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・パンタグリュエルの肩の上 - 第二次スケベでパワーアップ計画 -

 オーリオーンの闇計画。

 それは第一段階である陽動。

 第二段階である奇襲攻撃に分けられる。


 陽動はミルディンさんとカチューシャさん。

 奇襲攻撃はファフナさんが行う。


「考え直せ、ミルディン」

「はて、何をですか?」


「確かにそなたは魔法使いとしてはまあまあじゃが、鈍くさくて見てられん。参謀であるそなたが囮にならんでもよかろう」

「自分も参謀殿にはドーンと構えていてほしいっす」


 俺もそう思う。

 けれどミルディンさんのことだから、ちゃんとした理由があるのだろう。


「いいえ、この陽動の正否で、オーリオーンの闇計画の正否が決まります」

「だからっ、尻拭いなら我らに任せよ!」


「わかっていませんね……。私は人に死ねと命じる立場にあります。その私が命を惜しむなど、許されようはずがありません」

「アホか、母上!!」


 あ、またお母さんって言っちゃった。


「ふふ……」

「くっ……?!」


「貴女がそんなおバカさんになってしまったのは、私の遺伝子のせいなのかもしれませんね」


 そんなやり取りを微笑ましく眺めていると、カチューシャさんが隣に寄ってきた。


「似てないっすけどー、親子なんすかー……?」

「え、俺は似てると思うよ。意地っぱりで人の話を聞かずに、自分のわがままをなんでも押し通すところが」


「おぉ……よく見てるっすねぇ……」


 俺たちの耳打ちをパンタグリュエルも聞いていたのか、彼も低い声でやさしそうに笑った。

 その後、また蹴られたみたいだけど……。


「あの、俺の役割は?」

「はい、ファフナとカチューシャ将軍の強化をよろしくお願いします」


「ディバインシールドすればいいの?」


 そう確認すると、ミルディンさんが頬を赤くしてうつむいた。

 母親のそんな姿はファフナさんからすれば複雑だろう。

 ちょっと苦そうに眉をしかめていた。


「それもいいのですが、レパートリーを増やすべきだと、パンタグリュエルが言うのです」


 と言ってまた蹴った。また揺れた。


「え……。いや、でも俺、コギ仙人に教わったことしか、なんにもできないんだけど……」


 え、どうしよう……。

 た、助けてコギ仙人……。

 俺にもっと、エッチなことを教えて……!


「ふ、ふふ…………。それは、だい、じょう、ぶ……」


 不安が声に出ていたのか、なぜかパンタグリュエルさんが保証してくれた。


「ええ、それについては問題ありません。ふらっと不届きなエロコーギーが、貴方の宿屋を再び訪れるような気がします、よ……っっ!!」


 今までの中で一番強く、ミルディンさんは足下の肩を踏み付けた。


「いたい、いたい……やめて、ミルディン……。う、ぐ……っ?!」

「ファフナさんまで、なんで……。止めようよ、パンタグリュエルさんが可哀想だよ……!」


 さすがに見てられなくて苦言を呈した。

 でも二人には伝わらなかった。


「いいえ全く」

「コイツの本性を知ったら、そなただって顔面飛び膝蹴りをぶち込みたくなるぞ。まったく、ふとどきな総大将殿よっっ!!」


 よっぽど恨まれているか、蔑まれているか、あるいはその両方だった。

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