第七十四話 魔法などの知識について その1
テーブルを挟んで向かい合ってる僕とサリーナさん。
まるで学校で先生から受けた個人面談みたいだ。
僕は経験ないけれど、アルバイトなどの面接もこんな感じなんだろうか、と思った。
テーブルの上には書物やら何かを丸めてあるものやら、おそらく今回の資料みたいなものが置いてある。
「それでは改めまして。私は三等級の冒険者で、一応、魔法使いです」
この世界には魔道具があった、ということは魔法もあるだろう。
そう思っていたところで、イヴさんが魔法らしきものを使っていた。
魔族のイヴさんが魔法を使っていたとするなら、人族の間にも魔法があるかもしれない。
僕も阿形さんもそう思っていた。
それで今回、サリーナさんが魔法使いだと教えてくれた。
僕は正直、嬉しくなった。
千鶴姉さんだったら身を乗り出していただろう。
鈴子さんだったら『魔法使い、キターッ!』って言うところだろう。
危うく僕も、喜んでしまうところだった。
ポーカーフェイスを崩すこと、なかっただろうか?
「そ、そうだったんですね。僕が育ったところには、魔法を使える人がいなかったので」
僕の知っているイヴさんが、魔法を使っていたかもしれない。
物語にも魔法という概念があったから、まったく知らないというわけでもない。
それでも実際、地球にはいなかったから嘘ではないだろう。
「あら? そうなのですね。そうなると、魔力の役割を教わっていないのでしょうか?」
「あまり詳しくは教わっていません。なので今回こうして、お願いしようと思ったんです」
ファルブレスト王国が僕に対して召喚術式を使ったときの条件に、『魔力が多い』という条件があったと聞いている。
だからおそらく、この世界の人と比べても魔力が多いはずだ。
僕は阿形さんたちの眷属になったことで、彼らの体質も受け継いだ。
おそらくそれが原因で魔力を多く持つ身体になったと思われる。
以前、阿形さんと吽形さんから魔力エネルギーがあるのは教えてもらっていた。
魔力エネルギーは精気やスタミナ、体力や気力のようなものだと教わっていた。
「まずですね。前提として、私たち生きるものには、多かれ少なかれ魔力があります。それは人だけでなく動物にもですね」
「はい」
「草木については定かではありませんが、人や獣などは、生きていくだけでも微量にですが、魔力を消費していると言われています。もちろん、消費するだけでなく、私たちの体内では休む、寝るなどの休養によって魔力を回復しています」
「はい」
「これらのことから魔力は、生命活動に必要なものの一つであるのではないか? そう、考えらるようになりました」
サリーナさんは、阿形さんたちと同じような説明してくれる。
「そう考えられるようになった要因の一つとして、魔力は枯渇すると最悪、気を失ってしまうからなのです」
「はい、なるほどです」
「前置きはこれくらいにしたいと思います。カズヤさんは、魔法と迷宮などについて詳しく知りたいとのことでしたが、間違いはありませんか?」
「はい。時間が許されるのでしたら、他にも質問はありますが、基本的にはそう思っていただいていいと思います」
「わかりました。ではまず、魔法についてです」
「はいっ」
待ってました。しっかり聞いておいて、あとで阿形さんと情報共有しなきゃいけない。
「精通している、というにはまだ程遠いのですが、私は治癒魔法といくつかの補助魔法を使うことができます」
「おぉおお」
「はいはい興奮しないの。落ち着いてくださいね」
「あ、すみません」
コロコロとした感じに笑うんだよね、サリーナさんって。
「私は、普通の人より魔力が多いと思っています。おそらく、通常の倍以上はあるでしょう。ですが、魔力が多いからといって魔法の素養があるとは、限らないんですね」
「そう、なんですか?」
「はい。魔法は、魔力の流れを制御することから始めなければなりません。例えばそうですね」
サリーナさんは僕の目の前に両手の手のひらを持ってくると、左手の上に右手を重ねた。
そのまま左手で右手を覆うようにすると、右手は軽く握るようにして、人差し指と親指だけ何かをつまんでいるかのような仕草にしてる。




