37話 ペンタクルの密林 4/8
オラたちは、無事に?なんとか?成り行きで?幼女の家に入れてもらうことに成功した。
お世辞にも広いとは言えない家なのでぎゅうぎゅうだが、外見とは違って中は綺麗に整理整頓され、何よりも清潔そうだった。ダイニングテーブルには、花まで飾ってある。
部屋はこの一部屋しかない。
ベッドもキッチンも、それなりにきちんとしている。
見る限り、病人の一人暮らしには到底見えない。
女の子は、肌の色は褐色。
長い黒髪を二つに分けてお下げにして、白いウィルピルを着ている。
チャルカが昨日着ていたものよりも刺繍は質素だが、女の子が着るには十分かわいらしいものだ。
身なりもとても清潔だし、姿勢もしゃんとしていて、目にも力がある。
とても病人には見えないのだけれど。
「それで?」
ダイニングテーブルの椅子に、女の子が腰を掛けた。
オラたちはイタズラっ子が叱られているような面持で立たされている。
女の子は、チャルカくらいの年齢だと推定されるのだが、大人びた雰囲気があった。
医者ではないという後ろめたい思いがあるのを差し引いても、彼女の雰囲気に飲まれるのも仕方がないと思われるほどだった。
「えーーっと……」
どう切り出していいものか、目が泳いでしまう。
すると、ラロがおもむろに仕切り始めた。
「オイラ、ペンタクルの町に住んでいるエドァルドです!ラロと呼んでください!」
昨日と同じように、元気にというか、ノー天気なラロの自己紹介。
何故だか、それを見ていた女の子の表情が少し曇る。
「それで、この方は遠い地からペンタクルにやって来た、偉いお医者さまのストローさんです!」
なんていう紹介をするんだ、ラロ……
「あははは……」
もう生温い作り笑いをするしかない。(作り笑いも出来ていないと思うけれど)
「で、その助手のメイシアさんとウッジさんと、ペットのメリーです!」
助手と言われて、メイシアとウッジも俄かに様子がおかしくなる。
やっとオラの気持ちが分かったか。
「それで?」
女の子の当然といえば至極当然の返し。
心が折れないラロがある意味すごい。
「それでぇ!森の奥に住んでいる君が、不治の病だと聞いたので、お医者さまをお連れてしたのです!」
「ほぉ。町ではそういう風な噂になっているのか。」
「心配いりませんよ!このお医者さま、ソーラさまのご病気もお治しになった高名なお医者さまなのです!」
女の子の話への興味というのだろうか。少し雲行きが変わったのを見逃さなかった。
「……ほう。」
「お見受けしたところ、健康なように見えるのですが、どこが悪いのですか?」
女の子がラロから視線を離し、じっとオラを見つめる。
蛇に睨まれた蛙……というのだろうか。思考が停止してしまいそうなほどの威圧を感じる。
「な、何か顔に付いてますか?」
情けないかな、なんとか絞り出した一言。
しかし何が良かったのか、それを聞いた女の子の目がフッと変わった。
「まぁ良かろう。力が弱くなったとはいえ、妾の張った結界の中に入ってこられたのだから、邪悪な輩ではないのであろう。」
女の子の口角がニッと上がった。
「妾の名前をまだ言っていなかったな。妾の名前はソーラだ。よろしく頼むぞ、お医者とやら。」
一瞬、みんな頭の上でハテナがくるくるくと回転する。
え?ソーラ?なんか聞き覚えがある名前だな。確か……ソーラって、チャルカ……?
待てよ。
チャルカはソーラの代役をさせられているから、という事は…ソーラって神さまの……え?
えーーーーーーーーーーーーーっ?!




