表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
1/4

第1話 ゆるくいこうよ

これはとてもシンプルな話。

この世界には魔王がいます。

魔王は世界制服を企んでいます。

その企みを阻止するために立ち上がった一人の少年がいました。

彼の名は、悠真。

十波 悠真である。










王様

「時は来た。世界は今、魔王ルシフェルによって混沌の闇に包まれている。一刻も早くルシフェルを倒すのじゃ。頼んだぞ、勇者クラフトよ」










───城の外だよ~───


クラフト

「すまんな、お前じゃなくて俺が勇者になった」


十波

「ぶすー………」


クラフト

「おいおい、そんな無愛想な顔すんなって。しょうがねえだろ? この国の勇者は毎年筆記テストと面接で決まるんだから」


十波

「勇者に一番大事なのは知識とか力じゃなくて気持ちだってのによ…」


クラフト

「面接で、〝なんで勇者になりたいんですか?“って聞かれた時になんて答えたよ??」


十波

「なんだかんだあっても最後は結局英雄になるから。」


クラフト

「気持ちスカスカだな」


クラフト

「〝村人が困っています。どうしますか?”の解答は?」


十波

「周りの人もお前が困ってるのを気づいているはずなのに、誰にも助けられてないってことはお前友達いないんだな。寂しいやつ」


クラフト

「〝仲間がモンスターにやられそうでピンチです。あなたがするべきことは?”」


十波

「デジャヴや~、これデジャヴやで~?」


クラフト

「お前の過去なんて知らねえよ」


クラフト

「お前よく勇者になろうと思ったな…」


十波

「なんだよその顔はー!? 俺はなぁ、この国の英雄になるんだよ!」


クラフト

「英雄になってなにがしたいんだよ?」


十波

「はっ?」


クラフト

「例えば小説家になりたい。それはなんのためだ?? ただ自分が小説書くのが好きだからか?? だったら小説家じゃなくて趣味ですればいい。

小説家になることを目的とした奴はなれない。

小説家になったその先にしたいビジョンが見えていない。

ある一人の男もそうだ」


十波

「ある一人の男…??」


クラフト

「そいつは16歳に小説に出会い、その魅力に引き込まれた。そして自分もこういう心を動かせる小説を書いてみたいと思ったそうだ。だからそいつは小説家になることを目標としたんだ」


クラフト

「来る日も来る日も小説を書き、何度も何度もプロダクションに応募した。小説家になるために、小説家になりたいがために夢を見続けた」


クラフト

「しかし現実は違う。月日が経っても夢は叶わなかった。そしてそいつの精神は限界に達した。夢を諦めようと筆と過去の作品を捨てた」


クラフト

「しかしとある子供がそれを拾い読み始めた。そしてこう言ったんだ」


クラフト

「〝おじちゃんこれすごい面白いよ! 感動した!”」

クラフト

「……涙が止まらなかった。自分の根本に気づかされた。最初からそのために書いてきたはずだった」


クラフト

「心を動かせる小説を書きたいと、そうさせることが目的なはずだった。

小説家なんてその夢を叶える一つの手段でしかない。

だから彼は、小説家ではなくアマチュアで〝心を動かせる小説を書く”という夢を追い続けている」


クラフト

「何が言いたいかわかるか??」


十波

「FカップとGカップを触って比べても違いがいまいちわからないってこと??」


クラフト

「ああ、そうだ。しかしだ十波よ。Gカップのほうが若干圧力が違うことを感じとれ」


クラフト

「そしてだ。お前が勇者、英雄になりたいのはなんでだ?? 仮にちやほやされたいなら勇者なんて一つの手段でしかない。別の道だってあるだろ」


十波

「…俺が勇者になりたい理由は一つしかない」


十波

「カッコいいからだ」


クラフト

「お前にさっきの話をしたのは無駄な時間だったようだな」


クラフト

「じゃあ俺は旅の支度があるから帰るぞ」


十波

「あ、ちょっと待てよ! お前最初に連れてく仲間三人は誰にするんだよ!?」


クラフト

「それを今から決めるんだよ」


十波

「そうか。じゃああと二人だな」


クラフト

「とんだ勘違いやろーだよ、お前は…。さて、まずはあいつを仲間にするか。きっと酒場だな」









───酒場だよ~───


カランコロン。


酒場のマスター

「へいいらっしゃい…ん? なんだクラフトじゃねえか。今日はなに飲む?」


十波

「おっぱい!」


クラフト

「じゃあマスターの男おっぱいでも吸ってろ」


十波

「そりゃ拷問だ」


マスター

「へー…言ってくれるじゃねえか十波ちゃんよ…。そんなこと言ってるとワシがお前のおっぱい吸っちゃうぞ~」


クラフト

「それよりマスター、あいつ今日来てる?」


マスター

「お前のおっぱいも吸っちゃうぞ~」


クラフト

「吸うときは右乳からお願い。んであいつ来てる?」


マスター

「あいつなら奥で飲んでるよ。それよりおっぱい…」


バキッ。


マスター

「腹に拳が…!」


クラフト

「マスターはほっといてっと……お、いたいた。おーい、アマネ~」


アマネ

「ごくごくごくごく……ぷはぁ…」


アマネ

「………私に気安く話しかけるな」


十波

「クラフト、もしかして仲間にしたいやつって…」


クラフト

「そう、アマネ・リィラだ」


十波

「仲間にしたいやつってよりによってこいつかよ!?」


アマネ

「おいそこのロリコン。ちょっと黙れ…殺すぞ?」


十波

「…あ? ケンカ売ってんのか? 調子に乗ってっとそのおっぱい吸ってやんぞ? お?」


アマネ

「……いい度胸だ」


パキ…ポキ…ボキボキボキグジュリ。


クラフト

「今あり得ない音が拳から聞こえてきたぞ…」


アマネ

「ふふ…久しぶりに腕がなる…」


アマネ

「十波、お前は死ぬと何処へ逝く…??」









評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ