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二話目

 「オギャアオギャアオギャア!!」

 俺は、どうやら異世界に転生したようだ。

転生なだけあって、前世の記憶や大人としての思考力がある一方で、生まれたてで感情の制御も全くできない。今もこうして、お腹が空いて大泣きしている。

 しばらく泣いていると、ドタドタ音が近づいてくると浮遊感を感じた。

 「はいはい、ごめんね今お乳をあげるからね」

見上げると綺麗な長い銀髪に青い眼をした女性が俺を抱き抱えていた。

女性は鼻が高く、目元がぱっちりとしていて、美人と可愛さを両方兼ね備えた西洋系の顔をしていた。察するに彼女はどうやら母親のようだ。これだけ美人な母親から生まれたのだから顔の方はある程度期待していいのかもしれない。


 お乳を飲んでお腹が満たされるとすぐに眠気が襲う。そしてお腹空くと泣く。そんなサイクルを繰り返していた。そして、感情の波が落ち着いている時には部屋の周囲を見渡したり、俺の顔を観にくる大人たちを見たりと、情報収集は欠かさない。


ここ1ヶ月ほどで、分かったことについてあげると以下の通りだ。

・部屋の装飾や、母親や見にくる大人たちの着ている服や身につけている装飾品を見た感じ、かなり裕福な家庭に生まれたらしい

・母親の名前はエレナ

・部屋には使用人であるメイドが常に1人か2人常駐していて危険がないように見張られている

・父親は家を空けており、帰ってくるにはもう少しかかりそうだと言うこと

・俺の名前は父親が帰ってから決まるということ


やはり、動けないと集められる情報もたかが知れている。せめてはいはいができる程度には、早く成長したいものだ。俺は今回の人生では、そこそこではなく、ありとあらゆる分野で頂点を極めてやろうと思っている。そのためにも、赤ん坊の頃にこうして思考できるメリットを十全に活かしたいところだ。


 生まれてから7ヶ月が立った。俺はついにはいはいできるようになった。身分が高いせいなのか、この半年間、この部屋からは一度も出してもらえない。情報収集は全くといっていいほど捗っていなかった。そのためこうして自分で行動できるようになったのはかなり大きい。見張りも警戒が緩む夜中に起きていられれば部屋から抜け出すチャレンジをしても良いかも知れない。


 はいはいができるようになって数日後、部屋で母親に抱かれていると、部屋の扉をノックする音が聞こえた。そして1人のメイドが入ってくるとエレナに告げた。

「奥様。旦那様がお帰りになられました」

「まあ本当?この子の成長といい、いいことは続くわね」

そういう時エレナは俺を抱いたまま、部屋を出る。このタイミングで俺は初めて部屋を出て家の中を見た。

でかい玄関にホール。天井にはシャンデリアが飾られ、柱にはさまざまな彫刻が彫られている。また壁には高そうな壺やろ甲冑やらが飾られており、これだけでもかなりでかい家というより屋敷に住んでいることがわかった。


 エレナに抱かれ階段を降りていくとホールには見知った使用人に囲まれて、甲冑に身を包んだ1人の男が立っていた。金髪に目は青色。嫌味ったらしいほどにイケメンだった。これで間違いなく俺の顔は勝ち組の顔だろうと確信した。

「やあ!エレナ!今帰ったよ!」

「グリント!無事に帰ってきてくれたのね!」

グリントは両腕でエレナは俺を抱いていない方の手で抱擁し、口付けをした。

イケメンと美女は絵になるなと思った。

 抱擁を解くとグリントはこちらを見やる。

「この子が僕たちの赤ちゃんだね。君と同じ綺麗な銀髪をしているね。何て可愛らしいんだ!」

「目元はあなたに似てとても凛々しいわ。きっと強い子に育ってくれる。さあ、抱いてあげて」

グリントはエレナから手渡された俺を抱き上げるとじっと俺の顔を見る。

「君はきっと素晴らしい息子になる。君の名前は、決まっているよ!我がレイバンズ家の初代様から頂いた。名をアレク。君はアレク=レイバンズだ」


 こうして俺がアレクとして第二の人生を開始したのだった。

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