ギフト3 【モテは男の夢ですよ】
危ないところを蒼い瞳をした謎の少年に助けられ、俺は森を抜け小さな村に来ている。
壁や屋根が穴だらけの古びた家が並び、店と呼べる建物は何一つもない。
周囲の村人達も活気はなく、余所者の俺が珍しいのか四方から視線を感る。
「あの~、質問いいかな?」
「ん? なに?」
横に歩く少年はずっと何もないところに指をなぞる仕草をしつつ俺の声に耳を傾ける。
「本当にここにこの人を助けられる病院があるの?」
この人、というのは俺が森の中で遭遇した あれ に襲われていた男性のことだ。
あれから少年は見るも無残な姿で倒れていた男性を地面に引きづって村へ連れて行こうとしていたので思わず自分から背中に背負うことを提案して今にあたる。
「病院なんてないよ」
「え! じゃあこの人どこに連れていくつもりなんだ?」
「あそこ」
少年が指をさした建物へ入ると、そこにはヨボヨボの修道服を着たお婆さんがいた。
「ここは、修道院?」
「正確には元修道院。 今じゃ立派な建物もなくなってシスターがいる場所が修道院として扱われてるね」
建物内には板で組み立てられただけのベッドが2つと生活で使用しているテーブルが1つある。
お婆さんはプルプルと震えながら何かモゴモゴと少年に声をかけると、ゆったりとした足取りで外に出て行ってしまった。
「今から料理持ってきてくれるって。 待ってる間にその人をそこのベッドに寝かしておけってさ」
「あ、あぁ。 わかった」
言われた通り男性をベッドに寝かせる。
急に体重を乗せると今にもベッドが崩れ落ちそうな音が聞こえるのでなるべく慎重におろす。
「さてと、それじゃあまずはお互いの自己紹介からしてみようか?」
少年は数少ない椅子に座りながらも、また何もない空間に指をなぞる仕草を見せた。
「わた、じゃない。 ボクの名前はシルビア・レニー。 あんたと同じ異世界人だよ」
「・・・だいばー?」
聞きなれない単語に首を傾げるとレニーはようやくなにも無い空間から俺の方へ視線を向けた。
「え? 神様から聞いてないの?」
「かみさま? ・・あぁ」
なにも無い死後の世界で見たあの白髭爺さんのことを言っているのだろう。
別に自分のことを神だと一言も言っていなかったが死んだ人間を当たり前のように生き返らせる不思議な力があるのだ。
確かにあんなヨボヨボでも神様なのだろう。
それはそれとして俺はただ死にたくないから生き返らせてくれという願いを素直に聞いてもらっただけなので、今の状況もなにも聞いていないことをレニーに伝える。
「そういうこともあるんだね。 だからオジサンさっきからステータスの確認もしないのか」
「すてーたす?」
ステータスは言わずと知れたゲームなどで自身の能力などを確認できる概要のことだ。
レニーの目の前には確認しようとすると空間に表示される画面が映し出され色々な情報が記載されているという。
「それじゃあまずはこの世界がどういった世界なのかも全然わからないわけか。 まずはそこからだね」
レニーはズボンのポケットからA4サイズのホワイドボードと黒マジックを取り出して文字にステータスが見えない俺の為に文字にして書いてくれた。
それはそれとして当たり前のように小さいポケットから物を取り出した事にツッコみたかったが堪えた。
「まずはこの世界はボク達が生まれ暮らした世界とは異なる世界。 アナザーワールド。 この世に生まれた男達がハーレムになれる、男の夢のような世界だよ」




