私、魔王じゃありません?
──「私、魔王じゃありません?」商人編
気づけば、あなたはまたしても“誤解の中心”にいた。
しかも今回は、剣でも魔法でもない。
帳簿と値札で世界が震えている。
最初のきっかけは、ただの偶然だった。
「この薬草、安すぎませんか?」
そう言っただけ。
だが相手は魔界随一の商会長だった。
「……価格操作で市場を支配する気か、魔王候補め」
「ちがいます」
その一言は、誰にも届かなかった。
翌日──
あなたは“黒衣の市場支配者”としてギルド掲示板に掲載されていた。
■商人ルート開幕
あなたは戦わない。
ただし、世界経済が戦場になる。
・薬草をまとめ買いして相場崩壊
・武具を原価で流して軍需産業を破壊
・魔石の流通経路を最適化して闇市場を合法的に壊滅
結果──
「魔王軍より被害出てるんだけど」
勇者が頭を抱えた。
■誤解の拡大
「やはり魔王だろう」 「いや、経済神では?」 「国家転覆型商人では?」
誰も“ただの商売上手”とは思わない。
なぜならあなたがやると、必ずこうなるからだ:
物価が安定しすぎて王国が税収不足
魔族が人間市場に依存し始める
勇者パーティが生活費で破産しかける
■ついに会議召喚
魔王軍・人間王国・商会連合の三者会談。
円卓の中央に、あなた。
「えっと……私、魔王じゃありません」
沈黙。
そして即答。
「ならこの世界経済の再設計案は何だ?」
渡されたのは200ページの契約書。
■あなたの答え
あなたは少し考えて、こう言った。
「全員が損しない取引、です」
その瞬間──
帳簿が光った。
契約書が再編され、世界市場のルールが書き換わる。
魔法でも呪いでもない。
“合理性”そのものが、現実を上書きした。
■エピローグ
後日。
商人ギルドの看板にはこう書かれた。
「魔王ではありません。安心してご相談ください」
その下に小さく追記。
※世界経済が変わる場合があります
そして誰かがつぶやく。
「……やっぱ魔王よりタチ悪いのでは?」
終わり




