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ギフト4 【この世界は普通ではないみたいです】


 ある日を境に、この世界の男達は性欲が減少した。

 生物本能である子孫繁栄は少なからずあるといえど、今までの 男 という性別の常識は変化したといえるだろう。


 性欲が減るということは女性へ向けてのアプローチがなくなるということ。

 身体を鍛えることもない。

 男らしい外見を気にする必要もない。

 ただ人としての寿命がなくなるまで平凡に毎日を過ごす事が優先される。


 一方、女性は性欲が少なくなった男性と逆に、女性からの性的欲求が増大する傾向が強くなった。

 女性としての生物本能が子孫繁栄の意欲を強めるきっかけとなったと言える。

 そうして子孫を残す為、男の種を求める為、女性達は多くの男と関係を求めるようになった。

 その結果、この世界には15歳以上の男は性的経験者はほとんどいない。

 15歳となった瞬間、この世界の男達は女性から狙われる種としてその日常の9割を過ごす。

 故に、この世界は男の夢であるハーレムが常識なのだ。


 「ね? 男として夢のような世界でしょ?」


 同意を求めるようにウインクをするレニーに、俺は首を縦に触れなかった。

 この村に来てすぐに疑問に思った違和感に話を聞いてようやく理解できたからだ。

 それはこの村には先ほどの修道院の老婆以外、女性が1人もいない事。

 在中しているのはどれも干からびたように瘦せ細った男ばかり。

 最初は食料が少なく栄養が足りていなかったせいであると考えていたが、ベッドに寝ている男性の状態を見てすべて理解できた。

 

 「1つ、質問いいかな」

 「答えられることなら」

 「女性に性的関係を求められる世界だとキミは言ったが、それは人間の女性のみの話?」

 

 質問を聞いたレニーは両目を細めて小さく微笑んだ。

 それが良い意味の笑みでないことはすぐに分かった。

 つまり、ベッドに寝ている男性を襲っていたのは何かしら人間とは別の種族の女で、男性は性的関係を無理やり求められたのだ。

 だから恐ろしい。

 だって あれ に襲われた直後に遭遇した俺が目撃したのはミイラの様に干からびた男性の無残な姿だったのだから。

 背中に背負った時にはあまりにも軽すぎて2Lのペットボトルが入ったリュックを背負っている感覚になるほど絞られたのだ。


 「・・・」

 「どう? この世界のことはおおかた分かった?」

 「あぁ、よく理解したよ」

 「そう? それじゃあお互い世界に飛ばされた者同士。 これからのことを――」

 「今すぐに元の世界へ帰ろう」

 「――へ?」


 俺は椅子から立ち上がりレニーの腕を掴んで建物からでようとしたが、レニーは慌てた様子で引き留めた。

 

 「ちょっちょっ! 何言ってるの? この世界にいるってことはおじさんもこの世界を救う為に神様に連れてこられたんでしょ?!」

 「何言ってるんだ。 俺は生まれ暮らした世界に生き返らせてもらう予定だっただけでなんでこんな訳の分からない世界にいるのか理解もできてないんだ。 世界を救うとか無理にきまってるだろ?」


 俺の言葉に目を見開いて言葉を失うレニーに、俺はレニーの視線を合わせる。


 「レニー。 キミの言う通り、もしも神様が世界を救わせる為にキミをこの世界に連れてきたのだというのなら、今すぐに元の世界へ帰ろう。 まだ計画はないが俺が出会った神様ならキミも元の世界へ帰らせてもらえるはずだ」

 「・・・」

 「いくらキミが神様に連れてこられた人間だと言っても、こんな異常な世界にいてはダメだ。 危険なことに巻き込まれる前に――」

 「――」


 顔を俯かせながら小さく何かを呟くレニーに耳を傾けると、次の瞬間には右頬に強い衝撃を受けた。

 理解するのに数秒時間がかかったが、すぐにレニーが俺の顔を殴ったのだと理解した。


 「ふっざけんなよオッサン。 少しでも期待した俺がバカだったよッ!」


 レニーは走って建物から出ていき、俺はそれを呆然と眺めることしかできなかった。

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