11.1 脳内で饒舌になって気を紛らわすのも限界
いろいろもりだくさんだった一週間があっという間に過ぎて平日最終日。
その金曜日、俺的に人生最大のピンチが訪れていた。
全思春期青少年にとっての障害といえば親だ。
いや、飯くわしてもらって感謝してるよ。別に険悪ってわけでもないんだよ。ただ見られたくないものってあるだろ。
エロ本? いや、それはまあしょうがないじゃん。ほんとは自分で部屋掃除しろよって話なんだしさ。嫌だけどまあ、はいはい男の子男の子、でおしまい。そうたいした話じゃない。
ちょっと話変わるけど、エロはやっぱり本だよな。スマホとかでも別にいいんだけどさ、印刷されたものを開いて見ると臨場感があるっていうか。あれだよほら、シズル感? とかいうやつ。違うか。
俺の場合は漫画がメインだけど、やっぱいいよね。特に雑誌。使えるお金の限られる高校生としてはコスパ重要だし、単行本だと出会いがないしな。
ただまあ、見つけた本の種類で性癖を特定するのはやめてほしい。さっきから話がつながっていない? 気にすんな。これ話したら本題に戻るから。
確かに俺はちっちゃくてぺたんとした子が好みだ。それは否定しない。でさ。ほら、えっちな本って、ばいーん、どかーんみたいなのが主流じゃん?
そうするとより絵柄のヒットするジャンルに偏っていかざるをえないわけだ。そこになんだか表紙だけ見るとちょっとおしゃれなかんじの漫画雑誌があったりするわけですよ。中身はアレだけど。
だから俺の部屋にそれっぽい本があったとしても、俺はロリコンじゃない。あくまで背の低い慎ましい女の子が好きってだけだ。分かってくれ。
……違う。今の話全部なし。俺が読むのは週刊少年なんちゃら、みたいな健全なやつだけだ。そういうR18のは読んでない。読んでないから。ほんとほんと。そういうことになってるから。
で、今の状況。
朝起きると、いつもどおり小月さんがいた。今日はちゃんと起きたね、遅刻しないですみそう、なんて話をしてさ。
ふたりで現国の宿題やってたんだよ。動詞の活用の穴埋め。それ自体はたいしたことないんだけど、それでも頭はそっちに使われるからさ。全然警戒してなかったんだよね。
朝起きたらいつもどおり小月さんがいて、その小月さんをおかんが横で見ていた。
普段おかん、なんて呼んだりしないけど。おふ、おふく……ごめん、俺お母さんとか呼んでるんだけどこれやっぱ変? 普通はどうなの。
でもさ。
しょうがないと思うんだ。緊張感なくなるの。
小月さんが俺のとこにいるのなんてもう当たり前のことだし、当の小月さんも悩む気なさそうだし。
2人以外もさ。日向さんはすぐ順応して遊びだすし、昨日の店員さんも最初びっくりしたあとはなんか普通だったし。
まあいいや。
……脳内で饒舌になって気を紛らわすのも限界だな。いい加減現実を見よう。




