12.3 池辻くんつまんねー
「正直だねぇ。じゃあちょっと邪魔者はお茶とお菓子でも用意してくるよ」
「ありがとう」
「じっくりお茶淹れてから戻る。多分10分はかかると思うなー。その間千穂の肢体をゆっくり堪能したまえ」
耳元でぼそっとつぶやく日向さん。
「お茶のことだよ、お礼言ったの!」
「そういうことにしておくよ。あ、一応私のノートで『たすけてひめっち!』のプレイ動画流しとくからさ、できたら見ておいて」
そう言って日向さんは机上のノートPCをかちかちと操作したあとこちらに向けて、それらしき動画の再生をさせたまま部屋を出て階段を降りていった。
さりげなくドアに近づき、部屋の外に日向さんがいないことを確認したあと、きっちりとドアをしめる。
いやほら、防犯とか。ちゃんとしないとさ。
小月さんは相変わらず「わー」とか「きゃ」とか言いながら身体を動かしている。多分得意なゲームではないんだろうけど、やっぱりやっていると楽しくなってくるんだろうな。……まわりのことは気にしていないようだ。
ベッドに腰掛けて、小月さんを眺める。制服ちゃんと着てるし健全そのものなんだけど。なんかこう、ただぼーっと見てるの楽しい。
まあより小月さんの魅力を知るために、若干地面に近い視点で小月さんの姿を見るぐらいならいいかな。でもあんまりやりすぎると『千穂ちゃん』が反応しちゃうし。小月さんちっちゃくしちゃったら今なにしてたの、って話になっちゃうしな。
いろいろ邪念はあるがここは純粋に小月さんを眺めて楽しむだけにしよう。……でもちょっとぐらいなら見ても怒られないかな。うーん。
そんな葛藤というか心のゆらぎというかを繰り返していると日向さんがわりと早く帰ってきた。
「池辻くんつまんねー」
戻るなりディスってくる日向さん。お盆に缶ジュース3つとお菓子をのせている。
「はやかったね」
「だってさー。池辻くんなにもしないしー」
「何しろと」
「べっつにー。折角千穂が何してもいいよってお尻ふってるのにさー」
「……奈美ちゃん」
動きを止めた小月さんが一旦ゴーグルを外して口を挟む。
「ふってない。ゲームやってるだけだから。あと池辻くんも奈美ちゃんも、二人の声はちゃんと聞こえてるから」
「千穂だってひょっとしたら下から覗かれるかな、って思ったでしょ」
「い、池辻くんはそんなことしない!」
まっすぐ言われてしまい、つい視線をさまよわせてしまう。
「あれ、そうでもないかな……。昨日もおかしかったし。覗いた?」
制服のスカートを抑える小月さん。
結果的に何もしてないし見てないけど、ちょこっとだけ迷っていたのは事実だ。
追求されるとちょっと苦しい。




