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第1話 死神の共犯者 前編

いつものように夕食を済ませるて部屋に戻と、何故か置きっぱなしのゲーム画面の表示が歪んでいるように見える。

自分の身体状況は普通だと確認し、再び画面へ顔を向けると、そこには何故か一人の鎌を持つ少女が居た。

肩に及ぶ銀髪で、赤い目と白い肌、身に纏ったのは黒いマント。このゲームには存在しないはずのキャラだった。


「アンタがこの部屋の主か?」と、まるでモニター越しにこちらに話掛けているみたい。

そんなわけないと思い、コントローラーを操作して選択肢らしきものを探したが、何の反応もなかった。


「ねぇ聞いてる?」

「まさか……ホントに私と話しているんですか?」

今度は好奇心に耐えられず声を出してみた、すると

「アンタ以外誰がいるの?」

(モニター越しで会話が成立している!)

「こんな高性能なゲームだったっけこれ?!」

「あぁ、そっか。アンタこれをゲームだと思ってるのか」


間違ったアプリでも起動したのかと疑ったけど、そもそも操作すら効かなくなって困惑していた。

「いい?これはゲームなんかじゃなくて、私は別の世界からアンタと繋がっているのよ」

「…………」あり得ない説明に私はただ唖然とした。


「じゃあまず自己紹介でもするかな、私は死神のヴァイスだ」

「しに、がみ!?!?」

思わず大声を出した、それも仕方ない、なんだって自分の命が狩られるのかと思ったからだ。

その反応を聞いて、母がドアの向こうから「どうしなたの?」と訊いてきた。

「何でもない!」と私は慌てて誤魔化す。


「急に大声出すな、他人に見られた困るんだから」

少女は画面の向こうから文句を言い。

「だ、だだだだって、死神って……」

「心配するな、生き物の命を取る死神じゃないよ」

「それって、どんな死神なんですか……?」

「例えば、そうね……アンタ、消えた方がいいと思った作品の登場人物とかいない?」

「え、そりゃあ一人二人くらいは居ますよ」

「そういう奴の存在自体を消すのが、私たち死神の仕事よ」

「死神のイメージと全然違いますね……」

逆に人間の助けになっていないか、それ?


「そこで、アンタに頼みがあるんだ」

「なんですか、死神さま」

「ヴァイスでいい。アンタにはこれから、私の活動のサポートをして貰いたい」

サポート?何の?登場人物を〇す手伝い?なんか嫌だけど……


「どうしたんだよ、なんか返事してよ」

「いや、色々思考回路がショートしてて。そもそもどうして私なんですか?」

「アンタの趣味と思考が、人間界で一番私のと近いからよ。数ヶ月観察したから間違いない」

「そんなに観察されてたのですか……でもさっき言った仕事とは関係なくないですか?」

「大有りだ、私は自分が興味のある作品でしか活動しないからね。人間の助っ人にも同じ趣味であって方がいい」

「能力の高さじゃなくて趣味かどうかですか……それは納得するとして、私に何のメリットがあるんですか?」

面倒ごとは嫌いだから褒美もなしに突っ込むつもりはない。


「そういえば考えてなかったわ」

「えぇ……」

この子、タダ働きさせるつもりだったのか。

「まぁ、アンタの嫌いな奴を消せるから相当なメリットじゃない?」

「それデスノートです」

「そう思って貰っても構わない!アンタとは趣味が近いから、憎い奴を優先的に消してあげてもいいよ」

「いやですよ……私が悪者になってるみたいじゃない」

「そう?ならアンタの恥ずかしい趣味を親御さんにバラすと言っても?」

「なっ……!?」

別の世界から一方的にいじめてくるの卑怯すぎない?!


「じゃあ……気が向いた時だけでいい?」

「急な仕事がない時ならOKよ、でも今日はアンタに慣れるために初任務を用意してきた」

「えぇーー、私の貴重なゲームタイムがーーっ!」

「では、このゲームの本体を用意して来い」

少女が言うと、画面に『ヘルバーンズ』のゲームタイトルが表示された。


…………


『ヘルバーンズ』とは、異星からの生命体が地球を侵略する中、特別な武装を扱える少女たちが侵略者に立ち向かうスマホRPG。ありふれた設定なのだが、美少女ソシャゲに珍しく視点となる主人公が女性固定なのがポイント。

私が最近唯一プレイしていたソシャゲでもあったけど、シナリオライターが爆弾を投下したせいで私含め一部のユーザーが離脱した。


「コロs……じゃなくて消す相手はもしかして……」

「わかるでしょ?最新ストーリーのアイツだ」

「やっぱり、それなら私も出来る限り協力致します」

本当にアイツを消えして貰えたら、私も引退せずに済めるかもしれん。これをWin-Winと言いうのかな。


「えっと……スマホゲームだからスマホから開ければいいですよね?」

「ええ、それでいい。ってアンタなんでデータすらダウンロードしてないのよ」

「だって、もうアンストしたからですよ」

「今からダウンロードし直しさい、その間に仲間を紹介してあげる」

「はい、というか仲間いたんですね、ワンオペかと思いました」


「クロガネ、もう入っていいよ」

モニターの右側から一人の女性が舞台裏から出るように自然と現れた。

長い黒髪のポニーテールで、身長が高く目つきが悪い、ヴァイスと同じく黒い服装を着ている。背中には巨大な剣を背負っていて、いかにも剣士という感じだ。


「クロガネだ、よろしく」

ヴァイスと比べてかなり低い声だった。

「よ、よろしくお願いします」

威圧感に怯えて思わず小声となった私。

「この人は私のバディよ」

「バディ……?」

「共に死神の活動をする相棒のこと」

死神が二人組で現れるなんて、なかなか見ない光景だ。まぁ外見は骸骨じゃなくて美少女だから違和感ないだけど。


「コイツがお前が選んだ助っ人か、どう見てもただの一般人じゃないか」

クロガネが貶すような口調で私に向かって話す。

「依頼人も一般人のが多いなんだから、同じ立場だと作品に接触しやすいと思わない?」

「そういうことなのか」

ヴァイスの説明にクロガネが納得した模様。


「ところでこのゲームにどんな依頼が来たんだ?」

「ぽっと出のイケメン野郎を消す依頼だね」

ヴァイスの言う者は、公式カップリングを持つキャラが唐突に恋愛感情を抱き始めた、数日の付き合いしかない相手だ。そのせいでファンの脳が破壊されたことも。

「アイツさえいなければ……」と思ってるユーザーは多そうだ。名前は……なんかの食材だったらしいけどもう覚えていないから食材男とでも呼ぼうかな(無責任)。


「またそんなことか、つまらん相手には興味ないぞ」

「大丈夫、怨念が高いほど強くなるから、きっとクロガネには退屈させないよ」

「そうだといいがな」

二人がよくわからない話をしていた。


私たちはそのまま、データのダウンロードを待ち続けていた。


…………

初投稿です。

長年日本語の独学をした中国人ですが、初めて日本語の小説を書いてみました。不自然なところもあるかもしれませんけど、これから改善していきたいと思います。

ここ数年よく地雷を踏んでて、その執念により生まれたのが本作です。ストレス発散のために書いたものでもありますが、楽しんでもらえると幸いです。

『ヘルバーンズ』ってタイトルからは元ネタが分かりやす過ぎますが、でも本家よりカッコイイのでその採用しました。

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