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3話 更に下へ

 あれから3日たった。レベルが上がり、ステータスも強くなり、魔物に負ける事はない。ポチも肩から、背後の監視をしてくれている。俺の見えない場所の、敵の動きを教えてくれる。……たまに、ポチからも死角になる場所の敵の動きも教えてくれる。まあ、元々眼球など無いから、別の方法で感知しているのだろう。謎生物だし。

 広くて苦労したが、ようやくB20階までやってきた。ボス部屋の扉を開けると、そこにはまた多量のゴブリンが居た。

「またかよ! ファイヤーストーム!」

三十匹以上は居るだろうか? 数が多いので、新しく覚えたは良いが、なかなか使い道の無かった広範囲の攻撃魔法をいきなり使った。

 バタバタゴブリンが倒れていくが、まだ半数ぐらい残ってしまった。魔力の精密操作をおぼえてから、魔法をそのまま使えば、普通の威力に、多くMPをつぎ込めばより高い威力で撃つ事も出来る様になった。

 ゴブリンだからと、普通に魔法を使ったため、HPの高いゴブリンが残ってしまった。

「甘かったか。 ファイヤーランス! ファイヤーランス!」

 近づいてくる、盾持ちのゴブリンを盾ごと魔法で貫いて、奥から飛んでくる矢を避ける。

「サンダーアロー! ファイヤーボール!」

 魔法を使おうとするゴブリンマジシャンに、雷矢で動きを止めてから、火球でとどめを刺した。

 近くに居た、弓持ちも余波で倒したようだ。あとは奥にいた、盾と剣を持ち全身鎧を着た五匹のみだ。こいつらは見たことないな。鑑定すると、ゴブリンナイト四匹とゴブリンジェネラルとの表示。

 ゴブリンと言っても、ナイトは180cmぐらい。ジェネラルは200cmぐらい有りそうだ。俺は170cmぐらいしかないので、正直俺より大きい。

「サンダーアロー!」

距離が少しあるので、魔法でHPを削る。

「サンダーアロー! サンダーアロー!」

ナイト四匹が盾を掲げながら、駆け寄って来る。魔法が効いて無いのか……あっ一匹こけた。魔法は効いているが、強引に来るつもりの様だ。

「ファイヤーランス! ファイヤーボール!」

先頭の一匹を火槍で貫き、後ろの二匹を吹き飛ばすため、火球を間に放り込んだ。火槍につらぬかれ、倒れたと思った先頭のナイトが起き上がり、その身で火球を受け止めた。

「やるな!」

 思わず感嘆の声が漏れてしまった。火に包まれたナイトの横を残りのナイトが、駆け抜ける。

 模造刀を抜き、迎え撃つ。左右からの斬撃をかわし、右側のナイトの首を切り落とし、そのまま左側のナイトを袈裟切りにする。だが、胴体を半分切り裂いた所で、模造刀を引き抜こうとしたら刃を掴まれてしまった。

「え?!」

 驚く俺に構わず、そのナイトは強く刃を握りしめた。

「ガァ!」

 苦しそうな声を上げるその後ろから、最初に転んだナイトが、剣を構えて走って来た。

「チッ!」

 おれば舌打ちしつつ、模造刀を離し後ろに飛び下がる。着地と同時に、アイテムボックスから木刀を出して構える。……が、走ってきたナイトはこちらに来ず、模造刀に向かって剣を振り下ろた。

 砕け散る模造刀。

「初めから、武器狙いかよ! サンダーランス! ファイヤーランス!」

 二匹のナイトを魔法で仕留め、俺は溜め息をつく。正直舐めていた。ステータスも弱く、楽勝だと思っていた。だが、覚悟が違っていた。仲間のために自身を犠牲にする戦いぶりに、初めて魔物が怖いと思ってしまった。

「……俺も、まだまだか……」

「クックックッ! 人間ヨ! 我ガ部下二、恐怖シタカ!」

「話せるのか!?」

「ソウダ! ソノヨウナ貧弱ナ装備デ、ヨクココマデキタモノダ。ナニヲ、モトメテヤッテキタ?」

「俺は迷子だ」

「……ハナスキハナイノカ」

「いやいや、違う違う。本当に迷子だ。歩いていたら、突然この迷宮の前に飛ばされたんだ」

「……ソンナ事ガ、アルノカ? デ、ココニナニヲモトメテイル?」

「人の街に行く手段だな。本当に着の身着のまま飛ばされたから、食べ物も武器も防具も何も無い。せめて食べ物と一番近い街の方向、出来れば移動手段が欲しい」

「……だんじょん二アルノハ、食イ物グライダナ」

「やっぱりそうか……」

「我ハココヨリシタノ階ハ、知ラヌ! モシカスルト、未知ノ魔道具ガ有カモ知レヌナ!」

「……まだ下が有るのか」

「マダマダ、だんじょんハ続ク! 進ミタクバ、我ヲ倒シテイケ!」

「……そうなるのか。行くぞ!」

「クルガイイ!」

「ファイヤーランス! ファイヤーボール!」

 魔法をジェネラルに向けて放つ。すると、火槍を盾で弾き、火球を剣で切り落とした。

「魔法って剣で斬れるのか?!」

「クックックッ! 武器ノサダ! キノボウデ、だんじょん二クル奴ナドキサマダケダ!」

「五月蝿い! 武器もなく、飛ばされたんだ! サンダーエンチャント!」

 木刀に魔法を掛けて、強化しジェネラルを迎え撃った。ジェネラルの剣を避けて、全身鎧の上から叩く。

「グウ!」

 盾と剣は魔法を弾くらしいが、鎧は普通の金属鎧らしい。雷を纏った木刀で、何度も叩き動きが鈍った所で至近距離から、顔面に魔法を当てた。

「サンダーランス!」

 雷槍が頭を焦がす。煙を上げながら、ジェネラルは倒れた。倒した敵をアイテムボックスにしまいながら、生き残りが居ないか確認して行く。

 また、いつの間にか宝箱が現れていた。開けると兜が入っており、鑑定してみる。

『鬼人の兜 戦意向上 体力小アップ』

「おお、いいね!」

 意外としっくりくる、良い装備だ。あと、一度纏めてしまったが、ゴブリンジェネラルが使っていた盾と剣を出して見た。

『防魔の盾 攻撃魔法を打ち消す』

『斬魔の大剣 魔法を切断する』

 やたら良い物だった。防魔の盾は今まで使っていた盾より、ふた周りほど大きいが、なんとかなりそうだ。装備していこう。しかし、斬魔の大剣はかなり大きく刀でもないので、使い辛い。諦めるしかないかな? 一応、しまっておくけどね。


 改めて、探索の続きだ。B21階からは、石を組んだ様な作りの洞窟になった。まるで石垣の洞窟だ。出る魔物も変わった。オークとビッグボアと言う猪だ。そう! 猪肉だ! かなり探し回り狩りまくった。

 魔導錬金術もレベルが上がり、醤油や味噌など自分が食べた事のある調味料が出せる様になった。合わせて、イースト菌も作れるようになって、パンが焼ける様にもなった。かなり失敗を繰り返し、成功まで時間が掛かったが、今は良い思い出だ。もちろんパンを焼く石窯も作り上げた、自信作だ。

 ちなみに、オークは豚肉だった。最初は、魔物とは言え人型を食べるのに抵抗が大きかったが、今では平気だ。

 オークと猪を木刀で、撲殺しながら進んでいるととうとう宝箱から、刀が出た。鉄製の武器や防具が宝箱から、出ていたので有るだろうと思っていたが、実際に出ると嬉しい。やっと、本物の刀だ。その後立て続けに五本出たのは………ま、まあ、予備の武器だ。素直に喜ぼう。お金は銅貨がほとんどだが、銀貨が少し出ている。

 模造刀もそうだったが、ステータスが高くなりすきて、本気で振ると刀が折れる。加減しなければならない。あと最近覚えたのだが、エンチャントの様に自分の魔力を流し、武器や防具を強化出来る。もちろん、自分の身体に纏えば身体能力の強化も出来る。……武器が壊れるので、やらないが。

 因みに、意外と丈夫で簡単に作れるアイアンウッドの木刀だが、23代目になる。50代目まで作ってあるので、まだ大丈夫。

 今の装備は刀、防魔の盾、鬼人の兜、鉄の胸当て、小鬼の篭手、革のブーツ、鉈となっていた。

 鉄の靴はうるさいので、止めておいた。そのうちもっと良い物が、見つかるだろう。



「やっとB30階か」

 B20階攻略から、一月が過ぎた。各階が更に広くなって、探索に時間が掛かった。……けして、パン作りに手間取ったからではないと思う。

「さあ、行こう」

 大きな扉を開けると、大量のオークが待ち構えていた。

「……何となくそうだと思った。サンダーストーム!」

 雷嵐で牽制と痺れを与えると、刀を抜いてオークの群に飛び込んだ。すれ違いざまに首を切って行く。オーク達は体は大きいが、(自分と比べると)動きは鈍い。次々と刈っていく。

 さほど時間をかけず、一際大きな体格のオーク四体のみとなった。

「また、ゴブリンの時の様にジェネラルか?」

 鑑定するとオークジェネラルニ匹、オークプリンス一匹、オークキング一匹だった。

「おっと、もう一つ上だったか」

 敵の強さを確認しても、変わらずに間合いを詰める。左右からジェネラルが大剣で、正面からキングが戦斧で、その隙間から、プリンスが火球で攻撃してきた。

「ぬるい」

 俺は、火球を防魔の盾で弾き、その左手で戦斧の柄を掴みキングの体ごと押し込んで前にでてジェネラルの大剣をかわす。大剣が床にぶつかるより、速く刀を振るいジェネラルの首を切り裂いた。

 ニメートル以上ある筋骨隆々としたキングが、両手で戦斧を押し込もう渾身の力を込めるが、170cmぐらいしかない俺が左手のみで掴んだそれはピクリとも動かず、異様な光景を見せていた。

 俺はポチの警告意識に従い、後ろに刀を水平に振るった。驚いた表情のまま、プリンスの首が肩から落ちた。後ろから襲いかかろうとしたプリンスを、ポチが教えてくれたのだ。……も、もちろん教えられなくても気づいて居たけどね?

 自分以外死んだのを見たキングは、戦斧を手放し背中を向けて走り出した。

「ボス部屋のキングが、逃げてどうする?」

 瞬時に追いつき、首を切り落とした。

「……片付いたな」

 俺はオーク達を一度アイテムボックスにしまい、宝箱を探した。

「やっぱり、あったな。十階ごとの中ボス部屋は、中の敵を全て倒すと宝箱が出るのは間違いない」

 開けると、小さめの革袋と大きめの革袋が一つずつ入っていた。

『マジックバッグ 外見以上に沢山入る鞄。入口より大きな物は入らないが、重量は感じなくなる。時間経過普通、収納量百倍』

「……なるほど、こういうアイテムも有ったのか。かなり良い性能何だろうが、アイテムボックスを持ってる俺はいらないかな? ……いや、待てよ? アイテムボックスって目立つのか? 目立つのか様なら、鞄で誤魔化す方が良いのかな? とりあえず、ありがたく貰っておこう」

 マジックバックを二つ共アイテムボックスに放り込んだあと、オークを一匹ずつ出して逆さ吊りにした。

「ピ?」

「何してるか、不思議か? ポチ?」

「ピ!」

「これは、血抜きだ。あまり料理はしたことがなかったからうろ覚えだが、しめた後血抜きをした方が肉の味が良くなるはずだ。だから、わざわざ刀で首を狙って倒したんだ」

「ピピッ!」

 オークがご飯にしか見えてなかった俺は、黙々とオークの血抜きをした。

 ちなみに後日、血抜きをしたオークとしてないオークをアイテムボックスで肉にバラして串焼きで食べ比べてみた。………違いが判らなかった。俺の知識が間違っていたのか、アイテムボックスの性能が良くて血抜きをしてくれているのか、俺が味音痴で違いが判らないのか? ……すべては謎のままだ………。



 最近、食生活は向上したが、探索が遅れている気がする。探索の遅れは下に降りれば、降りるほど広くなる迷宮の所為だが、生活基盤も安定したし、ここらで探索を加速したい。

「よし! 頑張ろう!」

 自分自身に気合いを入れ、俺はB31階に降りていった。ここの階からは、壁が煉瓦調になっていて、更に人の手が入った感じの迷宮に変わった。

「さて、この階の魔物は?」

 歩いていると、前から魔物が現れた。鑑定するとビッグホーンバッファローとミノタウロスの表示。

「………フフッ。牛肉祭りだぁ!!」

 俺は夢中になって、魔物を追い掛けた。



 B31階に降りて来てから、一月半が過ぎた。徐々に広くなる迷宮に苦労していた。……くっ! ビーフジャーキー作りに、手を出したのは失敗だったか、試行錯誤を繰り返し時間を取られた……。

 この辺から、罠が多く悪質になってきた。落とし穴、毒矢、毒ガス、ギロチン等、これ以外にも多数あった。一番凶悪なのは、モンスターハウスと幻覚魔法のハニートラップだった。半裸の美女と美少女が沢山居ると思って、飛び込んだらミノタウロスだった衝撃は今も忘れない。おのれ、なんと恐ろしいトラップを……。冷静になれば、迷宮の中に半裸の女性が居る訳ないと判るのだが……。だが、対策は出来ている。扉を開けるのが、幻覚魔法のスイッチだから、その時にレジストすればいい。そうすれば、ただのモンスターハウスだ殲滅すればいい。だが、レジストに失敗すると、わかって居ても飛び込んでしまうだろう………。

 この辺りの宝箱は鋼の武器防具が多く出た。胸当てだけ鋼の胸当てに交換した。お金も銀貨が沢山出ている。少し嬉しいが、価値が分からない。街に着いたとき、当面の生活費に成れば良いけど。


「ようやく着いたか」

 少々、疲れ気味でB40階に着いた。夕食時を少し過ぎてしまったが、今日はここを越えてから休もう。俺は半ば惰性で大きな扉を開けた。

「ん? 思ったより少ないな?」

 てっきり、ミノタウロスが大量に居るのかと思ったら、普通のミノタウロスより大きなミノタウロスが3匹とその後に牛が一匹居るだけだった。念の為鑑定するとハイミノタウロスとゴルゴンとの表示。

「まずっ!」

 あわてて目を閉じ、最近ようやく使える様になった無詠唱で、サンダーストームを連発する。

 ゴルゴンは確か、石化の特殊能力を持った魔物だ、視線かブレスか忘れたが試す気にはならない。

 このまま、魔法連発で押し切りたい。だか急いだため、範囲から外れていたハイミノタウロスが、一匹こちらに走って来るのを感じた。

「ピ!」

 ポチが従魔のパスの様なもの(念話か?)を使って、敵の位置を教えてくれる。自身の気配感知と合わせて、あたりを付け、走って来るハイミノタウロスにサンダーランスを無詠唱並列起動で、叩きつける。同時にゴルゴンとハイミノタウロス二匹には、サンダーストームを更に連発し続ける。

 ハイミノタウロス三匹は倒れたが、ゴルゴンが健在だ。サンダーストームは、切らさずにかけ続けて居るが、魔法の通りが悪く効いて無い訳ではないが、ダメージが少ないらしい。

「チッ!」

 思わず舌打ちが漏れるが、覚悟を決め発動中の自分のサンダーストームに、頭から突っ込み気配とポチからの情報を頼りに刀を振るった。


 俺は自分の魔法による多少のダメージと共に、ゴルゴンを倒した。

「危なかった。状態異常、しかも石化とかだと即死変わらん。出会い頭だと危険過ぎる」

 冷や汗を拭い、一息つくとゴルゴンとハイミノタウロスをアイテムボックスにしまった。

「宝箱はなにかな?」

 宝箱を開けると、革のブーツが入っていた。いまさら革? と思いつつ、鑑定する。

『ゴルゴンの革ブーツ 状態異常耐性大アップ 移動速度中アップ 自動修復小』

「凄いの来た?!」

 見たこと無いぐらいの高性能装備だった。慌てて、履いて見るがピッタリだった。もしサイズが合わなかったら、きっと泣いていただろう。

 辺りに忘れ物がないか、確認後B41階に降りてそこを起点にし家(仮)に転移した。


 家(仮)に帰って来た。疲れた俺は、アイテムボックスの中に入っていたパンと牛串で簡単に夕食を終え、ポチにはゴブリンを三匹ほど丸ごと上げた。

 因みにポチはソフトボール程の大きさを基本体として居るようで、いつもはその大きさで肩の上に乗っている。しかし大きさは自由になるらしく、一度軽自動車ほどの大きさになるところを見た。

 今のポチのステータスは


ポチ δεζηθ歳 シルバースライム LV56

職業:タカの従魔 状態:普通

HP:1000/1000 MP:3000/3000

力:100 体力:100 知力:200 魔力:200 敏捷:50

所持スキル:悪食 状態異常無効 硬質化 念話 魔法食い 体積増減 基本四属性魔法 


 と、なっている。最近はレベルが上がってもステータス値はほとんど増えず、スキルをたまに覚えるぐらいだ。あと、魔物のスキルはレベルがない。検証出来ないので憶測だが、魔物自身のレベルか経験、もしくは対応するステータス値(魔法なら、知力・魔力)によるのではないかと思われる。もしくはその両方だな。ポチは無詠唱とか無いし、話さないが魔法を使う。…………突然肩から、火を噴いた時は驚いた。チビるかと思った………。


 風呂に入り寝る準備を整えて、ベットに転がる。久しぶりに、自分のステータスを開いて見た。



タカ 十五歳 異世界人 男 LV261

職業:無職 状態:普通

HP:99999/99999 MP:99999/99999

力:9999 体力:9999 知力:9999 魔力:9999 敏捷:9999

所持スキル:アイテムボックス 鑑定LVMAX 異世界言語 魔導錬金術LVMAX 体術LVMAX 刀術LVMAX 全属性魔法LVMAX 取得経験値増加LVMAX 詠唱短縮LVMAX テイミングLVMAX 隠身LVMAX 気配感知LVMAX 詠唱破棄LVMAX 盾術LVMAX 魔力精密操作LVMAX 見切りLVMAX MP高速回復LVMAX 罠感知LVMAX 罠解除LVMAX 縮地LVMAX 先読みLVMAX 並列思考LVMAX 魔闘法LVMAX 気闘法LVMAX 暗視LVMAX 無詠唱LV4 多重並列詠唱LV3 状態異常耐性LV1

ステータスポイント:260 スキルポイント:233

従魔:ポチ(シルバースライム)


 表示出来るステータスには限界が有るらしい。レベル二十を越えた辺りから、カウンターストップしている。実際には増えて居るが、表示出来ないらしい。魔導錬金術が一番便利で凄いのスキルだと思っていたが、実際は取得経験値増加が一番やばいのかも知れない。レベルが早く上がり過ぎる。

 多分俺は人の中では、かなり強い方だろう。………人間辞めてなければ良いなぁ………。ステータスを見ると少しだけ不安になる。

「……寝よう……」

 無駄な考えを放棄し、寝ることにした。


 翌朝、食事と準備を済ませ迷宮にやってきた。ここからは、灰色の壁で教会等の様な少し生活感の薄い迷宮だった。

 魔物は無機物系だ。ウッドパペット、ゴーレム、ストーンゴーレム等。

 宝箱は魔鉄製の武器防具に魔道具の類いで、俺は刀と胸当てを魔鉄の刀と魔鉄の胸当てに交換した。お金は、たまに金貨が混ざり始めた。魔道具は、簡単なちょっとした便利道具だった。火をおこす種火を出すライターみたいな物だったり、風を出す扇風機の様な物だった。水を出す水筒の様な物は、便利かも知れない。家の台所等を改造するのに、集めてみた。

 色々宝箱を探しながら、B50階までやってきた。今回は二週間程掛かったが、広さを考えると速い方だろう。

 前回の事も考えて、少し慎重に大きな扉を開けた。そこに居たのは黒いゴーレムが一体のみ。

「黒い?」

 今まで色々なゴーレムが居たが、黒は見たことがない。鑑定するとアイアンゴーレム(魔鉄製)との表示。

「魔鉄製のゴーレムかぁ」

 部屋の中に入らなければ、反応しないのだろう。部屋の中央で、直立不動で佇んでいた。

「まあ、やるだけやってみるか」

 中に一歩入るとアイアンゴーレムが、動き出した。距離があったので分かりづらかったが、意外と大きく三メートル以上有りそうだ。大きな音をたてて歩いて来る。

 ファイヤーボールを三発当てて見るが、そのまま歩き続ける。その後も色々魔法をぶつけて見るが、気にすることなく近づいてきた。

 アイアンゴーレムが、腕を振り上げ叩き付ける様に殴って来た。かわしざまに斬りつけるが、微かな傷を付けるだけで弾かれた。

「固いなぁ」

 少し呆れた声がでてしまった。少し飛び退き距離を取ったあと、魔鉄の刀に限界ギリギリまで魔力を注ぎ強化すると、縮地を使い懐に飛び込む。

「セイッ!」

 気合いを入れ、アイアンゴーレムの左膝を斬りつけた。

 ギャィィィィン………ビキィン!

 鋭い金属音と共に、アイアンゴーレムの膝を切り裂かれ、魔鉄の刀も折れてしまった。

「やっちまったぁぁ!」

 ようやく手になじみ、使い慣れてきた魔鉄の刀が折れてショックを受けた。

「おのれ、刀の仇!」

 完全な逆恨みである。しかし、ショックで頭に血の上った俺は大きく距離を取り、意識と魔力を集中させていく。

「次元の牢獄の中にて、火よ集いて炎と成れ、炎よ集いて火炎と成れ、火炎よ更に燃え昇華し、強大なる真の焔の呼火とならん。真焔よ、忘れ去られた楽園より我が前に顕れ出でよ。聖、邪、神、魔、天、地、光、闇、全てを等しく塵も残さず燃やし尽くしたまえ。エデンフレイム!」

 どうやら、魔法スキルはレベル10(MAX)まで上げるとオリジナル魔法を作れるらしい。魔法を作ったが、複雑過ぎて無詠唱どころか詠唱破棄もまだ出来ないが、威力自体は高い………はず?

 輝く光の檻の様な結界が形成され、その結界内に火炎で複雑な立体型の魔法陣が描かれる。更にその中央に光で良く見えないが、金色の焔が見えたと思った次の瞬間、閃光が広がり唐突に消えた。後にはただ何もない空間のみ。

「うん、威力は大丈夫かな? これなら、高位不死者にもダメージを多少与えられると思う。だが発動はともかく、詠唱が長すぎる。やはり多用して慣らして、無詠唱か詠唱破棄で使える様になるしかないかな?」

『止めんか、馬鹿者』

 魔法の運用に悩んでいると、辺りに不思議な声が響いた。まるで、部屋全体が話していると様だ。

「ん? 誰だ?」

『ダンジョンマスターだ』

「おお?! やっと最下層に到着したか!」

『残念ながら、それは違う』

「なに?」

『注意するため、声のみを届けておる』

「注意する? ……ああ、あれか。あれは仕方ないだろう。迷宮探索は時間が掛かる、男だしその辺でちょっとやってしまうのは……。一応、大きい方は転移で外に出てから……」

『まてまて! 何の話しをしている!』

「何って、立ちション……」

『違う! ………先程の魔法だ。ずっと見ておったが、あれは危険過ぎる』

「ずっと見てたって、立ちションもか?」

『……そこから離れよ!』

「何が危険だ? 魔法の制御は問題なかっただろう?」

『今回は問題なかったとしても、次は違うかも知れぬ。あの魔法はもし暴走すれば、このダンジョンどころか、この世界が滅びかねん』

「そんな大げさな」

『タダとはいえ言わぬ。これをくれてやるゆえ、少なくとも、このダンジョンの中では使うてくれるな』

 目の前に一振りの刀があらわれた。青を基調とした、とても美しい美術品の様な刀だ。

『いいな?』

「あ! 聞きたい事が有るのだが?」

『話が有るのなら、最下層まで来るが良い。……良いな? 使うてはならんぞ』

「判った、使わないから質問に……って、もう聞いて無いのか……」

 気配がなくなり、声も聞こえなくなった。改めて刀を鑑定してみる。

『魔刀:蛟 水を自在に操る魔力を秘めている。例え、刃が欠け刀身が折れても魔力を込めると次第に直っていく』

「魔刀来た!」

 感動し、折れた魔鉄の刀の代わりに装備してみた。凄くしっくりしていて、使い易そうだった。

 足取りも軽く、次の扉に向かいそうになったのだが、ポチが何かを指し示していた。

「ピ!」

「ああ、宝箱か。刀貰ったから、ないかと思った」

 開けて見ると、また刀だった、鑑定する。

『銘刀:虎鉄 刀の本質を追求し何処までも硬く鋭く、欠けず曲がらず折れず。使い手次第では、いかなる物質でも斬れる』

「おお! 有名処が来た!」

 蛟とあわせて虎鉄も装備した。状況に合わせて、使い分けて場合によっては二刀流も考えよう。

 辺りを確認後、下に向かうため扉へ向かって歩き出した。

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