プロローグと後悔
こんにちは、妄想野郎です。
なんとなく書いていた悪魔と魔法が出てくる、ギャグ?ものです。
だけど、あまりそういうのは出てこないかも。
まあ、亀さん更新で行くので気長に…
あ! 縦書き対応しているので、縦書きのほうが良い方はぜひそちらで。
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(俺の人生はあいつに最初から最後まで振り回されたのか?……)
自然と解のない問題が脳内で何度もグルグルと思考を繰り返し、気が狂いそうになってくる。
本来なら自分はこんな非日常なんかに手を出す必要は無いし、関わることもなかったはずだ。
だけど、あいつを守るために必要なことだったのだから仕方ないと思える自分もいる。いや、仕方がないではなく正直全面的にそうしたいという思いのほうが強かった。
昔から、危なっかしいやつで、自然と保護欲が湧いていたのかもしれない。
しかし、俺が退魔術師になる原因があいつなのはまだ良い。だが、自分の死に直結することになったのもあいつのせいだと思うとなにか運命的ものを感じる。
最初は、幼稚園の頃だったと思う。機関の追っ手を一旦まいたが、消耗した残り少ない体力を回復するために木に寄り添うようにして静かに腰をかける。
あの時は、俺とあいつである山奥で探検ゴッコをしてよく遊んでいたのだ。
普段なら、特に怪我をすることなく時間を過ぎるわけでもなく非日常な出来事が起こるわけもなく親の元に返るのだがその日はそうはいかなかった。
いつも通りになじみの道を少しずつ奥に進み、ある程度疲れたら引き返す。その間、珍しい石ころや木、虫など捕まえ親に見せて、それらが何なのかを、好奇心旺盛な子供の俺たちは親に尋ねる。
しかし、その日は違ったんだ。
いつもと違ってその日の森の雰囲気が悪く、酷く体が毒素に包まれたように重たくなった状態で、鉛を足で引きずっているような感覚を味わっていた。
いつもと違う雰囲気にあいつは怯えてしまい、腰が抜けてしまった。
歩けない様子なので、しばらくあたりで休憩をして体を休めるつもりだったが一向にあいつの体調はもとには戻らないことがわかった。
すぐに原因はこの森にあることに感づいた俺はそれが不確かでも、急いで森を抜けることにした。
そこで、最初の非日常が始まったんだ。
酷く後悔している。
もし、その時、あの場で辛抱強く待てばこの区域に派遣された退魔術師に保護されていたが、その場を動いてしまった。
だが、そのおかげで相棒に出会えた。
確かに自分の行動に酷く後悔はしているが、それがなければ相棒に会うことなく平和な日常を過ごしてきたかもしれない。
平和な日常が嫌いなわけじゃないが、自分のそのときの行動で、相棒にあえて、充実した11年を送っていた。
もし、相棒と出会うこがなければ、中途半端な日常をダラダラと過ごしてきたかもしれないが、やっぱり後悔している。
なぜさっきから似たようなことを繰り返し言っているかというと、自分の死が刻々と迫っているからだ。
つい先日、俺は退魔術師が集う機関に所属していたが、ある禁忌を犯していたことがばれてしまい、今その機関に身柄を追われている最中だからだ。
本来なら、この11年隠しとうしてきた禁忌を気づかれるような真似はしない予定だったが、あいつがある悪魔に襲われており、その悪魔はかなり上位の成長態で、自分のような一下っ端では到底倒せる相手ではなった。
しかし、方法はあったのだ。
しかし、それを使うと自分が幼少のころ犯した禁忌が機関にばれてしまう。
迷いはなかった。
幼少のころ俺は相棒と、魂の契約をした。本来、退魔術師は悪魔を使役し従える契約を行い退魔術師として人類に害をなすものを退治するために働くが、悪魔に魂を売り、魂の契約をすると、いずれ魂を売った人間は悪魔に体をのっとられ、好き勝手に暴れるか、機関内部に侵入し、計り知れない危険が齎せるから禁忌とされた。
悪魔を従える契約をした退魔術師はもちろん、契約した悪魔の能力が使えるようになり、ともに身体能力も上がるが、魂の契約をした人間は、それ以上に身体能力が向上し、より悪魔の力を引き出すことができる。
あくまで悪魔を従える契約は、悪魔の魂を半分だけ契約した人間の体に入るが、魂の契約は、人間が悪魔に魂をすべて捧げるので、当然寿命も減り続ける。
特に、悪魔の力をすべて引き出そうとすると、能力の階級にも寄るが、悪魔に人間の魂を食わる量が格段に上がる。
二度目だが、あいつを助けるために俺は迷うことは決してなかった。自分の命を削っても、機関に追われることになっても、否そうでなかったかもしれない。
実際、上級悪魔を倒した後は、正気を取り戻して自分の行動に驚きはしたが、特に慌てる事はなかった。
だが、冷静になってしばらく普通に自宅に帰ろうとしていた処、相棒の言葉に自分の死に直結するのに気づいたのはそのすぐ後で、即効身を暗ました。
案の定、もう一週間逃げているが、先ほど、すでに機関の追っ手に遭遇し、戦闘になったが何とか逃げ切ることができた。
しかし、数時間たって今現在いる山の四方には退魔術師特有の悪魔の気配と人間の気が混じった存在がちりばめられており、もう数時間もしないうちに、今自分がいるこの森までくるだろう。
(そろそろ覚悟を決めるか……)
残り少ない未来を想定して、諦めモードに入っていた俺に相棒が話しかけてきた。
心に奥深くから脳内に響くように聞こえてくる声。
『どうすんだ?』
「うん、俺はもう逃げないよ。俺は、だめでもお前は逃げろ」
11年ともに一心同体で過ごして来て、もう家族並みに情が移ってしまっているため、相棒には逃げてもらうことを勧めた。
『馬鹿か? 俺だってもうお前以外の人間と一緒にいるきは無いんだよ』
しかし、帰ってきたのはまぁ予想通りって感じで、気持ちが緩んだ。そうだ、契約をしたものたちの魂は繋がるので、どちらか一方が死ねば片方も死ぬ。
改めて覚悟を決めて、最後のチャンスを与えるような言葉で語りかける。
「じゃあ、一緒に逝くか?」
だが、相棒の言葉は自身の想像を超えるようなすごいことだった。
『いや、逝く気は無い。生きるさ、俺も、お前も。』
「……? なに言ってんだ? もう俺たちの残された道は無いんだぜ……」
『ははは!! 俺の世界があるじゃねえか!!』
いきなり高笑いをし始めた相棒の言葉に理解が追いつかなかった。
(俺の世界?……)
『意味がわかってねえみたいだな。教えてやる、俺たち悪魔は――』
相棒が言葉を紡ぐ瞬間、機関の追っ手の気配を感じた。
そして、もう視界に二人見えている状態だ。
『時間がねえ! 勝手にやらせてもらうぜ!』
唐突に体が何かに引っ張られるように後方に引きずられた。
後方には、空間に亀裂が走っており、亀裂の中には闇の空間が広がっている。
たしかに相棒は俺の世界といったが、闇の世界の中、ましてや地獄なんかには行きたくなかったと心底思っていたが、杞憂だった。
闇の空間に引きずられた俺はそのまま地下鉄の電車の車線のような物に、まるで特急電車に乗っているような速度で沿うような形でひたすらに引きずられていった。
そして、いつのまにか意識は薄れていた。ただでさえ、自分より格上の退魔術師と一戦を交えたのが相当な疲労になっていたので、当然の反応といったところで、特に抵抗なく睡魔に身を委ねた。
意識が薄れる中で僅かだがこれからつれてかれるであろう非日常も悪くないと思う自分が、穂のかに笑みをした気がした。
「菜奈美……」
呟かれた言葉の意味はどのようなことをおもって放たれたのかは、呟いた本人も分ってはいない。