12.4 ぎりぎり白のはず
「……え、なにその間。ほんとに?」
「いや、見てないから。ほんとほんと」
「池辻くんは嘘つくときほんとほんと、って言う」
「ちゃんと我慢したんだって!」
「ふぅん。あとほら、なんかそういう、えっちなことしたのにその、私が小さくなってないってなに」
「だから見てないってば」
「千穂、池辻くんはパンツ見ただけじゃ勃たたないってさ。もっとサービスしてあげなよ」
「みてないって!」
「ちゃんと千穂のこと見て上げてよー」
なんで日向さんは俺がなにかする前提なんだ。不満気である。
「とにかく見てない。これは本当」
抗議しつつ、どうせこうなるなら我慢しないで覗いちゃえばよかったとかいう考えが頭をよぎる。
ちなみに俺の行動は日向さんのノートパソコンにばっちり記録されていた。プレイ動画見せるとか言っていたときにセットしたそうだ。
俺が小月さんの横で仰向けになって腹筋とか始めたら、ばーん、って部屋に戻るつもりだったらしい。
日向さんがこういう人なのは分かってたはずなのにな。なんでこう毎回ひっかかるんだろう。ドア警戒したぐらいじゃだめだった。
小月さんと一緒に動画を確認する。
「普通に小月さん眺めてただけでしょ、ほら!」
勝ち誇る俺。
「池辻くん、きょどりすぎ。めっちゃ迷ってるじゃん。もうちょっと待ってみればよかった。リモートの画面ちっちゃかったから表情まで確認できてなかったなぁ……失敗した」
くやしそうにスマホのアプリをいじりながら日向さんが答える。ああ、それ画面そっちに写してたんだ。リアルタイムで見てたんだ……。
「……池辻くん。なんか不自然に猫背な上に首がななめってるけど」
再生されている映像を見ながら小月さんが質問。
「……軽いストレッチだよ。でもあくまで許容範囲内の動きしかしてないから。床にはいつくばってのぞき込んだりはしてない」
「あのね、池辻くん。何もしちゃだめとかじゃないんだけどね。こういうのはちょっと引くかもって」
小月さんの目が若干冷たいが、白か黒の二択で言えばぎりぎり白のはずだ。
無事俺の潔白が証明されたはず。
ささ、話はおしまい。『たすけてひめっち!』をプレイしよう。




