13.3 私の彼氏ちょっときもい
「小月さん、まずはやってみよう」
一旦ドールハウスを外して、小物も脇にどける。
小月さんの背中を手で支えてベッドの端に腰掛け、できるだけ近づくように体を折り曲げる。ぐい。……きつい。
「池辻くん、とりあえず体曲げてみて」
「い、今やってる」
「え、曲げてるの? それで? 固っ!」
「じゃあ小月さんこっち来て」
「はいはい。って言ってもほとんど動かないんだよね。んー!」
つま先立ちで一生懸命手を伸ばしてくれる小月さん。まだまだ遠い。
背伸びしている小月さんが可愛いのでこれ眺めているだけで幸せ。
「やっぱり届かないかな」
「駄目そうだねぇ」
「でも諦めたくない」
「なんでそんな」
「届いたら舐めていいよって小月さんが言ってくれたのに。このチャンスを逃したくない」
「おおげさな」
「届いたら何してもいいよって小月さんが言ってくれたのに。このチャンスを逃したくない」
「あれ、私そこまでは言ってなくない?」
「小月さん、ちょっとごめんね」
小月さんをもう少しもちあげられればいけるんじゃないか。多少強引でもここはいくしかない。
小月さんを握り、上にひっぱる。
「ちょっとこれ無理じゃない? 池辻くん? あれ、なんかまたおかしな目になってない? こわいこわい」
「いいから。小月さんは体伸ばすことに集中して」
「待って池辻くん。私これちょっと経験があります。この後なんか痛くされるやつです」
「ゆっくりだから大丈夫」
少しずつ小月さんを持ち上げていく。
だが足下が思った以上にきちんとつながっていて、全然高さが得られない。
「い、池辻くん、これまずくない? 足んとこ。 ちょっとすとっぷ!」
「大丈夫、ちゅってしたらすぐ戻すから」
「そんな高さまで!? むり! ちゅっとできた頃には完全にもげてるよ」
「痛い?」
「痛くはないんだけど」
「このまま小月さん舐められるなら悔いはない。いいよもげて」
「だめだって! ほら、もげちゃったら私たちの将来的に、いろいろとまずいんじゃないの!?」
ひと思いにぐいっと力を入れる。
「ん!」
でもすぐに手を離す。
「ぎゃ」
少しだけ伸びていた小月さんの足下がびよん、って元に戻る。小月さんが後ろに傾く。慌てて手でささえる。
「ふは。やっと諦めてくれたんだね、池辻くん」
「違う。なんか急に痛くなった」
「……まあそうだろうね」
「どうしよう。諦めたくない」
「しょうがないでしょ。またなんか機会あるよ」
「じゃあその時舐める」
「やっぱり舐めるんだ。どうしよう、私の彼氏ちょっときもい」




