馨と絹とオルゴール
注意
- この物語はフィクションです。
実在の人物、団体、建物とは一切関係ありません。
- この物語を生成AIの学習等に使用するのはご遠慮ください。
- この物語は百合的要素を含みます。苦手な方はご遠慮ください。
登場人物
馨 : 女子高生。
競争心が強く、負けず嫌い。
流行や周りの意見に流されない。
王子様のように振舞う絹の事が大嫌い。
絹 : 圧倒的な中性的美貌を持つ女子高生。
校内の女子達の期待に応えるため、王子様として振舞う。
「シルクは馨にこれ以上近づけないのだろうか?」
横に立つと絹がキレのある声を出した。
「シルク?」
私は疑問符を浮かべながら絹を見た。
中性的な絹は、真剣味を帯びたことで凛々しく映え、女子達の評する白馬の王子様の様であった。もし制服を着ていなかったなら、美男子にしか見えなかっただろう。
そんな王子様はショーケースの自鳴琴を指さした。
「白いドレスの女性がシルクだ」
自鳴琴の上では、白いドレスの女性とホワイトタイの男性の人形が向かい合っている。
「それなら馨は?」
私は答えを知りながらもそう聞いた。
絹は残酷にも男性の人形を指さした。
「絹には私が男に見えているの?」
私から不機嫌が溢れる。
「失敬。君の馨じゃない。井上 馨だ。社交ダンスと言えばこの人だろ」
絹は笑いながらそう弁明する。私はモヤモヤする。
仕返しに書店の袋を乱暴に突き出す。
「ありがとう」
絹は爽やかな笑顔で袋を受け取り、胸の前で抱え持った。
袋の中には、私がレジに並んで買った絹の少女漫画が入っている。
「毎回付き合わされるの面倒なのだけど……」
ついつい絹への溜息が漏れる。
「すまない。でも、自分で買えないんだ。そんなところを見られたら幻滅されかねないだろ」
絹は疲労の滲んだ声を出した。
「自分を偽るより、幻滅された方がマシじゃない」
私は呆れた様にそう返す。
「ダメよ。昔みたいに異物扱いされるのは嫌なのよ」
乙女の絹が潤んだ目で私を見た。私は最低なほど無神経だった。
私には掛けられる言葉がなかった。代わりに手を握った。
書店を出ると、降誕祭の為恋人達が目についた。私はその中を手を握って歩いた。
N浜駅で乗客の大半がおり、車内は私と絹だけになる。
絹は私に体を寄せ、絹のように滑らかな右手を私の左手に重ねた。
「馨。いつも付き合ってくれてありがとう」
絹は私にしか見せない少女の声を出す。絹の顔は車窓から見える満月の様に美しい。
乙女の顔だ。
「私達親友でしょ。それに、絹の買い物に付き合うと、一緒にいる時間が増えるから嫌じゃないわよ」
私は左手を返す。互いの手の平がべたっと吸い付く。
「ありがとう」
乙女の絹は笑顔を浮かべた。
絹の右手は指の間へと指を入れようとしてくる。私はそれを受け入れる。
2人で鍵をかける様に、小指から順に折りたたんでいく。
私達の手は親友として、ただただ固く結ばれていく……。
読んでくださりありがとうございました。
面白いと思っていただけたなら幸いです。
以後は制作時の感想になります。
[制作時の感想]
今作はラジオ企画に投稿するために文字数の制限があり、そのため無駄な部分を削りに削りました。
一回目書き上げた時には1500字を超えてしまっていました。
それから、セリフを短くしたり、「~と言った」と言うような無くても伝わりそうなものは極力消すようにしました。
次に、長いカタカナ語を漢字に変えていきました。普段は目にしない「自鳴琴」や「降誕祭」と言う言葉が使われているのは文字数節約のために置き換えた結果です。
それでも、足りなかったためルビを削除しました。作中では『王子様』と言う部分に『わたしのきらいなきぬ』、『乙女』と言う部分に『わたしのすきなきぬ』というルビを振っていました。それ以外にもルビを振っており、それらが文字数を爆増させていたため、すべて消しました。
それで、何とか1000文字になったので無事投稿することが出来ました。




