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チュートリアル

 現在時刻二十時四十五分

 無事に〈コクーン〉を受けとったハルキはヒロと共に大学の寮まで戻り、ハルキの部屋の前でヒロと解散した。

 『九時からサービス開始だからそれまでに〈コクーン〉を頭にかぶって脳波の検出をしおえたら最初の場所から動かないで待機していてね』

 ヒロとの約束を思い出しハルキは頭に〈コクーン〉を頭にかぶってベットの上に横になってサービスの開始を待っていた。

 そうしていると事前の説明にあったように起動と共に催眠誘導が始まった感覚的にはカラダだけレム睡眠のような感覚がした。ハルキはその催眠誘導に身を任せて眠りに落ちていった。

 

 




『脳波検出完了 choice worldを起動しますか?

YES NO』

 ハルキが目を覚ますと目の前には周りに金色の装飾がされたメッセージボードのようなものにそう書かれており、その文を思わず聞きほれてしまうような女性の美しい声が読み上げた。


 (変な感覚だ……手足の感覚はあるけどこの体が自分のものではないとでも言うのだろうか、そう慣れてない、慣れていないんだこの体に、意識から薄皮一枚隔てられた中に体がある感じだ……目線の高さから身長が低くなったとも感じないし、耳もつぶれたままだ。それよりとりあえずYESを押せばいいのか?)

 ハルキがYESを押すと新しいメッセージが浮かんできた。


 『welcome to choice world 『大いなる選択には大いなる報酬を』   チュートリアルを始めますか?  YES NO』

 ハルキは自分の考えが正しくメッセージボードはタッチパネルのようになっていることを確認した。


 チュートリアルとはゲームの内容やシステム、バトルの仕方を教えてくれる親切な機能の事である。この〈choice world〉では事前に伝えられているゲーム内容は異世界が舞台であるということのみなのでチュートリアルを見ないとプレイヤー達は何もわからない。

 (チュートリアルは受けておこう、何もわからない状態で始めるのは自殺行為だろ)

 

ハルキがYESを押すとメッセージがチュートリアルを始めることを伝えた。

『チュートリアルを始めます。

 まずはこの世界の説明をさせていただきます。

 あなたが行く世界は『選択の神ノリス』によって『大いなる選択には大いなる報酬を』という理念のもとに創造された世界です。あなたにはそこで自由に生きてください。冒険者としてモンスターを狩り、富と名声を得るもよし、料理人として腕を鳴らすのもよし、探究者としてこの世界の謎を解明するもよしです。

世界に行く前に、あなたには主職業と副職業の二つを選んでもらいます。主職業は戦闘の中で役立つ職業の事です。剣士や魔法使い、格闘家、などの戦闘職とプリーストやクレリックなどの回復職の中から選んでいただくことになります。

副職業は戦闘以外で役に立つ職業の事です。料理人や裁縫士、細工師などの生産職の中から一つ選んでいただきます。どちらの職業もある特定の場所やアイテムで転職が出来ます。

ですが当分の間転職はできないものと考え、慎重に選ぶことをお勧めします。

 それではまず主職業の選択を始めます。

職業を選んでください。

〈剣士〉 〈魔法使い〉 〈格闘家〉……』



 ハルキはチュートリアルを聞き、自分の主職業について目を細めて考える。

 (まずは絶対に戦闘職だな。周りを回復させるなんて言うのはおれのがらじゃねえ。しかし、何の戦闘職を選ぼうか……)


 ハルキはあまりにも数が多い主職業の選択肢をみて少し顔をゆがめる。

 (順当にいけば格闘家だろうな。〈剣士〉っていったって剣の振り方なんざ知らねえし、他には〈守護者〉とかなんだがなあ。前線でモンスターと戦いたいしここは……)


 ハルキは指を動かして〈格闘家〉の項目を押した。そうすると『〈格闘家〉で本当によろしいですか? YES NO 』という確認画面が出てきたのでハルキはYESを押した。


 『主職業に〈格闘家〉が選択されました。この選択によりあなたには〈バンテージ〉が与えられます。

 それでは副職業の選択を始めます。

 職業を選んでください。

 〈料理人〉 〈細工師〉 〈細工師〉……』

 (バンテージ? テーピングみたいなものだろうか?)

 ハルキはあまり聞きなれない単語について考えた。


(後でバンテージについては調べるとしてそんなことより副職業だ。ここは料理人にしよう。料理は食べるのも好きだし作るのも好きだからな。後もしかしたら味覚まで再現されているのかもしれないからな)


 ハルキはまだ見ぬ異世界の食への期待を膨らましながら料理人を押した。先ほどと同じように確認画面が出たがもちろんYESを押した。

 『副職業に〈料理人〉が選択されました。この選択によりあなたには〈切れ味の悪い包丁〉が与えられます。それでは続いてメニューの説明を始めます。「メニュー」と口に出して言ってください。』



 ハルキは指示通り「メニュー」と小さな声で言った。

 そうするとハルキの目の前にいくつかの文字列が並んだ先ほどのメッセージボードが出てきた。

 


「一番上にあるものから順にプレイヤーネーム、時間、ログアウト、コールです。プレイヤーネームは現在プレイしている方のお名前、その横に書いてある数字が現在のレベルが記されています、時間はそのまま現在の時間を示しており、他にはタイマー機能などもあります。ログアウトはその項目をタッチしていただくと確認画面に入り、そこでYESをおすとログアウトしていただけます。コールは使っていただくと24時間対応のサポートセンターにつながりご質問などをお答えします。他にもできることが増えるとそこに追加されていくことになります。

これにてすべてのチュートリアルが終了しました。あなたが『後悔のない選択』をなさるよう願っております。

それではchoice worldの世界をお楽しみください』



 そうメッセージに書かれると次の瞬間メッセージボードはもとからそこになかったかのようにきれいさっぱりなくなった。そしてその場所には大きな穴とその前に木でできた看板が突然現れた。


 ハルキはその看板をのぞき込むと顔を青くした。

看板には『勇気をもって飛び込もう!』と大きな文字で書いてあるだけであった。

(飛び込む一択かよ! 俺は高所恐怖症なんだこんな底が見えない穴に飛び込むのとかありえないから! 無理だから!)

ハルキが踵を返して穴から遠ざかろうとした。

すると突然背中に強い衝撃を受けハルキは穴の中に落ちてしまった。

「なっ!」

 あまりに突然の事で、ハルキは事態の把握が出来ずに短い叫び声をあげて穴の中に落ちていった。


貴重な時間を使って読んでいくださっている読者様の期待を裏切らないように努力していきたいと思います。感想評価お待ちしております。

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