6.3 ばれたのが日向さんでよかった
「池辻くんと千穂みたいな関係だったらいいんだけどねー」
小月さんと顔を見合わせる。
「私ね、彼氏ができたら縁側でお茶飲みたいんだ」
「縁側?」
「そそ。二人でぼーっと庭眺めて、話したいときだけ話して。枯れたかんじがいいかなって」
テンプレ的なおじいさんおばあさんのイメージなんだろう。
「俺と小月さん、そんな風?」
「もちろん枯れてはいないよ。そうじゃなくて、君たちは入学してしばらくしたころにはもう2人セットだったでしょ。その一緒が当たり前、ってかんじがいいんだよ」
小月さんに目をやるが少し理解しきれていない表情だった。俺もよく分からない。小月さんと出会ったのは高校に入ってからだし。
なんとなくしんみりと話していたせいか小月さんがぽん、と元のサイズに戻る。
「さて。じゃあ明日から対策練ろっか!」
日向さんが少し張った声を出して雰囲気を明るくする。
「千穂と池辻くんが普通に生活できるように頑張ろう。私も協力するから」
整いすぎた容姿に気後れしていたが、日向さんはとても話しやすい人だった。見られたのが日向さんでよかった。
明日はその日向さん家に、俺と小月さんで放課後にお邪魔することになった。
小月さんと特別な関係になれたと浮かれているばかりではだめだ。日向さんが言うように現実に向き合って対応していかなければいけない。
もう少し『千穂ちゃん』が俺の言うこと聞いてくれれば何も問題ないんだけどな。




