12.5 作戦言うから聞いて
まずは一回やってみよう、ということでスタート。
同じ人数のグループ同士でマッチングして、タイムを競う。俺たちは3人。
1プレイ10分前後で、3位まで決まったらリタイアもできる。
日向さんが代表で参加を確定されると、対戦相手を決めるロビー画面になる。ぽつぽつと枠が埋まっていき、おそらく8グループ埋まるとスタートするのだろう。
「たいせんするおともだちをさがしているよ! もうすこしまっててね!」の可愛いフォントの下で、子供がトラックに轢かれているミニアニメーションが流れている。
あれか。転生っぽいかんじにしたいのか。
比較的幼い女の子向けっぽい雰囲気なんだからそれに合わせたほうがいいんじゃないかな……。
やがて参加チームが出そろい、ゲームスタート。
3人のアバターが並ぶ。
のどかな村にぽよんぽよんしたきのこみたいな家がぽつぽつと建っている。空には赤いうずまきの太陽がまわっていて雲には顔もついている。
前から白、青、赤のうさぎがかわいらしくよってくる。男子高校生がこういうファンシーな世界に放り込まれるのはなんだかくすぐったい。
寄ってきた兎は、ふわっと俺に抱きついてくる。かわいい。
……とか思ったら画面が白黒になって赤い液体が上から垂れてきて、「しんじゃった♡」と表示された。
その下には細長いプログレスバーが表示され、少しずつゲージが増えていく。その下では身なりの良さそうな中世風の女性がギロチンでぽんぽん首を飛ばされているミニアニメーション。
「あれ。なにこれ、バグ?」
意味が分からなくて思わずつぶやく。日向さんは頭を抱えて深いため息をついていた。
「スタート地点で死ぬとか……男の子だから少しはましかと思ったのに。そんなとこまで千穂と一緒なの!?」
怒っているというより、呆れているというか哀れんでいるというか。微妙な表情の日向さん。
「兎かわいいな、と思ってたら死んでた。俺、なんで死んだの?」
「その兎だよ」
「え、あれ敵?」
「トリプルラビット。出てくる動物はみんな魔物だよ」
「分かった」
「白がヒーラー、青がバッファー、赤がアタッカーだからね」
ヒーラーは回復役、バッファーは能力を上げるサポート役、アタッカーは攻撃役……で合ってたはず。
「そんな設定まであるんだ」
バランスは分からないが、ヒーラーから倒すのがセオリーだろう。
もう少し詳しく聞きたい、と思ったが、バーが100%になってリスタート。
早速さっきの3羽の兎が襲ってくる。
とりあえず日向さんが教えてくれた情報から、白のヒーラーを叩く。銃弾がばばばっと出て白兎を倒した後、一旦走って距離を取ろうと……したところですぐに追いつかれてまた死んでしまった。
「日向さん、また死んだ」
「そりゃそうでしょ」
「どうすりゃ勝てるの?」
「勝てるわけないでしょ」
「え」
「スタート時点の初期装備じゃトリプルラビットに勝つのは無理。まずはバッファーの青兎を倒して速度アップを解除、すぐに走って逃げるの」
「そんなの分からないよ」
「池辻くんしっかりして。スタート地点で倒れてるのなんてうちだけだから」
まじか。他の7チームはクリアしてるのか、これ。『たすけてひめっち!』がガチすぎてちょっと引く。
「えーと、日向さんごめん。俺このゲームで役に立つの無理そう」
ちなみに小月さんもがんばってみてはいるようだが、プログレスバーの%が俺と同じだ。つまり、二人ともスタート地点で即死してたわけだ。2回。
「もういいよ、ある程度分かってたことだし。二人とも、これから作戦言うから聞いて」




