今は昔
太陽が光る。
そんな中、米俵を担いで人里を歩く男がいた。
「はぁ…はぁ…」
ボロボロな服に、土などで汚れた足。そして伸びきった髪の毛、わらじは無数の補強した跡がある。
まるで、ホームレスのようだ。
「おーい!こっちこっち、こっちさ運んでけろ!」
眼鏡をかけた金持ちっぽい見た目の男が呼ぶ。
「よいしょっと!」
米俵を男は、その金持ちそうな男の所有しているであろう蔵の中に運ぶと一息ついた。
「いやぁ、すまんねぇ。いつもいつも。」
「いえいえ、これが仕事ですから!」
そういって、男は腰を上げた。
「そういえば、名前はなんだっけ?」
金持ちそうな男は尋ねた。
「『葉山朔』です!」
そう、この物語はこの男の人生の物語である。
「あぁ、そうそう。朔くん。よかったら家に来てくれよ。」
「はい!喜んで!」
そうして、朔は男の家に招待された。
「おじゃまします。」
「あらあら、まぁそんなに汚れて…どれ、せめて風呂でも浴びてきなさい。」
そういって、腰をもたげたのはその男の奥さんであろう老女だ。
~数十分後~
「ふぅ~、いい湯だったぁ。」
「あぁ、あがりましたか。」
そういうと、おばあさんがあるものを手渡してくれた。
「ほらっ!これでも着なさい。」
新品の服だった。
「わぁ、ありがとうございます!」
「いいのよ、今日まで手伝ってくれたのですから。」
「ところでじゃ…」
「ん?…」
そういうと、男が袖の下から一通の『フミ』を出す。
「おぬし、ここを去るということは仕事のあてもないじゃろて。」
「ま、まぁ…」
「これは里で配られてた文なんじゃがのう…」
そういい朔は受け取ると、その文の中身を読んだ。
「なるほど…力仕事の募集…か」
「おそらく、ほかの人は行かなかったのじゃな。」
「どうして?」
「そこが妖怪屋敷だと言われているからじゃよ。」
(妖怪屋敷か…まぁ、大丈夫だろ。)
朔は単純な男であった。
~そうして、道を歩くことしばらく~
「…とりあえず来てみたが」
朔の目の前には大きな門と屋敷が広がっていた。
平安の都を思わせるであろう大きな屋敷、その門だけでも大人が三人縦に並んだくらいはある。
「大きいなぁ…」
そうして朔は門に手をかけた。
「失礼しまーす…」
(勝手に入っても大丈夫かなぁ…)
すると、奥から人影が近づいてきた。
女性だ。
「お待ちしておりました。仕事の依頼を受けてくださったのですね?」
「え、えぇ…まぁ」
「それではこちらへ…」
そういうと、屋敷のほうへ案内し始めた。
「広いなぁ~」
「そりゃあ、月の都の財力ですからね。」
「え…?」
聞き返そうとしたが、その女性はすでにそっぽを向いていた。
「つきました。少々、お待ちください。」
「は、はぁ。」
そうして、その女性は奥へと入っていった。
~しばらくして~
「お待たせいたしました。」
そこには、美しい着物を羽織った。綺麗な女性がたたずんでいた。
「輝夜と申します。」
どうもゼノ氏です。
今回の小説は前々から書こうと思っていた「なんとなく幻想入り」の過去の話です。
この話を読むことで、「なんとなく幻想入りシリーズ」を楽しんでいただけたらなぁ(´▽`*)
と、おもいます。
ではこのあたりで、バーイ!ゼノ☆ZE!