第16話 家族会議
二人の問題
そう、思っていた
俺たちは今日の仕事を終え旧市街に帰ってきた
ギルドの周辺には屋台が立ち並び、声が飛び交い、屋台の匂いが渦を巻くようになっている
「ラピス・ギルドの近くに行けば仕事がある」
そんな噂が回り、気づけば人が集まってきた
いまや、旧市街で一番の市場が出来上がっている
俺たちは夕方の人波をかき分けるようにギルドへ戻った
そこはいつもの食堂だ
帰ってきた、って感じがする
するとそこにはミナが待っていた
「今日もご苦労様!報酬、配るよ」
ミナは机の上に布を敷き、そこに小袋を並べる
順番に名前を呼び、一人ひとりに手渡していく
全員に配り終わり、皆がギルドから出ていった
すると、一組の家族が残っていた
前に、俺に声をかけてきた痩せた男、ガイと、その妻のニナだ
前と比べて、肉付きが良くなっている
二人とも、どこか落ち着かない様子で、俺の方に歩いてきた
「ソラさん、ちょっといいか?」
ガイの声が少し硬い
俺が「どうした?」と返そうとした瞬間、ガイの陰に隠れていた小さな顔がひょいっと覗いた
女の子だ
好奇心を抑えきれない、キラキラした目で俺を見ている
「その子は?」
俺が聞くと、ガイが頭をかいた
「こいつは俺たちの娘で、ルーっていうんだ。どうしても今日ついてくるって聞かなくてな……ついてきちまった」
そう言うガイを、ルーがぐいっと押しのけるみたいに前へ出た
ずいぶんと、痩せている
顔立ちは綺麗で、目が大きい
青い瞳に、薄い青色の髪を、二つのお団子にまとめていた
「あなたが、ソラなの?」
吸い込まれそうに綺麗な瞳で俺を見てくる
俺が「そうだけど」と言いかけた瞬間…
「こら!ソラさんだろ!」
ガイが咄嗟に叱り、ルーの肩に手を置いた
「すまん、ソラさん。こいつ、礼儀ってもんを…」
「いいよ」
俺が手で制すると、ルーはガイの手を振り払うみたいにして、さらに一歩、俺に近づいた
「やっぱり!あなたがソラなのね。私、あなたにお願いがあるの」
彼女のとおる声が食堂に響きわたる
ナルが「なになに?」って顔で椅子に座り直し、イナクは机をふく手を止めた
ミナは何も言わず、こっちを見ている
「なんだい?」
俺が聞くと、ルーは胸の前で両手をぎゅっと握った
「ソラのおかげで、私、元気になったの。たくさん食べたの。薬も飲んだ。外にも出れる」
「だから、ありがとう!」
前にガイは、子供が病気がちだと言っていた
それがルーだったなら、元気になったんだと思った
「どういたしまして。でも、頑張って働いたのは、お父さんだよ」
「ううん、パパはずっと頑張ってた。でも、ソラと会ってから変わった」
「私は十才だけど。今は痩せてるけど、沢山食べて、すぐに大人になる」
ルーは息を吸った
「だから私を、ソラのお嫁さんにして!」
……響いた
食堂に、綺麗に通る声が、はっきりと
それを聞いてガイは、顎が外れそうなくらい口を開けて驚いている
ナルはにやにやしながら言った
「あらぁ~、こんな可愛い子が~。ソラ君って隅に置けない~」
イナクは口に手を当てて隠してるけど、肩が揺れてる……笑ってる
ミナはこちらをじっと見ているだけだった
俺は困ったようにルーを見る
その目は真剣だった
彼女はまだ子供だが、きっと、本気で言ってくれてるのだろう
ちゃんと向き合うべきだと思った
「ありがとう。嬉しいよ」
「でも、俺には心に決めた人がいるんだ。だからルーちゃんとは…」
俺が言いかけると、ルーが上からかぶせるように言った
「もう、恋人がいるの!?」
「え……いや、いないけど」
「じゃ、片思いってこと?」
「う……まぁ、そうだけど……」
「なら、その人がダメだったら、私と結婚して」
「…そういうことではなくて……」
「ソラがその人と結婚するなら、私は二番目でもいいよ」
「に、二番って……」
「そうなったら、その人の次に、私と結婚して」
「……ん?」
会話の階段が、変な方向に増築されていく
俺が状況を整理する前に、ルーが追い打ちをかけた
「奥さんは何人いてもいいんだから、いいでしょ?」
「いや、そんなわけには……なぁ、ガイ」
助けを求めた俺に、返ってきたのは予想外の返事だった
「ソラさんなら、俺たちも安心だ! 親の俺が言うのもなんだが、ルーは器量もいいし、気も回る。身体だって、この調子なら、すぐ元気に成長する。俺からも頼むぜ!ソラさん!」
「頼むな!」俺は心の中で突っ込みを入れた
いつの間にか、俺の横に立っていたナルが耳打ちしてくる
「稼ぎがいいと…何人も奥さんがいたりするんだよ~」
「ソラ君の稼ぎなら何人いても問題ないね~」
「まさかの一夫多妻制!?」
俺が固まっていると、ルーは不思議そうな顔をした
「……でもさ」
「ソラから好かれてるのに、結婚しない子なんて、本当にいるの?」
ミナがピクっと反応した
「ソラはこの街の稼ぎ頭だよ!? みんな喜んでる、暮らしやすくなったって」
言葉が速くなる
「私なんて、きっとソラがいなかったら、すぐ死んじゃってた。 ソラのためなら死んでもいいって人、たくさんいる。うちのパパだって」
ガイが頷いている
「みんなのヒーローだよ。かっこいいし、凄く優しそうだし。 そんなソラを、ふる子なんか、この街にいるわけないじゃない」
ミナが、またピクっとした
そうだった
これが、ミナが俺と急に深い関係を作ろうとした理由なんだ
旧市街で、俺のスキルはあまりに価値がありすぎる
俺がいることで救われる人達が大勢いる
その影響は、俺が思っているより、ずっと大きいものなんだ
だからミナは、あんなことをするほど、追い詰められたんだろう
俺はこの少女の気持ちに、きちんと向き合おうとした
「嘘なんかついてない。本当に心に決めた人がいるんだ」
「それに俺は、好き合ってる相手同士で、結婚するべきだと思ってる。 俺がいた前の世界の夫婦って…そういうものだったから…」
「だから、心に決めた人がいるのに、ルーちゃんと結婚の約束はできないんだ」
ルーは不満そうな顔をしていた
「私、ソラのことが好き。初めて会ったけど、想像通りの人だった。私は本気」
「絶対、絶対、ソラに好きになって貰えるように頑張る」
そう言ったあと、少し間があった
「それって…だれ?」
「ソラって、最近転生したばかりだよね?」
「ソラの周りに、女の子なんて、二人しかいないじゃない」
「それって……ミナかナルのことじゃない」
ナルがまさかの矛先にとまどう
「ええぇぇ、私ぃ…」
ミナは反応せずにこちらを見ていた
その様子を見て、ルーが言った
「あなたでしょ? ミナ」
視線がミナに集まる
それを受け止めて、ミナは答えた
「そうだよ」
あっさりとミナは認めた
ルーは言った
「ミナのことを、ソラは好きなんだって」
「結婚する?」
ミナはルーの視線を受け止めながら答えた
「しないよ」
ルーは眉をひそめた
「なら、私が一番でいいよね。 あなたは断るんでしょ?」
ミナはひるまずに答えた
「それは、ソラが決める事だから」
ルーは唇をきゅっと結んだ
「そういうの、ずるくない?」
「ずるい?」
ミナが小さく聞き返す
ルーは一歩も引かない
「だって、ソラが好きって言ってるのに、断るんでしょ?」
「断るなら断るで、はっきり言わなきゃ。ソラが困るじゃない」
「……断らないよ」
ミナの声が少し硬くなる
「じゃあ何なの?」
ルーは畳みかけた
「こんなに優しくて、凄くて、それなのに、私たちのことを見てくれる人、他にいるわけないじゃない」
「なのに、なんで結婚しないなんて言うの?」
俺はこの話を止めたくて、口を開きかけた
でも、その前にミナが言った
「私、ソラに抱かれようとしたよ。でも断られたの」
「えぇぇぇ!?」
ナルが裏返った声を出す
「抱かれってぇ、なにそれ!」
ミナは気にせず続ける
「ソラが凄いとか、優しいとか…私の方が知ってる」
「私なんかが受け入れないって…おかしいって思うよ」
「でもね……ソラは、私に本音を言えって言ったの」
ミナは胸のあたりを押さえる
「嘘をつこうとしても、見抜いてくる」
「だから……ソラに嘘をつけない」
ルーは一瞬、言葉を失った
でもすぐに口を尖らせる
「だったらなおさら、はっきり断りなさいよ」
「ソラが諦められないでしょ」
ミナがぴくりと反応した
それを打ち消すように、ミナは言い返した。
「だって……ソラは待つって言うし」
「私だって、自分が本当はどうしたいか…」
「ソラのことが、好きなのか、分からないんだから、しかたないでしょ」
食堂が静まり返った
どっちも引かない……長い沈黙が落ちた
ミナとルーはその間、ずっと睨み合っている
その均衡を崩したのはルーだった
「……分かった」
そして、区切りをつけるように続ける
「じゃあ、まだ一番は決まってないってことだよね」
ルーはそのまま、あの、吸い込まれそうな眼で俺を見た
まっすぐな気持ちが、俺に伝わってくる
「ソラ。私は本気で、あなたのことが好き」
「あなたは私のヒーローなの」
「ソラのためなら、私…なんだってする。これが本当の気持ち」
俺はその目から逃げられなかった
ルーは本気でぶつかってきている
俺が持ち込んでいる価値観こそ、おかしいことだから、こんなことになるのかもしれない
ただ…このまま、ミナに押し付ける形になるのだけは嫌だった
俺は、はっきり言った
「俺は、ミナが好きなんだ」
「……っ」
ナルが両手で口を押さえる
イナクも目を見開いた
俺は続ける
「俺はわがままだ」
「ミナに、本当に俺のことを好きって思ってもらいたい」
「俺がヒーローじゃなくて、ただの凡人でも……好きだって言ってほしい」
「ルーの気持ちは嬉しい」
「でも、俺が欲しいのは……ミナなんだ」
ルーはしばらくうつむいていた
握った拳が、小さく震えている
……泣くかもしれない。そう思った
でも次の瞬間
ルーは顔を上げて、ぱっと笑った
「そっか! 分かった!」
……よかった、分かってくれたのか
俺が胸をなで下ろした、その次の瞬間
「私、二番でもいい!」
「え?」
思わず間の抜けた声が出た
ルーはまっすぐに俺を見て、勢いよく言う
「ソラのこと、もっともっと好きになった!」
「ミナみたいに愛されたい!」
「二番だったらいいでしょ!? 私が欲しいのはソラなんだから!」
切り替えが速い。速すぎる
俺は頭を抱えて、年長者としての正解を、必死で探した
「……君が、もっと大人になって」
「その時も、同じ気持ちでいてくれたら……また聞かせてね」
自分で言いながら、これが一番丸い答えだと思った
ルーは目をきらきらさせて、力いっぱい頷く
「うん!」
そしてルーは両親のところへ駆けていき、飛び跳ねるみたいに報告した
「やったー! 大人になったらお嫁さんにしてくれるって!」
母のニナは泣き笑いで頷く
「よかったね……たくさん食べて、早く大人になろうね」
ガイは拳を握って、なぜか誇らしげだ
「おおお、よかったな! ソラさんなら安心だ!」
……あれ?
俺が思ってるのと、違う方向に話が進んでないか?
そのまま、ガイの一家は帰り、扉が閉まった
残ったのは、俺たちだけ
食堂の空気がすっと冷える
イナクは腕を組んだまま動かない
ナルは、音も立てずに机の前へ行き、ゆっくりこちらを向く
目が合った瞬間、ナルの目が笑っていないのが分かった
静かな怒りが、そのまま出ていた
ナルが机を、指でコンコンっと叩く
「二人とも、そこに座りなさい」
俺とミナは静かに、その言葉に従った……
イナクが腕を組んだまま、俺を見て言った
「ソラ、俺はお前に恩があるし、友だと思っている」
「だが、ミナを傷つけるなら、許さん」
低い声だった
言葉よりも、声の温度のほうが重い
ナルも腕を組み、静かに言った
「説明しなさい! どういうことなの。二人とも」
俺とミナは顔を見合わせ、言いづらそうに短く経緯を話した
ミナが追い詰められていたこと
俺がそれを止めたこと
俺がミナを好きだと口にしたこと
返事はあとで良いということ
話が終わると、ナルは目を閉じた
息を吸って、ゆっくりと吐き出す
そして……かっと目を見開いた
同時に、ナルの指が、勢いよくミナへ突きつけられる
「ミナ! 勝手になんてことしてるのよ!」
「ソラ君が狼になってたら、どうする気だったの!?」
ミナが目を泳がせる
「え……いや……そういう関係になれば……ずっといてくれるかなぁ……みたいな」
そこにイナクが割って入る
「そんなのはだめだ。許さん」
ナルが机を叩いて追撃する
「そうよ! 絶対だめ!」
「貧乏だっていいじゃない! 私たち、それでも楽しくやってきたでしょ!?」
「いざとなったら、ギルドなんか、閉めちゃえばいいんだから!」
そう言われて、ミナが跳ねた
「そ、それはだめ!」
言った瞬間、ナルとイナクの視線が突き刺さる
それに気づいて、ミナはすぐに勢いを失った
「…ぅ……み……みたいな……」
ナルは立ち上がり、釘を刺すように言った
「反省してますか!? ミナ!!!」
「は、はい!」
ミナは背筋を伸ばして返事した
ナルは黙ったまま視線だけを、ゆっくりと横へ滑らせる
視線が止まった先は、俺だった
「それから、ソラ君! あなたにも、言いたいことがあるわ!」
矛先が俺に向いてギクっとする
「私、知ってるからね。 聞いてるからね」
「最初の依頼の帰り道で、あなた、ミナに告白したでしょ」
「あ……いや……いつか聞いて欲しいって……頼んだだけで……」
「そんなの告白じゃない! いくらミナでも、分かるに決まってるでしょ!」
ナルがずいっと身を乗り出す
「あなた、なに勝手に私達のミナにちょっかいかけてんのよ!」
イナクがまた入ってくる
「そうだ、まず家族を通せ、許可をとれ」
二人の迫力にたじろく
「す・・・すみません・・」
……なんだか、ミナのご両親に叱られている気分になってきた
ナルは間髪入れずに続けた
「今後は、勝手にそういうのなしだからね!」
「もしも、交際したいのなら、きちんと家族会議で私たちの許可をとりなさい!」
「ミナが返事をするとしても、私達がそれを聞いて、ソラ君に伝えます!」
「嫁入り前の大事なミナに、勝手に色目つかわないで! 全部許可制!」
俺は肩を落として答えた
「はい・・・すみませんでした・・」
まだナルは言いたいことがあるようだ
「それから、浮気は絶対ダメだからね! ソラが幾ら稼ごうが、二人目とか絶対に許さないから。 そういうことしたいなら、ミナには近づかないで!」
イナクも入ってくる
「そうだ、駄目だ。 やったら引きちぎるからな」
・・・・なにを?
ナルはさらに念を押すように続ける。
「今後は、私たちの知らないところで、コソコソやらないで!」
「私達家族でしょ。 まず、家族の意見を聞くこと!」
「う、、うん」
ミナが答えた
俺が黙っていると、ナルが俺を指さして言った
「ソラ君!返事は!? あなたも私達の家族でしょ!?」
「え!? あ・・・ は、 はい!!」
家族と言って貰えて、俺は胸がうくような気持ちになった
ふいに、イナクがわざとらしく咳払いをする
「よし、じゃ、飯にするか」
そう言ってイナクは立ち上がり厨房へ向かう
「ソラ、手伝え」
歩きながらイナクが俺に言う
「お、おう」
俺も厨房に向かった
途中、イナクが何も言わずに、左拳を差し出してきた
俺は一瞬だけ戸惑ってから、右拳を出して軽く当てた
「やるな、お前」
「おう」
俺達は厨房に入り、夕食の支度を始める音が鳴り始める
それを確認してから、ナルはミナに近づき、耳打ちした
「で!? 本当は、ソラ君のこと、どう思ってるの?」
ミナも小声で返す
「そういうの、分からないよ。恋愛とかしたことないし」
「はい、出た〜。ミナはまだ、子どもだからね〜」
「……なにそれ」
ミナが眉をひそめた
ナルはからかうように続ける
「だってさ、実はまんざらでもないんでしょ? 態度に出てるよ」
「出てない」
「出てた」
「出てない!」
ミナがむっとする
ナルは肩をすくめた
「まぁ、いいけど。ソラ君って結構よくない?稼ぐし、嫌なことしないし、わがまま聞いてくれるし」
「……そ、そりゃ……優しくて、いい人だなって、思うけど……」
「ほらぁ~! いい人だってぇ〜」
「だから、それ以上は分かんないって言ってるでしょ!」
ミナはむすっとしたまま、逆にナルに問い返した
「……じゃあ、ナルはどうなの!?」
「え?わたし?」
「ナルだって子どもじゃん」
「え〜、ミナより大人だよ」
「じゃあ答えてよ。イナクのこと、どう思ってるの?」
ナルが一瞬で固まった
「……は?な、なに言ってんの急に」
ミナは少しにやっとする
「だって絶対、イナクってナルのこと好きでしょ?」
「はぁ!?」
思いがけず声が出て、ナルは慌てて両手で自分の口を押さえた
「ちょっとミナ!声!」
「声出してるのナルじゃん」
ミナは嬉しそうに目を細める
「ナル~、顔赤くなってるよ」
「赤くない!!」
そう言ったあと、ナルは少しの間、黙ってしまった
ナルは急にしおらしくなって、視線を泳がせた
「……だって、ずっと小さいころから一緒にいたんだよ?私のこと、妹みたいにしか思ってないよ。私、ちんちくりんだし」
「そんなことないよ」
ミナが即答する
「……なんで分かるの?」
「分かるよ。イナクって、ナルのことばっか見てるもん」
「……見てない」
「見てる」
「見てないってば」
それからミナはあらためて聞いた
「それで、イナクのこと。本当はどう思ってるの?」
ナルは視線を逸らして、声を落とす
「……だって……イナクは、家族だし」
「ずっと一緒にいたし……」
「そういうの……分かんないよ」
ミナがすかさず突っ込む
「分かんないって言った~」
ミナは嬉しそうに言う
「ほら。ナルだって、そういうの分からないでしょ。子どもだよ」
「……っ!」
ナルが詰まって、すぐ反撃する
「ミナのほうが子ども!」
「ナルのほうが!」
「ミナ!」
「ナル!」
俺とイナクは、今日の夕食のポトフが入った鍋を持って厨房から出てきた
なぜか…ミナとナルが揉めている
「どうしたの?二人とも」
俺が声をかけると、二人はビクっとして驚いた
「ソ、ソラ、びっくりした~」
「な、なんでもないんだよ、ソラ君」
そんな二人の様子に、俺とイナクは顔を見合わせた
食堂にはポトフの暖かい香りが広がっていた




