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婚約破棄の結末と真相  作者: 東 万里央
アデライードサイド
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真相(3)

 それから私はしばらく何も見えない、聞こえない、感じない暗闇の中にいた。


 そこに、どこからか光が差し込んで来て、その光が輝きながらこう言ったのだ。


――お前は死んだ。本来なら寿命はまだ先だったが、生きる気力がなく、諦めてしまったから死んでしまった。


 私はもう手も、足も、体もないのに、心が悲しみに濡れるのを感じた。


――だって、諦める以外に何ができたの? 諦める以外にどうしたら楽になれたの?


 声はまた私に語り掛ける。


――では、お前はそうしてすべてを手放して死んで、楽になれたのか?


 私は黙り込むしかなかった。


 楽どころか心だけになっても辛い。寂しくて流れない涙を流している。


 声はさらに続ける。


――お前は抗うことを学ばなければならない。どれだけ恵まれた環境に生まれようと、人はそうして生きていくものだから……。


 次の瞬間、私の意識は再び真っ暗な中に放り込まれた。その暗闇は温かくて優しくて、ずっとここにいたいと望んだほどだった。


 けれども、その日々にも終わりがやってくる。


 まどろみの中にいた私は、再び差し込んできた、眩しいほどの光に目を瞬かせた。


 そして、苦しい。体が引きちぎられるかのように苦しい。息がまったくできない……!!


 私は苦しさと恐ろしさのあまり、オギャアと泣いた。


「オギャアァァァア!!」


 眩しい! 寒い! 怖い! どれだけ泣いても足りなかった。


「旦那様、お生まれになりました!元気なお嬢様です!」


 叫び声に男の人の声が混じる。


「マリーアは?」


「お、奥様は、奥様は先ほど……」


 涙をすする音と泣き声が聞こえた。男の人が「そうか」とポツリと呟く。


「マリーアはこうなることを覚悟していた。僕にこう言い残していたんだよ。"私の死に涙を流すのではなく、赤ちゃんの誕生を喜んで上げて"と……」

 

 大きな手が私を抱き取り、「よしよし」と私をあやす。


「君の名はアデライードだ。女の子が生まれたら、この名前がいいとマリーアが言っていたんだよ」


 「誕生日おめでとう」と、優しい声が私の耳をなでる。


「よく生まれてきてくれたね。どうかマリーアのぶんも、幸せになっておくれ……」

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