第2話 三人目と四人目
アマネ
「お前は死ぬと、何処へ逝く??」
十波
「やる気か?この豚──」
アマネ
「ふん!」
十波
「ごふぅっ!!」
クラフト
「うわ…アマネの蹴りが十波のあそこに…!」
十波
「う、あ、ぬあぁ~…!」
アマネ
「ふん!」
十波
「でゅはぁっ!!」
クラフト
「も、もう一発がまた十波のあそこに…」
アマネ
「なぁに? 苦しいの? でもまだだぁめ。もっともっと味わってもらうわ…。ずっと私のターン!」
クラフト
「もうやめてー! 十波の息子が死んじゃうよー!」
アマネ
「いっそのこと死ねばいいわ。あんたのソーセージを二度と使えなくして、あ・げ・る」
十波
「……っ! いやぁー!!」
───10分後だよ~───
アマネ
「ふぅ~スッキリしたわ。んで、あんたたち何しに来たのよ。ペロペロ」
クラフト
「手についた血を舐めながら聞くなよ怖えよ…」
アマネ
「ふふ…やっぱり血を見ると興奮しちゃう♪」
クラフト
「お前は十波を見ると興奮するんだろ」
アマネ
「だって見なさいこの汚い顔。殺したくなるでしょ?」
クラフト
「燃やしたくはなる」
クラフト
「そんなことよりもお前を仲間にしたい。魔王を倒すために一緒に来てほしいんだ」
アマネ
「おっ! この団子うまいわね、マスター」
マスター
「ならご一緒におっぱいでもいかが──」
グサッ。
マスター
「おっと、アマネさんが投げた包丁が頭に刺さってしまいました」
クラフト
「ほら、ばんそうこう」
マスター
「助かります」
クラフト
「で、アマネ、来てくれるのか??」
アマネ
「あいつが行くならいいわよ」
クラフト
「あいつって……ああ、十波か。さっきまで喧嘩してたじゃねえか」
アマネ
「喧嘩じゃないわ。私が遊んであげてたのよ。よくやるでしょ? バトルロワイヤル」
クラフト
「ドロドロの関係じゃねえか」
クラフト
「でもお前が仲間になってくれて嬉しいよ。他に仲いいやついないしな。これからよろしく」
アマネ
「あ、言っておくけど私に命令したら、たとえ勇者でも殺して魔王にその首差し出すわよ?」
クラフト
「………」
───河原だよ~───
十波
「俺にアマネ、今のところ仲間は二人。あと一人は誰を連れていくんだ??」
クラフト
「カガヤだ」
十波&アマネ
「断る」
クラフト
「………お前らに拒否権はねえよ」
クラフト
「でもお前らの言いたいこともわかる。あいつは確かに普通じゃない。だがチームバランスを考えたらあいつしかいないんだよ」
十波
「チームバランス??」
クラフト
「ああ、お前ら職業言ってみろ」
十波
「偽勇者」
アマネ
「女帝」
十波&アマネ
「あ……そっか……」
クラフト
「マシな職業が俺一人しかいないことに気づいただろ?」
十波
「このチームには歌手がいないじゃないか…」
クラフト
「ちげえよ」
アマネ
「そうね…私たちはとんでもない見落としをしていたわね…。歌手がいないことに気づかなかったわ…」
十波
「歌手がいないとオープニングが流れない…!」
アマネ
「オープニングが流れないと冒険が始まらない…!」
クラフト
「まてまて。オープニングなんて裏方のアルバイトが適当に歌ってくれるから心配すんな」
アマネ
「歌手がいないとレベルアップしたときに何も音がない…!」
クラフト
「歌手関係ねえよ。音響担当だよ」
十波
「壮大なエンディングに物足りなさを感じる」
クラフト
「それは困るな…」
クラフト
「って違う違う。よく考えろ。チームに大切なものが他にあるだろ」
十波
「サイフ担当?」
アマネ
「違うわよ、人質担当でしょ?」
クラフト
「なにする気だ」
クラフト
「今のチームに足りないもの、それは回復要員だよ。お前らの職業じゃ何もできないだろ」
アマネ
「待ちなさい。女帝でもできることはあります」
クラフト
「その職業でなにができる」
アマネ
「調教」
十波
「身代わり」
クラフト
「調教ってお前……ってちょっと待て。身代わりってなんだ」
十波
「勇者がやられそうになったときの身代わり」
クラフト
「お、おおう∑ 案外いいやつだな」
アマネ
「こんなにいい人材が揃っているのに、よりによってカガヤ…」
十波
「第1話、伝説の勇者散るだな」
クラフト
「もう2話だけどな」
クラフト
「とりあえずカガヤの家に行くぞ。性格云々はとにかく、あいつ以上の僧侶は他にいないんだ。もう異論は聞かんぞ」
───カガヤの家の前だよ~───
クラフト
「カガヤの家に着いたな」
十波
「カガヤいるか~??」
…………………。
……………。
………。
クラフト
「いないみたいだな」
十波
「死んでんじゃない?」
クラフト
「それはないない…」
アマネ
「昨日差し入れで持っていった大福に毒入れたから死んでるかもね」
クラフト
「ええ~!?」
十波
「じゃあもういいんじゃない?」
アマネ
「いえ、ちゃんと死に顔を見ておきたいわ」
クラフト
「お前悪趣味だな…」
カガヤ
「お前ら家の前で何してる」
…………………。
……………。
………。
十波
「買い物袋持って俺らの後ろに立ってるカガヤに似た人がいるんだけど?」
アマネ
「殺し損ねたし…ここでやっちゃう?」
クラフト
「その結論に至るお前の思考はどうなってんだ」
カガヤ
「何してるのか知らないけど、クラフト。大福余ってるんだけどいる?」
クラフト
「待て、それを食べるとどうなるか簡単にオチが読める」
カガヤ
「大丈夫。なんのために俺が僧侶になったと思うんだよ」
クラフト
「もしかして大福の毒を抜いてくれたのか?」
カガヤ
「抜いてねえよ。MPは大切にしなきゃダメだろ~? 節約だよ節約。いちいち毒を抜くくらいなら買ってくるよ」
クラフト
「なんのために僧侶になったんだよ…」
カガヤ
「逆に訊こう。なぜ俺は僧侶になった?」
クラフト
「………(あれ…?ホントにこいつを仲間にしていいのだろうか…?)」
カガヤ
「ところでアマネ、大福いるか?」
アマネ
「いらない。てかさっきそのやりとりして新鮮味がないわ」
カガヤ
「あれ? このやりとりしたっけ? まぁいいや。そだ、俺が僧侶になった理由知りたい?」
クラフト&十波&アマネ
「………(こいつマジで物忘れ激しいな…)」
クラフト
「あ~…そんなことよりカガヤ。お前に頼みがある」
カガヤ
「???」
クラフト
「魔王を倒すために仲間になってくれないか?」
カガヤ
「ごめん俺魔王派だから」
アマネ
「………」
十波
「………」
クラフト
「もう殺そうか」
カガヤ
「冗談だって! 魔王を倒しに行くんだろ!? 平和のために行くって!」
クラフト
「よし、これで四人揃ったな」
クラフト
「落ちこぼれの十波」
十波
「おう」
クラフト
「女帝のアマネ」
アマネ
「様をつけなさい」
クラフト
「そんで僧侶のカガヤ」
カガヤ
「え? 俺って僧侶なの? てっきり勇者かと思ってたぜ…」
クラフト
「……とにかくこの四人で魔王を倒しに行くからな」
クラフト
「待ってろよ。魔王ルシフェル。俺たちに死角はない!」