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赤い髪の女

 門を離れ、大広場へと戻る道を歩いて程なくするとハルキはナツトらしき少年と彼を連れだって歩く、燃えるような赤い髪の凛とした若い女性を発見した。

 何処か日本人ぽさというのだろうか、そういう物がないおかげで赤い髪がハルキには不自然には見えなかった。

 この街において二人の姿はとても目立った。なぜなら、他のどんよりとしたプレイヤー達とは違い笑顔で談笑していたからだ。



 脳内には先ほど想像した悪い不安がよぎる。

 「おい」

 ハルキは低い声でそのテレビに出てくる悪人のような顔を更にしかめながら前に歩く二人に話しかけた。

 「はい? 何でしょ……」

 「ひい!」

 二人はハルキの呼びかけに答えようと振り返ると少年は小さく悲鳴を上げて怯えてしまった。

 ハルキは自分の人相が悪いことは知っていたがそんなに怯えられるのか……と少しショックを受けたが今までに何度も経験していたことであったのですぐに立ち直った。


 「どなたでしょうか……」

 赤い髪の女性は怯えて腰が引けていながら、少年のことをかばうよう前に立った。

 その少年のことを守らんとする姿を見てハルキは女性に対しての警戒心を一段階下げた。


 (これじゃあまるっきり俺が悪者みたいだな)

 ハルキは苦笑いを浮かべながらそう思った。

 ハルキは女性の背に隠れるようにしている少年をのぞき込んだ。

 「よく似ているな……」


 黒い髪に目鼻立ち、彼はどこからどう見てもフユミそっくりであった。

 ハルキはこの少年がナツトであるという確信をもって、目の前で怯えている二人の警戒心を溶かすために柔和な笑みを浮かべ話しかけた。

 

 「驚かしてすまない、俺はハルキと言ってフユミちゃんの頼みでそちらのナツト君のことを探していたものだ」


 「お姉ちゃんの知り合い? お姉ちゃんはどこにいるの?」

 ナツトは前に出てきて先ほどまで怯えて女性の後ろに隠れていた少年とは思えない様子でハルキに返答した。


 「フユミちゃんは俺の仲間とナツト君のことを探しているよ」

 「じゃあそこに連れてってくれよ!」

 ナツトのことを連れて帰ることが出来そうだとハルキは安心した。

 「ああ、もち「待ってください!」」


 ハルキが了承の言葉をナツトに伝えようとしたがその言葉は女性の叫び声によって遮られる。

 「私のことも連れて行ってくれませんか?」

 「失礼ですが貴女は?」

 ハルキはナツトと共にいた女性に問いかける。


 女性は叫んでしまったことを恥ずかしがるように咳払いをした後話し始めた。

 「私はユミエって言います。大広場で立ち尽くしていたナツト君を見つけて一緒にいました」


 ユミエと名乗った女性はハルキへの怯えから立て直したようで、初めて見かけたときのような凛とした表情をしていた。

 ハルキは今さら凛とした表情になってもと思ったが、そのことを指摘していたらいつまでも話が進まないと思い言うのをやめた。

 「図々しいとは思いますが私も少しの間ご一緒してもよろしいでしょうか?」

 「わかりました大広場まで一緒に行きましょう」

 「えっ! ええお願いします……」


 ユミエは自分の要求がすんなり通ったことに驚いているようであった。

 おそらく先ほどまで一緒にいたナツトと別れるのが寂しいからという理由でついてきたわけではないだろうとハルキは思ったからユミエがついてくることに反対しなかったのだ。


 (この女は疑っているんだ、さっきまで俺がこの女を疑っていたのと同じで)

 ハルキは先ほどまで自分が疑っていただけに、ユミエが疑っている事にすぐに気づくことが出来たのだった。


 もし、ハルキが少しでも悩んでいたらユミエのハルキへの猜疑心は膨れ上がっていただろう。

 (しかし、なぜこの女はさっき会ったばかりのナツト君のことを心配しているんだ? 仮にただ心配なだけだとすると危険を冒してまで俺についてくる意味は何だ?)

 「それじゃあナツト君ユミエさん、俺の仲間も待っているので急いで大広場に向かいましょうか」

 そういうとハルキ達は大広場へと急いだ。


タイトルコロコロ変えて変えてしまってすみません。

今後もまた変わるかも知れませんが何卒よろしくお願いします。

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