現実と空想
数日前に、夢を見た。
その風景は、いきなり現れ、物語が勝手に始まった。(夢だから)
天気は曇りだけど、暗くはなく、寒くもない。
私は、何の用事か分からないが、郊外の大きなショッピングセンターに自転車で向かう途中だ。
私の住む街は、畑や田んぼが点在する、空が広い地方都市の隣の街。 ここ数年で新築住宅が増えて、私の住む家もその中の一件。家から少しのところに、膝くらいまでの深さの小川が流れている。春から夏にかけて蛙や蛍、冬は流水の表面に、氷が貼るので寒さを目でも感じる。 これで桜並木でもあれば「映える」のだけれど・・。
街には、小中学校はあるが、高校は隣街にしかないので、そこの学生は、自転車か学校の送迎バスで通学している。 送迎バスは、駅前から朝夕に2本づつ、学校まで生徒を運ぶ。 途中にバス停は無いので、駅前のバス停に行くより学校に近い人は、自転車通学になる。 雨や雷で、自転車では危険な天候の時だけは、家の人に送ってもらっても良いことになっている。
私は、寝坊で送ってもらったりするが、生徒指導に見つかると、説教されるので通学路と離れたところで降ろしてもらう。 これも色々な面で危険回避。
その隣街との間には、丘のがあり緩やかな上りの道になっていて、自転車組は、毎日1時間かけて通学している。 夏は地獄だ。 だから1限目は、体力を回復時間に使ったりする。
昨年、その丘を登った先に大きなショッピングセンターができた。 今、そこに向かって、自転車のペダルを漕いでいる最中。 慣れた道とはいえ、2km近くある登り坂はきつく、つい地面を見てしまう。
上り坂の中腹にさしかかりショッピングセンターの屋上の大きな看板が見え始めた頃、その方向のその看板のはるか上空、雲の合間に、一瞬、黒い物が見えた。
なんだろう?。
気にはなったが上り坂の途中で自転車を止めると、漕ぎ始めが辛いので、とりあえペダルを漕ぐ。 やっと頂上付近になったので、自転車を止めて、空を見た。
さっきより、大きくなった? それとも近づいて来ている?
目を細めてよく見る。 飛行機でもない、昔見た飛行船の様な楕円形でもない、気球でもない。空で見かける様な物ものではないことはわかる。
例えるなら、和室にある扉で格子に紙を貼った「障子」に似ている。 障子に紙を綺麗に貼るには、できるだけ弛みがないように丁寧に紙を貼る。 そしてよく乾かし最後に水を口に含み霧状にして紙に吹きかける。 この霧吹きが綺麗にというか、細かく均一に吹けないと紙がピンと張らず弛んだままになる。 それには口の形にコツがあるが、私は、今だに上手く出来ず、紙が水浸しになる。
それは、ゆっくり動く雲の様な感じで、だんだん大きくなってこちらに向かってきて、そして、ショッピングセンターの向こう側に、姿を消した。
落ちたのか? 不思議と音は全くしない。 振動も感じない。 隣街はどうなった。
私は、自転車を走らせた。下りの坂道を、自動車と同じくらいのスピードで下った。
やっと、ショッピングセンターの裏側に出たが、その障子は、まだ、はるか遠くにある。 それは、4階だてのショッピングセンター屋上の大きな看板より、高く、大きく見える。
あまりの遠さと大きさに、自転車を進めるのを諦めかけた頃、どこからか「バッバッバッバッ」その音は、だんだん大きくなり、近づいてくる!と思うと同時に、私の上空を障子の落ちた方向に向かう濃い緑色をした自衛隊のヘリコプタ-や偵察機が、爆音を残しながら通過していった。
ここで、興味から「何かが起こる」恐怖に代わった。
その日の夕方、テレビ放送局のニュース映像を見て、ゾッとしたのは、自分だけではないだろう。 その日の夜は眠れなかった。 その日以来、娯楽番組は、中断し、謎の「障子」を伝える報道番組が続いている。
何者かもわからないまま、1週間が過ぎた。
そして・・・・・。
あの日と同じ、天気は曇り、暗くはなく寒くもない日の朝。
玄関先で空を見上げると、雲の隙間から、何かつぶつぶの様なものが見え隠れしている。googleやyahooの地図の航空写真の様な街並みに似ているが・・・。
宇宙衛星の都市だ。
- continue to the next dream -