第3話 シエロ
───街の外だよ~───
クラフト
「いいかみんな! これから魔王を倒しに行くが、その前に大事なことをきめなくてはいけない! それが何かわかるな!?」
アマネ
「王様の座をいかに素早く奪うか?」
クラフト
「反逆は許さん!」
カガヤ
「俺ん家のお隣りさんがもうすぐ生む赤ちゃんの名前?」
クラフト
「ルシフェルとでも付けとけ!」
十波
「チーム名?」
クラフト
「だから違っ──! いや…そいつは盲点だった…」
クラフト
「確かにチーム名が決まっていなかったじゃないか…!」
カガヤ
「ホントだ…! これは早急に決めなきゃいけないんじゃないか!?」
クラフト
「そうだな…。何か候補はあるか?」
アマネ
「〝いつもあなたの後ろにいますよチーム”」
くる~。きっとくる~。
カガヤ
「〝LOVE&ピース以外考えてません部隊”」
ライアーゲーム、スタート。
十波
「〝眉毛抜くとき血が出てこない?? あとさ、焼肉でホルモンと油って間違えるときない??”」
あるあるネタ。
クラフト
「………」
クラフト
「もういい…俺が決める…。チーム名は……、〝シエロ”だ」
十波
「………」
アマネ
「………」
クラフト
「異論は聞かんぞ」
カガヤ
「言いたくないけど…サブい」
クラフト
「うっせバーカ! 大体チーム名なんてどうでもいいんだよ!」
クラフト
「大事なのは戦闘時のフォーメーションだ! 効率よく戦うためにもあらかじめどういうフォーメーションを取るのか決めておいたら、戦闘は楽に進めれるし、最悪の事態は免れる!」
クラフト
「つうわけで特徴把握と役割とフォーメーション決めておくぞ」
十波&アマネ&カガヤ
「はーい」
クラフト
「まず剣術を扱える俺と十波が前衛」
クラフト
「んで、鞭と魔法が使えるアマネは中衛で前後をフォロー」
クラフト
「カガヤは唯一の回復要員だから戦闘時は後衛。文句ないなー?」
十波&アマネ&カガヤ
「はーい」
クラフト
「よし、じゃあ早速試すぞ」
モンスター、プーモが三匹現れた。
クラフト
「みんな! モンスターが出てきたぞ!」
十波
「ゴホゴホ…。風邪にはバファリン♪」
クラフト
「そんなのどうでもいいから戦え!」
アマネ
「ほらほら、もっと私にひれ伏しなさい!」
クラフト
「なんでお前が一番前に来てるんだよ!」
カガヤ
「クラフト、落ち着け! お前のお母さんのパンチラ写真やるから!」
クラフト
「母さんのパンチラって、てめーの仕業か! 通りで母さんの様子が最近おかしいと思ったんだ! 「ねえクラフト…最近私、女らしくなったと思わない?」って母さんが自惚れてる様子を見る息子の気持ちになってみろ!」
アマネ
「ちょっとうるさいわよ。静かにしなさい」
クラフト
「うるさい!? こっちは母親の不倫騒動が起きているのにうるさい!? こんな理不尽ありますか!? 神様ー!」
プーモ
「………」
十波
「おい、モンスターがクラフトを哀れな眼で見てるぞ」
クラフト
「見てんじゃねえよっ!! 同情すんなボケーッ!!」
■■■■戦闘終了■■■■
クラフト達は背を向けて逃げた。
クラフト
「ふう…! なんで俺が逃げなきゃならないんだ…」
しかし周りに囲まれてしまった。
クラフト
「なにー!?」
十波
「雑魚モンスターごとき相手に逃げることもできないなんて可哀想に」
クラフト
「他人事みたいに言ってんじゃねえよ…」
プーモ
「プー?」
アマネ
「はぁ…その可愛い声を悲鳴に変えるって考えるとゾクゾクするわ…」
クラフト
「もう全力で殺す…! へへ…殺してやる…! 殺してやるぞ~…!」
■■■■戦闘終了■■■■
プーモを倒した。
経験値0を獲得した。
お金0円を手にいれた。
アマネ
「一つ言っておくけど、このメンバーにチームワークなんて言葉はないわ」
クラフト
「一番乱してる張本人に自覚があってよかったよ…」
カガヤ
「しかしこんな敵に手間取ってるようじゃ全然ダメだな」
十波
「これは勇者に責任があると思いますが??」
カガヤ
「そうですね。リーダーがちゃんと命令してくれなきゃ俺たちどう動けばいいかわからないからな」
アマネ
「まぁ私に命令したら明日からの接し方が変わるけど?」
クラフト
「こうなったらモンスターに出くわさないように次の町に進むしかないな…」
そんなこんなで……。
クラフト
「モンスター避けてたら町に着く前に日が暮れちまったじゃねえかちくしょー!」
十波
「空に叫んでも何も解決しないよ?」
カガヤ
「むしろモンスターがやってくるけどな」
クラフト
「くそー…、こりゃ冒険一日目にして野宿だな…」
アマネ
「待ちなさい! もちろん私はホテルでしょうね!?」
十波
「いやいや、俺やクラフトが野宿してるのになんでお前だけラブホなんだよ!」
クラフト
「ラブホなんて一言も言ってないけど」
アマネ
「ラブホのシステムって意外と素敵って知ってる??」
クラフト
「あれすげ~よなぁ……って待て待て。こいつらのペースに惑わされたら明日には教会でお葬式だ…」
カガヤ
「だいたいちゃんとモンスターと戦いながら真っ直ぐ進んでたら夕暮れには街に着いてたんだ」
十波
「つまり誰が悪い?」
カガヤ&アマネ
「クラフト」
クラフト
「多数決で勝っても誰が悪いかなんて一目瞭然だバカヤロー」
クラフト
「とにかく今日は野宿だ。わかったらさっさと近くの川から水汲みと食料調達いくぞ」
アマネ
「つまり私達の生きるための犠牲となる生物を殺して連れてきたらいいのでしょう?」
クラフト
「ま、まぁそうだな…」
アマネ
「じゃあこれで十分ね」
アマネは最初に倒したプーモの○○○の部分を取り出した。
十波
「………!!」
クラフト
「………!!」
カガヤ
「………!!」
クラフト、十波、カガヤは見るに耐えれず、逃げ出した。
しかしアマネに捕まった。
さあ、ロックンロールの始まりだ。