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魔術測定

2050年4月10日。涼しい風を受けながら通っている高校に向かって歩いてる途中の僕は、旧日本(第三都市)立青梅魔術高校一年生の税所蓮だ。今年の4月からこの魔術高校に通っている。

 今日は連合から義務付けられている魔術測定の日だ。


「フンフフン♪ルンルルン♪」


 高校生にもなってスキップをしながら鼻歌を歌っているのも無理はない。僕は今日、魔術を手にするのだから。


 朝のホームルーム前、前の机の男子に声をかけられた。

「蓮は中学一年のときは測定不能だったんでしょ?」

「そうだよ!でも今日で分かるんだ!僕の能力が!」


 ――と思っていたのだが――





◇測定終了後

「高一四時間目はこれで終了です。測定お疲れ様でした。」と放送が入り、午前の授業で行われた魔術測定が終了した。


「おまえ、どうだった?」

「俺は良かったぜ!おまえこそどうなんだよー?」


 周りでは高校一年生らしい他愛のない会話がされているの中で、蓮は一人で呆然と立ち尽くしていた。

 そんな時に同級生の吉祥寺櫻が話しかけてきた。こいつは蓮の幼馴染で中学一年の時にはもう魔術が現れていた。

 そんなエリートさんが話しかけてきた。


「あんた、家ではあんなに楽しそうにしてたのに何よその顔。」

「……うるさい……エリートさん」


 櫻は一度大きくため息をつき、腕を組んで僕に質問してきた。


「で、どうだったのよ?」


 蓮はこの世の終わりかのような顔をし、光のない眼で櫻を見つめた。


「不能だった……測定不能だった。」

「そ……そうだったんだ。と、とりあえずお疲れさん。」


 櫻は気まずそうに教室へ戻って行った。


 一人になったことで悲しさで涙が溢れ出た。


「俺だって……真理露見(トゥルーリビール)だったり、思想共鳴(マインドリンク)だったり、未来感応(プレセンシア)が使えるような世界に生まれたかったぁぁぁぁぁぁぁー!!!!」



 その後、涙を出し切った蓮は放心状態になり午後の授業の内容は全く理解できなかった。まず何の授業かも分からなかった。


「帰りのホームルームは以上だ!みんな今日は疲れただろ!早く帰って早く寝ろよ!」


 担任の小林先生の声が教室に響いた。

 やっと目に光を取り戻し始めた蓮は帰りの支度は素早く済ませ、ある人物の待ち合わせに遅れないように小走りで学校を去った。


「……」


 無心で走った。

 

 ――10分後――

 

「悪い。少し遅れた。」

「いいわよ。あんたが遅れることなんて中学の時から滅多にないんだから少しぐらいあってもキレたりなんかしないわよ。」


 そう、僕が待ち合わせていたのはエリートさんこと吉祥寺櫻だ。なぜこんなエリートさんと待ち合わせているかというと。


「あんたと兄ちゃんは家の鍵持っているのになんで私だけないのよ。」


 少し呆れながら僕に愚痴を言ってくる。

 そう。僕は事情があって櫻と櫻の兄の優斗さんと一緒に暮らしている。


「あなた、なんで魔術が発生しないのよ。中学の時は私に劣らないほどの運動神経があって、学力だっていいのに。」


「勉強も運動も普通に櫻より出来てるのに、なんで魔術だけ出来ないんだよぉぉーー」

「運動もって、私も舐められたものね」


 櫻の負けず嫌いが発動してしまったが今の僕には何も感じない。

 櫻は「やれやれ。」と言わんばかりに、ため息をつきながら蓮の背中を叩いた。


「ほら!元気出しなさいよ!」

「いってぇぇ!何すんだよ!」


 違う意味で涙が出そうだった。

 櫻は蓮の顔を見つめながら……

「パン!」と顔を叩かれた音が夕陽に照らされる街に響いた。


「いてぇぇぇー!!!」

「ふー、スッキリした。いじけたり不貞腐れたりするのはあんたらしくないわよ。」

「……」

「ほら、切り替えて!切り替え切り替え!」


僕は子供の頃から魔術が好きだった。けどもうその願いは叶わない。そうだな。前を向こう。


「そうだな……僕らしくないね!もっとポジティブにならなきゃね!」

「そうよ!ポジティブにいかなくちゃ!」

「櫻……僕頑張るよ!勉強も運動も。」

「そうしなさい。私も魔術は頑張らないとね。」

「……まず櫻は、勉強頑張らないと。」


「パン!」と今度は銃声音のような大きさで街に響いた。


 その後の生活は何事もなく、早いと思うほど順調に過ぎていった。





◇そして6月21日午後10時

 明日は僕の誕生日だ。

 優斗さんがステーキを作ってくれると聞いて浮かれていた。

 

「ここにきてもう11年か……」

 つい独り言が溢れた。

「(まぁ明日からの生活も変わらない気楽に過ごそう!)」

 

 心の中でつぶやきながら部屋を電気を消し、目をつぶった。

 明日からも同じような生活……と、思っていたが現実は違った。



 夢の中で白い光に包まれた。

 光が強くなったところで勢いよく起きた。


「寝坊したかと思った……」と呟きながらベッドの隣の時計を見ると……


「え……」


 時計は『2050年6月22日6時55分』ではなく『2050年4月10日』と表示していた。

 ただの故障だと思いたい僕はすぐに階段を降りリビングでパソコンをいじっている優斗さんに聞いた。


「優斗さん!!!」

「どうしたんだよ蓮くん、急に」


 僕は恐る恐る聞いた。


「今日って……何日ですか。」


 心臓の鼓動が聞こえる。そして優斗さんは当たり前なように答えた。


「何日って、決まってるじゃないか。どうしたんだよ急にー」

「よかった、じゃあ今日って――」

「4月10日に決まってるじゃないか。」

「……」

「……」

「……」


 理解が追いつかない。

 何が起きているのかが分からない。

 昨日は6月21日だったはず。

 僕の顔が真っ青になっていく。

 

「(どうなってんだよ……)」



 蓮は口を開けながら通学していた。

 僕は今頭が混乱している。昨日までは6月21日だったのに今日になったら4月10日だ。

 

「優斗さんは何も知らないみたいだし、このままだとまた測定不能の結果をこの目に焼き付けなきゃならないのか……」


 弱音を吐きながら通学していたことでいつもより5分学校に着くのが遅かった。

 朝のホームルーム前の自由時間。

 同じ様に前の机の男子に声を掛けられた。

 変だと思った。

 前の4月10日に話しかけてきた男子は髪型がマッシュの子でおとなしめな子だった。

 しかし今回の男子はツーブロックの見るからにガチガチ陽キャだ。

 これはただの勘違いだと思っていたが、その時、衝撃的な言葉が僕の頭を叩いた。


「蓮はさ、中学の時の測定ですんげー結果出してたからいいよなー」

「え……?」

「えって、お前自分の結果も忘れちまったのか。お前の能力は百識眼(ハンドレッド・アイ)だろ。」

「……」


 この瞬間、蓮は気づいた。

 

「(この魔術はずっと欲しかったもの……。でも違う。僕の体が自然とこの都合の良い世界を否定してるんだ!)」

初めて書いたので、分からないことも多いので良かったらコメントしてください。

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