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お爺ちゃん

作者: ゆん

ふとした時、僕は何もかも思い出してそして、おちた一粒の涙は誰も見ることがなく、空気に消えた。




僕はよくわらわれていたのを覚えている。

何がおかしかったのかは知らないけれど、とにかく笑われていた。


僕は、記憶が詳しく残らない。例えば、「明日、雨がふる」と言われたら、「雨か降る」と変換される。つまりは一度で2つ以上のこと入ってこないのだ。


そう、さっきの記憶だって、誰に笑われたのか全く覚えていない。


僕は映像を記憶することができない。美しい風景も、母の顔も、自分の顔すら記憶することができなくて、毎日初対面の人と出会うようだ。


そう、さっきの記憶だって、映像を記憶できたとしたらなんとなくでも誰に笑われたのか覚えていられていたかもしれない。


僕は、時の記憶がない。いつ、何があったのか、そんなことを覚えることができた記憶すらない。だって、自分の誕生日すら覚えていないのだ。


そう、さっきの記憶だって……。



でも、言い訳するのにも飽きていた。

おかしい話である。

記憶もないのに飽きたなんて。

僕はおかしな人だと笑われる。

きっと。笑われる。


でも、笑われて、笑われて、笑われて、そして、さらに笑われても、僕はいつかその記憶すら忘れてしまう。


僕の脳はもう、疲れはてているのだと医者は言った。


ちゃんと考えてるのに。


全部、無駄なんだな。



それでも、時々、思い出すのだ。





彼女の顔を。





幼いころ、一緒に遊んだ日のことを。








しかし、その彼女はもう会うことはできない。


僕はそれだけ知っていた。

大好きなおじいちゃんはきっと、そんなことを考える暇もなく忘れるだろうし、伝わらないことに疑問を持って生きているだけだと思うけど。。。


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