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2話 仲間…スライムだけど…

 食事を終え、部屋をみるとまたスライムが来ていた。

「また来たのか? トカゲの骨とか食べるか?」

「ピ!」

 ゴミ入れの壺を指差すと、スライムは中にスルスルと入った。壺から、少しはみ出ていた骨が沈んで行く。

「五百円玉と、大差ない大きさなのにどこに入るんだ? さすが異世界、非常識だな」

 アイテムボックスに残っていた、トカゲの骨と内臓を追加で入れてやるが、それもすぐに無くなった。

「食べるスピードが上がってる」

「ピ!」

 壺の縁から、魔石を外に吐き出した。

「あ! 忘れてた」

「ピ!」

「魔石は食べないのか?」

「ピピッ! ピ!」

「食べれるけど、価値があるから、返してくれるのか?」

「ピ!」

 その通りと揺れるスライムを見て苦笑すると、魔石をアイテムボックスにしまった。

 スライムは、壷の中に戻り寝てしまう。

「……ここで寝るのか」

 あまりに人懐っこいスライムに、驚くが俺自身疲れて居たので寝る事にした。



 朝起きると、スライムは既におきて壷の中を転がって居た。大きさは野球ボールぐらいになっている。

「……おはよう。何だか成長した?」

「ピ!」

 挨拶した後、顔を洗う。流石にそろそろ、お風呂に入りたい。今日は、迷宮から帰ったら部屋を拡張し、風呂を作ろう。

 朝ご飯は、夜の残りで簡単に済ました。スライムには、魔石を取り外したサソリを丸々上げた。………虫はきつい。よほど食べる物がない限りは……。

「ピ!」

 スライムは、サソリを飲み込んで行く。

「俺は迷宮に行くから、自分の巣に帰るなり留守番するなり自由にしてくれ」

「ピ!」

 スライムの鳴き声を聞きながら、迷宮にむかう。今日は、模造刀を装備していた。木刀と迷ったが、刃があるので斬る事が出来るはず。

「良し! 今日は、探索も頑張ろう!」

 少し気合いを入れ、迷宮の階段を降りて行った。



 迷宮に入るとまたすぐにサソリを見つけた。

「先制だな。雷よ集え! サンダーブリット! 雷よ集え! サンダーブリット!」

 雷弾を連発し、命中を確認すると、自分から駆け寄り模造刀を突き刺した。呆気なく動かなくなるサソリ。

「…………終わりか? やった! 楽に戦えてる!」

 自身のレベルアップを感じ、嬉しくなった。サソリをしまい、辺りを警戒するが今日はヘビはいないようだ。

 その後もヘビ、サソリ、トカゲと昨日会った魔物と遭遇するが、簡単に倒せた。一度だけ、トカゲ二匹と遭遇したときは少し緊張したが、魔法を打ち込み足を止めずに動いて斬り倒した。

 それなりの数の魔物を倒し、昼近くになりそろそろ帰ろうかと思った時、宝箱を発見した。

「まあ、敵も弱いし大した物は入ってないだろが、開けないとね。……さて、罠は? 鑑定!」

『宝箱 罠:無し』

 あとで気がついたのだが、鑑定は知りたい事柄を意識しながら発動すると、その詳細を教えてくれる様だ。魔物も意識さえすれば、HPMPを見る事が出来る。同じく、壁や床等も罠を意識すれば発見出来る。

「罠無しね。中はなにかな?」

 開けると中には草が入っていた。

「草かよ!」

 投げ捨て様かと思ったが、一応鑑定すると薬草だった。……宝箱に雑草なわけ無いよね……少し顔をあかくしながら、薬草を大切にアイテムボックスにしまい、家(仮)に帰った。



 家(仮)に帰ると、スライムがゴミ箱代わりの壺の中でごろごろ転がって居た。

「……そこお前の巣じゃないぞ? まあ、食え」

 倒したトカゲとヘビの骨と内臓を壷に入れ、自分も肉を串焼きにして、ナンもどきとスープと一緒に食べる。

「さて、昼も食べたし部屋をどうするかな?」

 まず、部屋を4メートル四方まで拡張する。その後、テーブルと椅子を作成。MPが足りなくなったので、休憩を挟みながら、小さな部屋をもう一つ作成し、ベットを作った。マットレスは難しいので、ベットサイズのスノコを作ってのせ、その上に敷き布団を作った。

 次に風呂だ。排水の処理が難しいが、昨日の流し台の作成がヒントだ。

 壁に階段を作り、上がった所に部屋を作り、隅の排水口の下に大きな壺を作ってセットした。

 湯船も作った。しかしシャワーがまた難しい。柱を壁から少し離して二本作り、柱の上に壁とくっ付けてタンクを設置した。タンクの下に穴をあけ、シャワーヘッドを取り付け、タンクの上から伸びる鎖を引くとタンクのお湯が落ちてくる。壁にフックをつけて、そこに鎖を引っかければ出しっぱなし出来る様にした。…………トイレタンクみたいだが、気にしたら駄目だ、忘れよう。

 同じ感じでトイレも作った。今までは外に行ってたが、これからは安全に用をたせる。………あとで捨てに行かないと駄目だが。

「ようやく、一通り必要な物が用意出来たな。これからは、迷宮探索を進めて食材の確保と装備品の充実。最終的には、砂漠を脱出し人里に行かないと」

 部屋の拡張に時間が掛かり、既に夜になっていた。スライムに残りの骨と内臓をあげ、自分も昼と同じ物で晩ご飯を済ます。風呂に入り、寝る準備をした所でステータスをチェックした。


タカ 十五歳 異世界人 男 LV5

職業:無職 状態:普通

HP:278/278 MP:22/278

力:101 体力:101 知力:101 魔力:101 敏捷:101

所持スキル:アイテムボックス 鑑定LV2 異世界言語 魔導錬金術LV3 体術LV2 刀術LV2 全属性魔法LV1 取得経験値増加LV2 詠唱短縮LV2 テイミングLV1

ステータスポイント:4 スキルポイント:4


 やはり、レベルが上がりまた少し強くなっていた。スキルポイントが4になっていたので、上がり難い全属性魔法に3ポイント使いLV2に上げた。これで、戦闘が少し楽になるだろう。

「ステータスポイントはまだ残すかな。あとは……え? テイミング? いつ取った? 餌をあげたからか?」

 よく判らないが、折角有るので利用しよう。スライムの所へ行くと、壺の中でごろごろしていた。

「スライム?」

「ピ?」

「テイミングのスキルを手に入れたんだが、俺の従魔になるか?」

「ピ? ピピ! ピピ!」

 ……なる。と言っている気がする。

「いくぞ? テイミング!」

 光がスライムに吸い込まれていく。光がおさまると、スライムとの間に何か回線の様な物が繋がった気がする。

「よし! 今日からお前の名前は……ポチだ!」

「……ピ!」

 若干戸惑う感情が伝わって来たが、今は嬉そうだ。………故郷に古より伝わる、由緒正しき名前だ。問題無いだろう。

 スライムを詳しく鑑定してみた。

ポチ δεζηθ歳 シルバースライム LV1

職業:タカの従魔 状態:普通

HP:10/10 MP:10/10

力:5 体力:5 知力:10 魔力:10 敏捷:2

所持スキル:悪食 状態異常無効 


「状態異常無効とか意外と良いスキル持ってるなぁ。悪食は何でも食べられる? 良いスキルなのか? ……年が文字化けして見れないのは、鑑定のレベルが低いからか? ともかく、これからよろしく!」

 初めてポチを拾い上げて持ってみた。少しヒンヤリスベスベ、それでいてサラッとしていて、ビックリするぐらい触り心地が良かった。何この謎生物、癖になりそうなんだが?

 ………今日は、抱えて寝た。




 翌日、ポチにサソリを丸ごとあげ、顔を洗い夜と同じ物を食べる。………少しあきてきた。

「良し! 迷宮に行くか! ポチも一緒に行くか?」

「ピ!」

 肯定の意志が伝わって来たので、肩に乗せると広がって動いても落ちなくなった。やはり謎生物だ。

 昨日のようにサクサク、トカゲやヘビを倒し進んで行く。全属性魔法をレベルアップしたので空間魔法でマップを覚えた。オートで歩いた周囲を記録出来るらしく、まだ行った事のない所を、確認していく。

 途中の宝箱で薬草を拾いつつ、探索続けているとようやく下に降りる階段を発見した。

「階段か。この階はだいたい見たから、下に降りるか」

「ピ!」

 ポチも賛成の様だ。降りると、下の階も同じ洞窟の様な作りだった。出る魔物も同じだが、複数で出る様だ。

「雷よ集え! サンダーアロー!」

 全属性魔法LV2で使用出来るようになった、アロー系の魔法は複数の矢が撃てる。十数本の雷矢が、三匹のトカゲに突き刺さり痺れたところを駆け寄り、模造刀で斬り捨てた。

「……後はいないな?」

「ピ!」

 周囲を確認後、トカゲをアイテムボックスにしまった。

「そろそろ昼か? ここで料理するのも何だし、一度戻るか。……明日、迷宮に来る時はアイテムボックスの中に、食べ物を沢山入れて来るか」



 家(仮)に戻って来た。少し遅くなったが、ポチに骨と内臓をあげて、自分もいつもと同じ串焼きナンもどきスープを食べる。

 ポチがこの食事をどう思って居るのか、意識を向けると嬉しそうな感情が伝わって来た。……悪食か? 悪食のスキルのおかげで、あれが美味しく食べれるのか? やはり謎生物だ。

 食後は小麦粉などの食材を出し、MPが少なくなると、ナンもどきや串焼きやスープを作る。MPが回復したらたら、また食材を出した。その繰り返しだ。

 アイテムボックスの食材を全部調理した。………サソリ以外は………。

 その後、ポチといつもと同じ食事をし、お風呂に入り寝る準備をした。寝る前に余ったMPで、予備の服などを作った。

 しっかり寝て起きればMPは回復している。MPが少なくなりすぎると、意識が朦朧として気絶しそうになるので、その少し前で止めるのがコツだ。……おかしいな、こんなギリギリの生活をするつもりは無かったのに。……気にしたら、駄目だ。寝る前にステータスチェックをしておこう。


タカ 十五歳 異世界人 男 LV7

職業:無職 状態:普通

HP:626/626 MP:8/626

力:228 体力:228 知力:228 魔力:228 敏捷:228

所持スキル:アイテムボックス 鑑定LV3 異世界言語 魔導錬金術LV4 体術LV3 刀術LV3 全属性魔法LV2 取得経験値増加LV3 詠唱短縮LV3 テイミングLV2 隠身LV1 気配感知LV1

ステータスポイント:6 スキルポイント:3



 また少しレベルアップした。この世界の平均が判らないから、何とも言えないが、少しずつ強くなっているのだろう。………たぶん。

 新しいスキルも獲得した。隠身は敵に発見されにくくなるスキル。気配感知は敵を探すスキル。恐らく先制を取るために、敵に見つからない様に敵を探して居たからだろう。

 ステータスを確認後、スキルポイントを3使い全属性魔法のレベルを上げた。

 ………全属性魔法がLV3になった事で、空間魔法で、転移を使える様になった。昼から大量の食べ物を作った苦労が、全て無駄に………。

 いや、気のせいだろう、今日はもう寝よう。



 翌日、食事を取り準備を整えて迷宮に。下に下にと、降りていく。たまにある宝箱からは草しかでない。薬草、毒消し草、魔力草、麻痺消し草、毒草、下し草。下し草は便秘に効くらしい。ただ量を間違えると嘔吐と下痢に苦しみ、最悪死に至とか。………当たってない? 食中毒? 毒草の一種じゃないの?

 気にしたら、駄目だ。探索に集中しよう。うん、それが良い。


 順調に探索を進め、B5階に着いた。ここで新しい魔物にあった。ゴブリンだ。一メートル位の背丈に、緑色の肌、醜悪な顔立ちをして、装備は革の腰巻きと棍棒のみ。三匹が固まって歩いている。何か話して居る様だが、言葉は分からなかった。そう言えば、異世界言語以外にも魔物言語もリストにあった。取っていれば、ポチの鳴き声の意味も判ったのだろうか?

 おっと、今は戦わなければ。トカゲやヘビと違い、人型の生き物を殺すのに抵抗は多少あるが、自分の命が掛かって居る。

「……確率二分の一、ファイヤーボール!」

 手より火球が生まれ、ゴブリン達の真ん中に着弾。火と爆風が生まれ、ゴブリン達が別々の方向に吹き飛ばされる。俺は素早く駆け寄り、模造刀を振り上げるが……既にゴブリン達は息絶えていた。

「今回は上手く行ったな。ゴブリンも個別の強さは、トカゲ辺りと大差ないのかな? アロー系で十分か。道具を使う様だから、装備次第で多少変わるかもな」

 ゴブリンをアイテムボックスにしまいながら、先程の戦闘を振り返る。魔法名のみで魔法を使う、詠唱破棄は今日練習していてたまに出来る様になった。イメージと魔力に対する意識が甘いのか、二回に一度は失敗する。

 途中で昼ご飯を食べ、更に探索を進めて行きB9階まで来た。ゴブリンも多く、かなりの数の魔物を倒した。B9階をさほど歩かないうちに、下に降りる階段を発見し、早速降りてみる。B10階に着くと、そこは誰もいない十メートル四方位の部屋になっていた。

「敵が居ないのか?」

 部屋の正面の壁には、装飾のされた大きな扉があり、怪しげな雰囲気を漂わせていた。

「これはボス部屋か? ………う~ん、少し遅くなったから、今日は上のB9階の残りを探索して、ボスは明日にするか」

 俺はそう決めると、階段を戻った。B9階はこれまでと、大きな差はなかった。強いて言うと、宝箱から、銅の剣が一つ出てきた。……一応アイテムボックスにしまったが、模造刀どころか木刀より悪かった。B9階の探索を終わらせると、転移魔法で家(仮)に戻った。

 家(仮)でゴブリンを鑑定してみたが、肉は毒こそないものの、臭みが尋常でないぐらい強く、餓死寸前でもない限り食べられない。試しにポチにあげてみたら、喜んで食べていた。

 ……やはり悪食なのか……最近気にしてはいけない事が、多い気がする。これが、異世界に来るということか?

 結局俺はいつもと同じ食事を取って、お風呂に入り寝る準備を整えた。いつもの様に余ったMPで、食器類や調味料や食材を作った。さて、明日に備えて寝るか………その前に、ステータスチェックをしておこう。


タカ 十五歳 異世界人 男 LV12

職業:無職 状態:普通

HP:4757/4754 MP:12/4757

力:1730 体力:1730 知力:1730 魔力:1730 敏捷:1730

所持スキル:アイテムボックス 鑑定LV5 異世界言語 魔導錬金術LV6 体術LV5 刀術LV5 全属性魔法LV3 取得経験値増加LV5 詠唱短縮LV5 テイミングLV4 隠身LV3 気配感知LV3 詠唱破棄LV1

ステータスポイント:11 スキルポイント:5

従魔:ポチ(シルバースライム)


 レベルも上がって、詠唱破棄のスキルも取れた様だ。また、スキルポイントを3使い全属性魔法を上げておく。

 ステータスだけを見ると最初に比べて、自分でもビックリするぐらい強くなった。ドラゴンでも出ない限り、早々負けはしないだろう。

 ……フラグ? いやいや、馬鹿な事考えてないで、明日に備えて寝よう。


 翌日、いつもの準備を整えてB10階のボス部屋の前まで転移してきた。……転移便利すぎ。

「さて、何が出る。何でも来い!」

 気合いを入れつつ大きな扉を開け放った。そこに居たのは巨大なドラゴン………ではなく十数匹のゴブリン達だった。……フラグとやらは立たなかったらしい。

「ファイヤーボール! ファイヤーボール! ファイヤーボール!」

 火球を三連発、ゴブリンが固まって居る所に打ち込んだ。爆音が響き、ゴブリンが吹き飛ばされる。大半はそのまま死んだが、四匹生きていた。近寄り、斬撃を入れ倒して行く。倒れて居るゴブリンにも模造刀を突き入れ、とどめを刺した。

「おしまいか?」

 ゴブリンを全てアイテムボックスにしまい、辺りを見回すが他に魔物は居なかった。

「おしまいだな」

 呆気なさすぎる気もするが、入って来たのとは別の扉に向かう。

「ピ!」

「グェ!」

 ポチが、肩から後ろ髪を引っ張った。……ちょっと首がグキッときた。

「……ポチ、どうした? 痛いんだが?」

「ピ!」

 ポチの指す、指先(体?)にいつの間にか宝箱があった。

「あれを教えてくれたのか。ポチ、ありがとう」

「ピ!」

「さっきまで無かったのに、ボスを倒したら出てくるのかな?」

 少し不思議に思いつつ、鑑定をするが罠はなし。開けて見ると、中には一組の篭手が入っていた。鑑定してみる。

『小鬼の篭手 攻撃力微小アップ』

「おお! 防具初!」

 早速、装備してみる。攻撃力微小アップの効果は、今イチわからないが、なかなか良さそうな篭手だ。

「よし! 行くか、あの扉の先には何があるのかな?」

 扉を開けると、そこには………階段があった。

「あ~ボスじゃなくて、中ボスか……まだ続くのか……」



 諦めて階段を降りていく。そこは、また洞窟が広がっていた。ただ、これまでは自然の洞窟だったのが、人の手の入った人口の洞窟に変わった感じだ。

 ボス戦……改め、中ボス戦は早く終わった為、まだ朝で時間はたくさんある。セオリーとして、下に進めばより強い敵が居るはずだ。慎重に行こう。

 敵はほとんど、入れ替わった。コウモリと狼、ゴブリンとその上位種になった。鑑定するとコウモリはジャイアントバット、狼はグレイウルフとの表示。

 コウモリは空を飛ぶため武器は当たりにくいが、HPは余りなくアロー系の魔法を当てれば簡単に倒せた。

 狼が少し面倒で一匹一匹は、大したことはないのだか、素早い上にゴブリン以上に連携を取って複数でやってくる。それでも魔法を当て模造刀で、楽に倒せる。

 厄介なのは、ゴブリンとその上位種だ。剣を装備したゴブリンソルジャーはまだしも、弓を装備したゴブリンアーチャーと魔法を使うゴブリンマジシャンは困った。今まで遠距離攻撃をしていたのが、自分がされると面倒だった。だが、一番大変なのは大盾を装備したゴブリンシールダーだった。魔法を撃っても、盾で防いで来る。そして後ろから魔法や矢が飛んでくる。魔法に気を取られた隙に回り込まれ、ゴブリンに何度か囲まれた。負けはしないが、少し苦戦した。

 その中で発見した楽な倒し方は二つ。一つは新しく覚えた貫通力のある魔法、ランス系で盾を貫いてシールダーを先に倒す方法。もう一つが…………。

「ファイヤーボール!」

 俺の撃った火球は、弧を描きシールダーを迂回して後ろに居たアーチャー達を吹き飛ばした。

「サンダーアロー!」

 動揺した他のゴブリンに追撃し、その後模造刀で切り倒した。

 魔力の操作次第で、魔法のコースを曲げたり出来る様になった。訓練次第では、もっと色々出来るようになりそうだ。

 B11階以降はそれ以前に比べると、階層事の面積も広くなっていた。探索も時間がかかる。

 嬉しい事もあった。この辺の宝箱からは、お金と防具が出た。お金は銅貨ばかりだけどね。防具は、革系の防具だ。布の服よりは、ましだろう。

 現在の装備は、模造刀、簡易型スモールウッドシールド、小鬼の篭手、革のブーツ、革の胸当て、鉈となっていた。……もちろん、布の服は着ているよ? ゲームじゃないから、革の胸当てを装備すると布の服が装備から外れる事はない。

 鉈も予備武器扱いで、腰の後ろに着けている。使ってないが。革の盾も宝箱から出たが、革と木だと、木の方が丈夫そうに見えた。……ただ詳しく鑑定すると革の盾の方が防御力が高い。まあ、壊れたら革に持ち替えよう。

 俺は昼食休憩を挟みながら、ゆっくりと確実に探索を進めて行った。

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