酒のように体を回る
注意事項1
起承転結はありません。
短編詐欺に思われたら申し訳御座いません。
注意事項2
オマケがちょっと恋愛です。R15です。
苦手な方はご注意下さい。
横たわる隣人が目玉をかっ開いて、こんな事をボヤいた。
「最近、気絶したのは何時だっか」
なおこの『気絶』という言葉。一般に予想される様な『倒れる』という意味で使っては居ない。布団に包まるって、ぽっくり眠る事を指している。つまり寝付きの良さを言っているのだ。
「……夜もすがら喫茶店やってたら良いのに。あと瞬間移動覚えられたら良いのに……」
そんな話をして、一時間程幾度か寝返りを打った後に、漸く寝息が聞こえてきた。
人は酒に酔う。眠りのお供として酒をかっ食らう人も居るのでは無かろうか。だが私の体は酒精を毒と認識する。気持ち悪くなる訳ではないのだが、『これ以上飲むな』と脳が警報を鳴らす。その不安感からあまり酒が得意ではなかった。美味いとも思わなかった。
その代わり珈琲が酒の代わりを担っていた。体が毒と認識せず、狂ったようにハイになって気分が良い。何かを襲う事に躊躇いが無くなるような、絶対的な全能感を与えてくれる。そうして効能が切れた後には、ぽっくりと眠れてしまうのだった。
珈琲が欲しい。狂人になり果てた後、安らかな眠りを与えてくれる、あれが。
彼と出掛ける事になった。二時間掛けて多くの神社仏閣を巡る。信号が赤でなければ止まることは無く、延々と歩を進める。今日は……気分が良い。歩いても歩いても疲れない。何より万全じゃ無ければ、時折建物内に引きこもって、休みを求めるから。
そして目標である全ての神社仏閣を巡り終えた後、私は帰り道と反対方向へと歩き出す。
「帰るんじゃないのか」
「もしかして疲れた?」
「いや、何時もは即刻帰っていたから」
「……ちょっと寄りたいところがあって」
『寄りたいところ』と言うのは、喫茶店だ。席に着くなり注文をすると、肩の荷を下ろす様に伸びをする。
「ちょっと足りなくてね。もう少し歩きたかった」
先週まで『もう限界』と言って伸びていた人間の言葉とは思えないだろう。だが今はそうでもしないと壊せない。徹底的に壊して、ハイになって、あとは微睡みたい。
そんな事を考えていたら、注文の品が届けられた。黒の液体。カップを持って鼻を近付けると、豆の香りが鼻腔を擽った。もうこの時点で酔が回っている。クラクラする。
その事に彼は気が付いたのだろう。自分の目を指差して、静かに咎めるのだ。
「瞳孔、開いてる。……飲み過ぎるなよ」
私はその言葉を聞き流し、早速口を付ける。ミルクも砂糖もないからこそ、舌を刺激する。これが柔らかすぎると思ったら、舌で掻き回し、じんわりと染み渡らせる。すると本来の苦さが奥深くまで染み渡る。
今なら何でも出来そうだった。人殺しも、暴漢も、何でも出来そうだった。そうして蹂躙の限りを尽くし終えた後、金属質な笑い声を上げたくなる。
「満足した。帰ったらよく眠れそう」
「そのまま眠ってくれれば御の字だけどな」
そうして一時を楽しんだ後、店を出た。
あの空間にいた時は、ハイになって、無双感を得ていたが、いざ離れると眠気が襲う。歩きながら気絶しそうな程に眠い。此処に布団があったらなぁと思う。
オマケ キス魔
純喫茶の珈琲を人知れず愛する彼女である。勿論、その愛するものに嫌われる様な真似はするはずもなく、外では極めて大人しい。が、その本性は家路に着いてから剥き出しになる事が多い。
シャツを素手で破く程の勢いで、突然胸倉を掴まれた。唖然とする間もなく唇を奪われ、歯を立てられる。目は大きく見開かれており、獣と相対しているようだった。
「やべぇカフェイン切れた。全然眠くない」
とりあえず話をする為に唇に手を当てると、その手首を掴まれた。
「やかましい。キスさせろ」
その言葉を皮切りに、絶頂感は終わったらしい。ぐりぐりと顔を胸に押し付けると、その場で寝息を立て始めた。
本当はコメディーで出す予定だったんですよ。
普段ゆるふわなお姉さんが、戦闘前だけ珈琲煽って、戦闘狂になる様な。
お目目ギラギラで、『ヒヒヒヒ……』って笑いながら斧ぶん投げる様な。
『誰だ!! 此奴に珈琲飲ませたあぶんだらは!!』って言われる様な。
何でも珈琲で酔っ払う人もおられる様で。
カフェインが理由らしいですね。
でも緑茶じゃ酔わないよ?
今のところ『酔った』と自覚したのは一件だけなので、あの場所がやっぱり特例な気がします。
飲みながら『カクッ』といくんです。
その時に、ふと酔ったと感じるんです。
※ここから少し個人の意見入ります。
煙草の匂いも嗅げればも一つ良い。
辛かったり、甘かったり、爽やかだったり、銘柄によって匂い違うんですよ。
意外と飛ばないんですよ。真後ろだと全然嗅げない。
『誰か吸って!!』って思って振り返ってみたら、真後ろの方が吸っていた。なんて事はざらです。
あと暖かい珈琲って苦味が引いていくので、描写する時は一口目で書くことが多いです。
二杯目飲む頃には、感覚があってないようなものなので。……寂じい゛!!