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第4章西の友邦

12月26日アドルリア共和国西方国境付近ブリトーレ砂漠

砂漠の真ん中にある航空基地にしては、その基地は活気にあふれていた。基地の外周をT-34/85軽戦車が周回し、要所要所をトーチカとT-55中戦車が守っていた。

飛行場のエプロンには古いがよく整備された、スホーイSu-17フィッター攻撃機やミコヤン・グレヴィッチMig-19ファーマーが並べられ、すぐ離陸できるようにしてあった。

アドルリアの現政権打倒を狙う原住民の反政府組織「アッラーの栄光」の基地である。

その様子を誇らしげに眺めていた白髪の男に、中東特有の白い服の上から砂漠迷彩の戦闘ベストを装着した鍛え上げられたいかにも中東ゲリラという格好の若い男が声をかけた。

「アッサラーム・アレイコム(おはようございます)」

白髪の男は頷くと若い男に話しかけた。

「アドルリア共和国とキタラ皇国が戦争するかもしれんそうだな?」

「はい同志アル・ファドル、そのようです。」

白髪の痩身のこの男こそ「砂漠の魔人」の異名をとり、アドルリア正規軍に恐れられるアッラーの栄光のリーダーであった。

「好機だな・・・・」

「キタラと共に行動するのですか?しかし・・・・」

「不満かね?」

「はい、彼らは無宗教です。我々とは、相いれないでしょう。」

「敵の敵は味方ではないかね?それに、無宗教ということは裏を返せばどの宗教にも平等に接してくれるということだ。」

「なるほど・・・・」

「そこでだ・・・・」

「私に使者になれということですね?同盟を結ぶために?」

「察しがいいなシマード、やってくれるか?」

「同志アル・ファドル、私の生命は常にアッラーのために存在します。」

「うむ、頼んだぞ。」

「同志アル・ファドル、今の話、私も参加させてください。」

二人が振り向くと、くたびれた砂漠迷彩を着て、AKMアサルトライフルを担いだ少女が立っていた。

ターバンからは黒髪がはみ出、砂漠迷彩服は体のラインが出るためイスラムの戒律に反すると何度も注意されても、頑なに戦い続ける意志の強い茶色い瞳が2人を見ていた。

「同志サーラ・クジャハーンか・・・・」

「無理だ。」

「何故ですか?同志シマード。」

「飛行機を使うんだ!しかもこのような重要な任務、女には任せられん!」

「私は操縦できます!子供のころに飛んだことがあります!」

「なに?いったいどこで・・・・」

「私の家族は例の”政変”で首都から逃げてきたからです。」

静かに二人を見守っていたアル・ファドルが口を開いた。

「二人でゆけ、イスラムの教えもいつまでも変わらん訳ではない。女が空を飛んでもアッラーもお許しになるだろう。それにキタラには女性のパイロットもいるらしいからな。」

シマードは黙って地面を睨んでいたが、やがて頷いた。

「いいでしょう、戦力は多い方がいい、ただし、足手まといにはなるなよ?」

「了解です。」

「うむ、では二人ともついてこい。飛行機を見せよう」

「?」

シマードとサーラは顔を見合わせた。

「いつも使っている、Mig-19ファーマーやSu-17フィッターではないので?」

「バカモン、あんなポンコツでは敵国の中央突破なんぞできんことは、飛行機に疎い俺でもわかる。とにかくついてこい。」

そういうと、アル・ファドルは滑走路の端にある基地で唯一のドーム状の強化格納庫へと彼らを導いた。警備していた兵士に敬礼すると懐から鍵を取り出し、扉を開けて中へと入った。そこには、ジュラルミンを鈍く輝かせたミコヤン・グレビッチMigー23フロッガーが2機置いてあった。二人はぽかんとしていたが、シマードがまず正気にかえり質問をした。

「同志、Mig−21もなく、まともに動いているのがMig-19というこの基地に、なぜMig−23があるのです?」

「闇市場にちょうど売りに出ていたのを偶然発見してな、買ったんだ。1機でMig−19、5機分の値段だったが、性能がそれなりだったのでな。こいつを使ってキタラへ行け。」

今度はサーラが質問する。

「戦闘機ということは、足が短いのでは?」

「コネで改造を頼んでな、大型燃料タンクを4つ付けた。航続距離は約4000キロだ。航続距離はキタラ本国までは届かんが、キタラの空軍に話を通してある、チャート通り飛べば迎えと合流できる。後は彼らの指示に従え。」

二人は機体に近づくとチェックを始めた。塗装はソヴィエトの赤い星がついたままであったが、よく整備され、腐食等も見られなかった。

「礼などはいらんよ、すべてはアッラーのためじゃ。明後日の早朝には出発してもらう、しっかり休息をとっておけ。」

「はっ」

二人は敬礼して必要な装備を集めるために格納庫を出て行った。アル・ファドルは二人が見えなくなるまで見送っていた。そしてつぶやくように言った。

「頼んだぞ、我々の未来は君たち二人にかかっている。アッラーよどうか彼らをお守りください。」

しかし、神は彼らを見放した。


12月28日午前4時アドルリア共和国西方国境付近ブリトーレ砂漠

最初の攻撃はM-109自走砲から放たれた155ミリ榴弾砲であった。タイミングを合わせて発射されたMLRSのロケット弾が基地外郭の防衛線に殺到し防衛隊の30%が一気に消滅した。


基地中に響き渡る警報を聞いて、アルファドルは飛び起きた。愛用のAKMを掴むと、司令室へと駆け込んだ。

「状況は?」

「はっ、外郭の防衛戦は完全に抜かれました。」

無線機が雑音とともに報告を伝えた。

「敵はM60パットン中戦車とセンチュリオン中戦車、それにM113兵員輸送車と歩兵です!大群です!うわ!ブ、ザーーーーー・・・・・」

「もう時間がありません。」

「あの二人を脱出させる。」

「この攻撃の中をですか!?」

「アッラーを信じろ、あの二人は我々の希望なのだぞ!?何としても上げろ!」

「はっ!」

アルファドルは動ける隊員と共に強化格納庫へと急いだ。彼がついた時パイロットスーツを着た二人が、砲声に負けないように整備班長と話しているところだった。

「滑走路が破壊されていて、通常の離陸は無理です。JATOを使ってもらいますから注意してください。」

「何よ、それは?」

「機体に小型の補助ロケットをとりつけて滑走距離を短くするものです。急激に速度が上がるの他は普通の離陸と変わりません。」

「了解した。」

そこで二人はアル・ファドルに気がついた。アルファドルは懐からチャートとメモを取り出すと、二人に渡し、握手した。

「指定ポイントまで飛べばキタラ空軍が空中給油機を回してくれているはずだ、その後は向こうの指示に従え。」

二人は頷いた。

「生きていたらまた会いましょう、同志。」

「二人とも頼んだぞ、しかし無駄死にはするな。栄光ある死は蛮勇からは生れん!」

「はっ!肝に銘じます。」

そして二人はそれぞれの乗機へ向かった。シートに付きハーネスを締め、キャノピーを閉じる。電源車から電気が供給され、電装系がオンにされる。コンプレッサー始動、エンジン始動、主翼を離陸位置へ、パーキングブレーキ解除、スロットル60%、タキシング・・・・。

滑走路端でこの基地の戦車隊の虎の子であるT-62が5両押し寄せてくるアドルリア共和国政府軍を相手に、最後の希望を守ろうと死闘を行っていた。その様子を見ながら2機のフロッガーは滑走路に入りパーキングブレーキをかけた。エンジン出力を最大にし、アフターバーナーをオンに、機首が沈み込みニーリングの体勢に。ブレーキリリースと同時に補助ロケットに点火する。一気に離陸速度の250マイルまで加速し、離陸、眼下に戦車隊が通り過ぎると同時にギアが地面から離れると同時に空気抵抗を少なくするためにすぐ引き込む。速度が300マイル、高度が1000フィートに達した時点で燃料切れのロケットブースターが自動的にパージされる。

二人の離陸に気付いた敵部隊が、機銃で弾幕を張って撃ち落とそうとしたが、高速で上昇する彼らをとらえることはできなかった。

二人は一気に高度1万フィートまで上昇すると機首を東へと向けた。その様子を地上から満足げにアル・ファドルは見ていた。

「アッラーよ、どうか彼らを守りたまえ。」

「同志、突撃準備完了です!」

「うむ、我々の意地をみせてやれ!突撃!!」

「ウワー!!」

怒号と共に彼らは最後の突撃を行った・・・・。

ラ「さてどういうことなんですかね?こ・れ・は!?」


と「筆者からのメッセージによると『レポートと就職活動で忙しい』と言ってるぞ」


ラ「予告の三倍期間かかってこれなの!?」


と「いや、しかし」


ベキ!バシ!


ラ「失礼しました。次は1カ月以内に投稿しますので、どうぞみなさん見捨てないであげてください。ではまた〜。」


まだ就職活動中です。氷河期ですね・・・ほんと。

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