なんかごめんなさい
ズリュリ
ズリュリ
ズリュリ
御髪さんは、生きてる人がしてはいけない動きで這いずり近づいてくる
ボクはというと
腰が抜けてやっぱり、後ろ向きに這いずり逃げるしかできない
背中が壁にはりつき、もうこれ以上逃げれなくなる
ズリュリ
ズリュリ
御髪さんはボクの足元まで迫っている
ズ
リュリ
這いよる度に、簾のような黒髪が左右に揺れる。きっとあの顔を見た瞬間、自分は、自分はきっと死んでしまうんだ。心不全的なやつで
ズリュ
リ
う、う、ち、近いよ。御髪さん
目の前に顔が来てる。髪で覆われて見えないけど
ジーーー
うはっ、ガン見されてるよ
やがて、髪の毛から恐ろしい顔が現れる、そして、自分は急性心筋梗塞的なやつで死ぬんだ。今にも心臓がバクバクと破裂しそうな勢いだ
ジーーー
あ、あ、きっと、死ぬ
ジーーー
だから、えっと、御髪さん?
見てるだけ?
そろそろ次の展開に……
ジーーー
えっと……
ボクはそっと御髪さんの髪を上げると御髪さんの顔を覗いてみる(なんかスカートめくりみたいだ)
あっ、仲間由○恵さん似の美人さん ♪
ズリ
ュリ
ズリュリ
ズリュリ
えっ? あれ? 御髪さん、後ろ向きで下がってくよ
ズリュリ
ズリュリ
ズリュリ
ズ
リ
ュ
リ
ガタガタ ブルブル
御髪さんは部屋の隅の壁に身を寄せて肩を震わせている
……ひょっとして泣いてるの?
ボクが顔見たから?
えっ?
えっ?
なに、顔見ちゃ駄目だったの?
なんだろう、好きな女の子の気を引こうとして、スカートめくりしたらドン引きされて、あまつさえ泣かしてしまったような、この罪悪感……
なんか、ごめんなさい
2019/05/06 初稿