13.2 体曲げて舌伸ばせば届くかもしれない
「写真あるの?」
「うん。ほらこれ」
小月さんがちっちゃなスマホの画面を見せてくれる。
そこに映るどこかの制服を着た知らない男女。男の子は少し困ったような苦笑いをし、女の子は満面の笑みで男の子の腕にしがみついている。少し目が不自然に見えるのは加工したんだろう。
「この男の子が田原くんなんだって」
この写真の印象だけでは実際の雰囲気は分かりづらいが、人の良さそうな好青年風。少し華奢な気がするが、顔立ちの整ったイケメンだ。
「この女の子は?」
少し派手目な印象で、若干二人の雰囲気にギャップを感じる。
「知らない。田原くんとやらの彼女さん。高校入ってから付き合い始めたみたいだよ」
卒業アルバムや中学時代の写真かと思ったが違うようだ。聞いてみると、日向さんが探してきたこの写真はSNSにアップされていた写真だそうだ。
「顔とか学校とか分かっちゃうじゃん。こういうのって載せるもの?」
「私だったら嫌だよ。でも載せてる人は結構いるんだよね」
「そっか。どうなんだろ、危なっかしい気もするんだけど」
「多分ほら、この彼女さん的にはマーキングなんじゃないかな」
「なにそれ」
「田原くん取られたくないんでしょ」
「そうすると浮気されなくてすむってこと? 効果ある?」
「あるんじゃない? 分からないけど」
「あるんだ……よし、小月さん俺たちも2人の写真撮って載せよう」
「いやなんで。やだよ」
「ほら、浮気防止」
「私がするわけないでしょ」
「ほんとに?」
「しないよ。そうだ、池辻くん、これ写真のアドレス送る? ごめんね、気付かなくて。画面ちっちゃくて見づらいよね?」
「小月さんのちっちゃいスマホのぞき込むの結構楽しいからこれでいいよ。そうだ、小月さん頼みがあるんだけど」
「なに?」
「引かない?」
「内容によるかな」
「引かないって言って」
「なんなのもう」
「小月さん舐めたい」
「……ごめん、どん引きです」
「違うんだよ、前ほら、指ちょっと舐めてもらったでしょ」
「まあ、うん。言わなくていいよ、恥ずかしい」
「あれやりたい」
「……い、いいよ。じゃあほら、指出して」
「そうじゃなくて。逆」
「逆?」
「俺が小月さんを舐める」
「え、やだよ。っていうかそもそも、届くの? 池辻くん体柔らかい?」
「全然。むしろ固い」
「じゃあ無理じゃない」
「だから協力して」
「なにするの」
「限界までこっち来て。それで俺がなるべく体曲げて舌伸ばせば届くかもしれない」
「……池辻くんが気持ち悪い。でもできるのかどうか、私も気になってきた」




