議となんでもうまく行った。フィリップ様との婚約が決まったのもこのころだ。
そんなふうに毎日が幸せ過ぎたから、私はすっかりここが乙女ゲームの世界で、自分が悪役なんだってことを忘れていた。だから、きっと神様が思い知らせようとしたんだろう。
ある朝私はいつものように起き上がろうとして、身体がまったく起こせないのに気づいた。だるくて頭が痛くて死んでしまいそうだった。
いっこうに呼び鈴を鳴らないのを不審に思い、メイドが部屋に飛び込んで来たのは、それから二時間後のことになる。すぐさまお医者様が呼ばれ、三日がかりで診断が下された。
私の病気は身体が血をうまく作れなくなるものだった。死病ではないけれども重病で、学園への入学は無理だと宣告されてしまった。
――目の前が真っ暗になるのを感じた。
そんな、ゲームのスタート地点にすら立てないだなんて。努力でどうにかすることも許されないだなんて。ジェラールのおかげでやっと希望を持てるようになったのに。この世界もそんなに私が嫌いなんだろうか?
私が絶望しかけたその時に、ジェラールは再び目の前に現れた。
「俺がアディになるよ」
とんでもない申し出だった。ジェラールは私の身代わりになって、学園に通うと言うのだ。決して諦めるなとジェラールは言った。
「そんな、だめよ!!」
私は必死に首を振った。
そんなことをしてしまったら、ジェラールの人生はどうなるのだろう? もうたくさんの幸せをあなたからはもらっている。
これ以上何も奪えないと私は首を振った。ところがジェラールは私の手を取ると、にっと笑ってこう言ったのだった。
「なあ、俺達は二人で一人なんだろ?」
「だったらさ」と屈託のない笑顔を見せる。
「だったら俺に任せとけ! 絶対に王太子の嫁さんにしてやるから!」
――ねえ、ジェラール。あなはどうしてそんなに強くて優しいの。




