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第4話 世界で一番お姫様

十波

「やっと町についた…」


アマネ

「野宿続きだったし、早く風呂に入りたいわ」


クラフト

「連続でモンスターと戦ってるからHPが尽きかけたぜ…」


十波

「それなんだがクラフト…」


クラフト

「なんだ?」


十波

「俺は必死に頑張ったんだよ? だけどダメだったんだ…」


クラフト

「なにが?」


十波

「まさかあんなことになるなんて…。チキショー…」


クラフト

「だからなんだよ?」


十波

「カガヤ…体が真っ二つになって死んでるんだ…」


クラフト

「えー」


アマネ

「あら、ホントだわ。いつの間か棺桶があるわね」


アマネ

「あー風呂に入りたいわ」


クラフト

「えー」


クラフト

「ていうかいつ死んだ?」


アマネ

「さぁ? 私は基本的に一人で戦うから全くカガヤを見ていなかったわ」


十波

「俺もクラフトの財布を盗むのに必死だったからわからない…。けど財布を盗もうとしたときにモンスターが目の前に現れてやられそうになったんだ。さすがに俺も終わったと思った」


クラフト

「盗もうとしてる時点で人間として終わってるけどな」


十波

「後退りしたその時だ。背中に何か当たったんだ。なにか人のようなものだった。俺は無我夢中で人のようなものを身代わりにした。身代わりにした人のようなものは真っ二つに切り裂かれた。身代わりのおかげでモンスターは怯み、俺はその隙に剣を抜いてモンスターを倒した。だから俺もいつどこでカガヤが死んだかわからないんだ…」


アマネ

「たしかに十波の証言からじゃ全然、ええそれはもう全くカガヤがいつどこで死んだかはわからないわね」


クラフト

「お前ら正気か!? 今の証言に明らかに怪しいところあっただろ!?」


クラフト

「ていうかお前話おかしいだろ! さっき“必死に頑張ったんだよ?だけどダメだったんだ…”って言ってたけど何を頑張ったんだよ!? お前が頑張ったのって俺の財布を盗もうとしてたことだけじゃねえか!」


十波

「ああそうだよ。その成果が…これだぁ!」


クラフト

「俺の財布真っ二つじゃねえか!だけどダメだったんだって財布の話かよ!」


十波

「クラフト!」


バキッ。


クラフト

「ぐへっ!?」


十波

「すまん!」


クラフト

「なんで!? なんで俺いま殴られたの!?」


アマネ

「クラフト」


クラフト

「あ? なんだ―――」


ドスッ。


クラフト

「ぐふぅ…」


アマネ

「悪いわね」


クラフト

「だからなんで俺が殴られるの!?」


アマネ

「だから謝ったじゃない」


十波

「そうだよ…? 僕ら、謝ったんだよ…?」


クラフト

「謝ったらなんでも許されると思うなよ…」


クラフト

「ていうかどうすんだよ!? いきなり三人になっちまったじゃねえか! こんなんじゃ魔王ルシフェルなんて絶対倒せないぜ!?」


カガヤ

「みんなお待たせー」


クラフト

「えー」


十波

「神父を呼んで生き返らせてもらった」


クラフト

「えー」


アマネ

「肉体さえあればこの世界で死んでも生き返れるようね」


クラフト

「えー」


十波

「よし、全部問題は解決したし早く宿屋に行って休もうぜ」












~~~~~宿屋~~~~~


クラフト

「すみません、一晩泊まりたいんだけど部屋空いてますか?」


宿主

「今日はもういっぱいなんだよ。一般の部屋じゃなくていいなら空いてるかもな。ちょっと待ってろ」


カガヤ

「……一般的な部屋じゃないってことはVIPルームか何かか?」


十波

「そうなると金が心配だな。それに部屋数も気になる。ここにはワールドイズマインが一人いるからな」


アマネ

「一つ案があるわ」


クラフト

「おう、なんだワールドイズマイン」


アマネ

「VIPルームを一部屋だけ借りて、そこに全員が入ればお金の問題は解決するわ」


クラフト

「……っ!」


カガヤ

「……っ!」


十波

「……っ!」


クラフト

「う、嘘だろ…!? アマネがまともな意見を…!?」


カガヤ

「あ、悪夢だ…!」


十波

「みんな落ち着け! アマネは宿部屋がない今の状況にパニくってるだけだ! きっと次の言葉はいつものアマネの言葉だ!」


アマネ

「でも全員で同じ部屋に泊まるといっても、私は当然ベッドよ。他は浴槽やクローゼット、廊下に寝たらなんとか入るかしらね」


クラフト

「ホッ…、よかった…。いつものアマネだ…」


カガヤ

「相変わらずの扱いで安心したぜ…」


宿主

「お待たせしました、お客様。申し訳ございませんが人数分の部屋はご用意できませんでした。VIPルームが一部屋のみ空いておりますが、一人はベッド、他は冷蔵庫やゴミ箱、トイレで寝たらなんとか入りますが、いかがでしょうか?」


十波

「酷い…酷すぎるよそれは…!」


カガヤ

「野宿のほうがマシだな。絶対ベッドはアマネが占領するんだし」


クラフト

「それもそうだな」


アマネ

「宿主さん、そこの部屋借りるわ」


宿主

「ありがとうございます」


クラフト

「お、おおおぉぉぉぉ~…!」


十波

「俺たちの意見を一蹴したな」


クラフト

「はは…いいさいいさ…。勇者の権力なんてこんなもんさ…」


クラフト

「お前らは先に宿で休んでてくれ…」


カガヤ

「ん? クラフトはどうすんだ?」


クラフト

「俺は酒場に行って情報収集してくるよ……」


カガヤ

「そっか。んじゃ俺も少し町をぶらつくかな」


十波

「じゃあ俺は武器屋に行って装備揃えるか。アマネはどうする?」


アマネ

「部屋で寝るから私が起きるまで入って来ないようにしなさい」


十波

「うん…とりあえず握ってる鞭を置こうか…」









~~~~~~~酒場~~~~~~~


カランコロン。


マスター

「いらっしゃい。なに飲みます?」


クラフト

「ヤクルトを頼む」


マスター

「かしこまりました」


クラフト

「ふぅー……」


マスター

「おや、お疲れのようですね?」


クラフト

「まぁいろいろあってな…」


マスター

「ならこの町にいま勇者が来てるらしいですから、気晴らしに見に行かれてみてはどうですか?」


クラフト

「興味がない…」


マスター

「そうですか。お待たせしました、ヤクルトです」


クラフト

「サンキュー…」


ごくごくごく…。


クラフト

「ぷはぁ…」


クラフト

「………あれ? なんか急に眠く…な……」


バタリ。


クラフト

「ZZZ……」


マスター

「ふふふ…」


マスター

「おやすみなさい、勇者クラフト様…」





















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