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プロローグ キスするだけでレベル上限解放? 素晴らしい! 国中の武人をここに招こう!
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・番外編:これまでのレイクナス王国

・語り部ミルディン


 雄羊宮を竜が襲撃し、幸運をもたらす至宝パルヴァス・レイクナスを奪い去った。

 その報は一夜にして、レイクナス王国全土に広がりました。


 パルヴァスにはとても言えませんが、その衝撃はあまりにも大きく、国中が大混乱――いえ、大恐慌に陥いるほどの事態を招きました。


 それもそうでしょう。

 何せ幸運の女神コルヌコピアの化身を、何者かに奪われてしまったのですから。

 それは国から幸運の加護が消えてしまったのと同義だったのです。


 そんな中、ある噂が流れ始めました。


 国王と王太子ヘリート、雄羊宮に招かれた戦士たちが、パルヴァス王子に虐待を働いていたらしい。

 だからパルヴァス王子は竜と結託して国から逃げたらしい。


 そんな噂です。

 誰が流したか知りませんが、全て事実なのですから始末が悪いですね。


「説明しろっ!!」

「このホモ王子っ!!」

「城に閉じこもってないで出てこい!!」


 私が偵察した限り、最も強い怒りにかられていたのは、前線で戦っていた戦士たちでした。


 王家の虐待がパルヴァス王子の失踪を招いたせいで、これからの戦いがより苦境となる。


 今日までパルヴァスの恩恵を受けていた者は沈黙し、加護を受けられなかった戦士たちは激しく怒り散らしました。


 王宮前の広場は連日、兵士とその家族たちが押し掛けて、この国の為政者たちに罵声を投げかける場となりました。


 ふふふ……全て、計算、通り……。

 そう言ってしまったら、パルヴァスに嫌われてしまうでしょうか。


「あ、貴女は……おお、その長いお耳は……」


 私の策略はそれだけに止まりません。

 シルバを経由してパルヴァスのお母様に接触し、最もまともな王族を紹介していただきました。


「どうも、ミルディンともうします。このたびは私の汚い策略に乗って下さるということで、こうして直接、うがかいにまりました」

「ラフェル・レイクナスともうします。パルヴァス叔父上は息災ですか?」


「はい、とても旺盛にされています」

「旺盛……?」


「性よ――」

「ヒャンヒャンッ!」


「あ、すみません。これは私の――小汚い駄犬です」


 この駄犬は恥知らずにもパルヴァスにスケベ仙人と名乗ったおバカさんです。

 そんなおバカさんが私を心配して付いてきて下さいました。


「かわいらしいコーギーさんですね」

「の、ようなものです。パルヴァスは毎日、シルバと楽しそうにオルヴァールを散歩して回っています」


 ラフェル・レイクナスは今年で18歳の若者。

 しかし情に厚く誠実で、人望があるとの諜報員の評価です。


「ああ、よかった……。叔父上はとてもやさしい人なのです。庶民の血の流れる私にも、何かとよくしてくれて」

「わかります。あの笑顔を見ていると、私……なんだか年がいもなく、ムラムラジュンジュンと――」

「ガルルルルッ、ガブッッ!!」


 しつけの悪いコーギーに噛みつかれてしまいました。

 私が悪いですね、すみません。


「あの……ミルディン様? ワンちゃんに噛まれているようですが、よろしいのでしょうか?」

「些細なことです。それよりも反乱の計画ですが」


「そ、その単語はっ、できれば極力控えていただけますかっ!?」

「あ、そうですね、すみません」


 私は私が立案した反乱計画を、新しい国王になる男ラフェルに解説しました。

 既に条件が揃っているので、これはそう難しいものではありません。


「おお、その段取りならば完璧だ……。しかし、なぜ私などに力を貸して下さるのですか……?」

「欲深き円環に勝利するためです。ここでこの国に滅亡されては困ります」


「お恥ずかしい限りです……。まさか我々の祖先が、世界を売る愚行を働いていたとは、露さえも知らず……」

「これを。これはパルヴァスに暴行を働いた者たちのリストです」


「ついに叔父上が証言されたのですね」

「はい」


 正しくは監視していたシルバからの告発ですが、同じようなものでしょう。


「それとこちらは証人のリストです。既に告発に合意済みですので、議会で貴方の強い味方となってくれることでしょう」

「おおっ、そのようなものまで……っ! 拝見させていただきます!」


 飛びつくようにラフェルは私からリストを受け取りました。

 そして喜怒哀楽の全てを私に見せてくれました。


「そんな、信じられない……。白だと思っていた名前が、いくつも……」

「心中お察しいたします」


「む……? 告発者に、公爵殿の名前もありますが、これは……?」


 公爵は現国王側だと思っていたのでしょう。

 ラフェルは意外そうな顔でした。


「国王は彼に、パルヴァスが吐いた体力の琥珀を売りつけようとしたそうです。なんでもそれ、法律違反らしいですね。公爵はその時のことを証言して下さるそうですよ」

「おお、なんと頼もしい……」


 健康欲しさにお金を払ってしまったそうですけど、今では後悔しているそうです。

 したたかな公爵様もいたものです。


「完璧です、これだけあればやつらを玉座から引きずりおろせます!」

「期待しております。では、私はこれで……。行きますよ、ガルガンチュア」

「ヒャンッ!!」


 まあ、そういうわけです。

 だからレイクナス王国では反乱の兆しがあるのです。


 ごめんなさい、パルヴァス。

 私、こういう女なんです。


「……やれやれ、付いてきて正解だったわい」

「怪しまれます、喋らないで下さい」


「わんわん、わんわんわーん」


 姿はかわいらしいものですが……。

 正体を知っている私からすれば、ただただイラッとします……。


「パルヴァスが貴方の正体を知ったら、ひっくり返るでしょうね」

「それは困るのぅ……。パルヴァスにはもっと、スケベを教えてやらねばならぬ」


「ずるいです……私もパルヴァスにスケベーなことを教えてあげたいです……」

「わっふっふっふっ、逃げられるのが関の山じゃろうて」


 私はお尻にディバインシールドLV500がかかったままの無敵のコーギーと、オルヴァールへと帰投しました。


「蹴るなっ、動物虐待じゃーっ!」

「ノーダメージなところが、なおさらに腹が立ちます……」


 私もディバインシールドされたいです……。

 無敵のもふケツはいくら蹴っても無敵のままでした……。

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