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神スキル『イチャつくだけで最強バフ』 - 春の貞操観念逆転種族を添えて -  作者: ふつうのにーちゃん@コミック・ポーション工場発売中
プロローグ キスするだけでレベル上限解放? 素晴らしい! 国中の武人をここに招こう!
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・mission 1 エピローグ:飛竜ファフナの生還

「ふふふ……いいですね……とても、いいですね……」

「……な、何が?」


「私も、ディバインシールドされてみたいです……」

「な、なんで……?」


「ファフナから聞き出しました。草むらに一緒に横になって、あんなことや、こんなことをしたそうですね……?」

「う……っっ?!」


「ああ、甘酸っぱい……」


 母親のうち一人を自称する人に言われると、ちょっとどころではない後ろめたさがあった。


 ミルディンさんが手段を選ばなかったように、俺だって手段を選ばなかっただけなのに、彼女を直視できなかった。


「その話を聞いたら私、あの子の母の一人として、とても複雑な気持ちになりました……。ちょっと、あそこでお菓子、食べませんか?」

「た、食べません……っ」


「パンタグリュエルのお尻は揉みしだくのに、私のお尻には何もしてくれないのですか……?」

「してないよっ! パンタグリュエルって巨人さんなんでしょ?! そんな人のお尻なんて揉めるわけないじゃないかっ!」


 ミルディンさんが不満そうに人差し指を口に含んだ。

 ミルディンさんって清楚そうに見えて意外と……エッチだ……。


「私は参謀です。参謀として貴方の奇跡を我が身で体感する義務があります。さあ、こちらへ……」

「今はそれより、お話がしたいかな、俺……っ」


「私はベッドで横になりながら、貴方とお話したいです……。私にディバインシールドして下さい……」

「ひえ……っっ」


 こんな可憐なお姉さんに迫られたら、いつか王族に相応しくない気の迷いを起こしてしまう。

 具体的にどうすればエッチになるか、全然知らないけど……。


「あ、あの、ミルディンさん……」

「ファフナばかりずるいです……。パルヴィスは、私みたいなお婆ちゃんは、お嫌いですか……?」


「こんなにかわいいお婆ちゃんがいるわけないよっ!」

「そうですか……っ! お世辞でも嬉しいです……っ! ぁ…………」


 この部屋には扉がない。

 向こうの部屋に誰かがいたら話が筒抜けだ。

 いや、実際筒抜けだった。



「ミルディンッッ!!」



「あら……ファフナ。ポータルを使ったとはいえ帰りがいやに早いですね……」


 出口にかけられた布かけを弾き飛ばして、ファフナさんがこの部屋に現れた。

 身体のあちこちに包帯が巻かれていて、髪の毛が焦げてボサボサになっていた。


「我のつがい殿に何をするっ!」

「ふふ……嫉妬ですか? かわいらしいことですね……♪」


「やかましいっ、それは我のつがい殿じゃっ! ミギャッ?!」


 突然、ミルディンさんがファフナさんの胸に飛び込んだ。

 ファフナさんの包帯は火傷の手当か何かだろうか。だいぶ痛そうな声だった。


「お帰りなさい、ファフナ……。こうしてまた会えるなんて、私……今でも現実を素直に受け止めかねています……」

「ふんっ、生きて帰ってきてやったぞっ、ざまぁ見ろ、参謀殿! いてててっ、おいっ、離れろ、母上っ」


「あら……♪」

「ぬぐっ?! い、いいいっ、今のは間違いじゃっ! 離せっ、痛いと言っておろうっ!」


 お邪魔かなと思い、部屋からそっと離れた。


「ファフナ、あそこでお菓子を食べませんか?」

「子供扱いするなっ、我はもう子供ではないっ!」


「貴方は私の子供のようなものです。さあ、あちらへ……」

「あっ、いないっ、逃げたなつがい殿っっ?!」


 ミルディンさんが暮らす政府施設から、俺はそっと離れて夜のオルヴァールに出た。

 すると今までどこにいたのやら、シルバが暗闇からぬらりと姿を現した。


「大将、ここで帰るなんて男らしくないぞ」

「じゃあどうすれば男らしいか、参考に教えてよ」


「両方食ってしまえ」

「取り返しがつかないことになるよ……」


「奇跡でファフナの姉御の命を救ってやったんだ! 請求すればやつらはなんだって差し出すぞ! ……ワフッ?!」


 そんな野獣系に君を育てた覚えはないよ。

 俺はシルバの前でしゃがんで、悪いことを言う口先(マズル)をつかんだ。


「ザナーム騎士団は世界のために命をなげうっているんだ。そんな人たちから代価を取ったら罰が当たるよ」

「だが大将、そんな調子でいると搾取されるだけの人生になるぞ!」


「ここのみんなに搾取されるなら望むところだよ」

「そうだがそうじゃない、大将! 男ならもっと、下半身に正直になれと俺様は言いたいんだ! ワフゥンッッ?!」


 もう一度マズルをつかんで黙らせた。

 子狼だった頃は素直ないい子だったのに、なんでこんなワイルド系に育ってしまったのだろう。


「それよりシルバ、なんか眠れる気がしないし、夜の散歩をして帰ろうよ」

「ウォォーンッ、その言葉を待っていた! 深夜の散歩もいいなっ、毎日でもいいくらいだっ!」


「それは酒場の混み具合次第だね」


 宿屋のある中心街に戻ってゆくと、往来がお祭り騒ぎになっていた。

 こんな時間だというのに沢山の人が集まって、生還を果たした英雄たちを囲んでいた。


 彼らは賞賛され、何よりも無事な生還を喜ばれていた。


「大将のおかげだというのに、やつらからの感謝の言葉がないな」

「実際に戦って、死地を切り抜けてきたのは戦士たちだからね。俺に賞賛なんていらないよ」


 賑わう夜の市街をたっぷりと楽しんだ。

 シルバもご機嫌だ。

 いつもよりも高く跳ねて、俺の前後を行ったり来たり、まとわり付いていた。


 その姿があまりにかわいくて、宿に戻るはずが何度も遠回りをしてしまっていた。


 ところがそろそろ帰ろうかと思ったところで、俺は往来に意外な顔を見つけた。

 それは槍を肩にかけた女戦士だった。


 髪は紫に近い青。

 肌は浅黒く日焼けしていて、マントの下は防具も何もない半裸だった。


「おーーっ、自分ー人間じゃないっすかーっ!」


 彼女もこちらに気付いた。

 オルヴァールに人間の姿があることに驚いて、大股でこちらに寄ってきた。


「そういう貴女も、人間、ですよね……?」

「あ、自分っすか? 自分は敗残の将っす! かぁぁーっ、なさけねぇーすっ!」


「敗残の将……あっ」


 そういえばミルディンさんの話にあった。

 でも、おかしいな……。


「人呼んで芋畑のカチューシャ将軍と言ったら、自分のことっすよっ!」


 予言の話だと、カチューシャ将軍は投降するも、すぐに解放されたはずなのに。

 それがどうしてここにいるのだろう……。


「俺はパルヴァス・レイクナス。宿屋コルヌコピアの従業員をやっています」

「そかそかぁーっ、丁寧な偉い坊やっすなぁ! 自分は人間がおって、メガっさ安心したっとこっす!」


「め、めが……?」

「まー、処刑待ちの敗残の将なんすけどー、あははははっ!」


「ここの人たちはそんな野蛮なことしないよ。……勝つためなら手段を選ばないところはあるけど、みんな立派な人たちだよ」


 そう褒めると、カチューシャ将軍は自分の胸をドンと叩いた。

 背丈はファフナさんほどではないけど、この人も大きな胸をしていた。


 俺が胸に目を奪われても、彼女は少しも気にする様子がなかった。


「同感っす。あ、自分処刑があるっすから、また後で~、っす」

「う、うん……よかったらうちの宿にきてね。同胞として歓迎するよ」


「はははーっ、幽霊になってでも行くっすねー♪」

「幽霊はちょっと……営業妨害だよ……」


 俺はその晩、予言では解放されるはずだった女将軍カチューシャと出会った。

 彼女はだいぶひょうきんというか、とても話しやすいいい人そうだった。

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