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スーパーヒーロー、異世界へ行く ~正義の味方は超能力で無双する~  作者: はらくろ


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第七十二・一話 もう一度良い知らせと、悪い知らせ(Girl's Side)





『あら?』


「どうしたんですか? 吽形さん」


「なになに? 何か情報でも入ったんですか?」


 食い入るように吽形の両肩から覗き込むようにして、モニタを見る千鶴と鈴子。


『今し方、あの人が『金剛』(こちら)へアクセスしたという信号を受信したんです』


「え? ということは」


『はい。これまで入手した画像と、今回信号を受信したことで、状況的にはあの人が生きている証拠になったかと思います。とはいえですね、一八くん自身の画像は未だ入手できていないのです。そのため千鶴さんを安心させらてあげられないのが心苦しいというか……』


 吽形にとって嬉しいことなのは間違いないはずだろう。

 だが、彼女は言い淀んでしまった。


「別に吽形さんのせいではないですよ。やーくんの運が悪いだけでしょうから」


 その通りである。

 これまで千鶴たちが『金剛』に送られてきた画像を見る限り、一八の顔だけが確認できていない。


 送られてくる画像はあくまでも、阿形が見たものだけ。

 普段の彼は一八の中にいることが多いと思われる。

 だから一八の目を通して見たものしか、画像として送られてこないのだろう。


『そう言ってもらえると助かります。千鶴さん、ありがとう』


「いえいえ、どういたしまして」


「千鶴ちゃん。一八くんが鏡でも見ない限り、難しいかもしれないね。一八くん、男の子だから、一日に何回鏡見るのかな?」


「やーくん、(ひげ)、薄いから。あまり気にしないのかもしれない……」


 薄いといっても一八は男。無精髭が生えたとしたら、阿形がなんとかしてしまうはずだ。

 こちらにいたときも、せいぜい歯を磨いているときくらいだった。

 だから鏡を見る習慣はあまりないのかもしれない。


「でもほら、焼き魚とかあったじゃない? あれをわざわざ阿形さんが、一八くん以外を眷属にして食べるようなこと、しないでしょう?」


「そう、思うわ。それにあの手、あの爪は間違いなくやーくんだもの」


「さっすが超ブラコン。愛されてるねー、一八くんってば。……あ」


「どうしたの? 鈴子ちゃん」


「そういえば千鶴ちゃん、もうひとつ『悪い知らせ』があること、気づいてないの?」


「何を?」


「だってほら、おばさまは。えっと、一八くんのお母さんはさ、千鶴ちゃんの亡くなったお母さんと双子だったのよね?」


「うん。そうよ」


「お婆さまは元大女優。亡くなったをおばさまは元アイドル女優。だから一八くんって、国民的CMタレントの千鶴ちゃんの顔かたちにとても似てるわけ。本当の姉弟(きょうだい)みたいにね」


「うん。やーくんはわたしの大事な弟だもの」


 一八の母と千鶴の実の母は一卵性で双子の姉妹である。

 そのため、一八は実際は実弟ではなく従弟なのである。


「いやいやだーかーら。一八くんってば、誰もが振り向く超絶美形名千鶴とそっくりなのよ? ということは現在は文庫(ふみくら)に負けず劣らずだけど、将来的には大化けするレベルの美形なのだよ? 忘れてるのかな? それとも、考えないようにしているのかな?」


「……あ」


現地(あっち)の美的感覚がさ、こっちと同じだったらどうなるんでしょうね?」


 一八は中等部にいるときは、同じ校舎に高等部の千鶴がいた。

 だが、三年年上の彼女は一八が高等部に上がったあと、卒業して大学校舎にいるため、同じ校舎にいなかった。


 一八は、千鶴と鈴子というバリケードがいなくなった。

 そのため、高等部一年から数日に一度、女子生徒から告白を受けていたのである。

 それはもう、高等部だけでなく中等部からも。

 文庫から聞いた限りでは、かなり有名な話だったようだ。


「やーくんってほら、あの体質があるじゃない?」


「あーあの、都市伝説レベルの女性アレルギーね。あれ、阿形さんと一緒に検証したとき、すっごく楽しかったわねー」


 鈴子はおもしろがって、それこそ人体実験と行ってもおかしくないほど、何度も何度も検証を行った。

 それを千鶴も立ち会ったから十分に知っている。


「りーんーこーちゃーん?」


「はいはい。でもほら、相手には気づかれないうちに治っちゃうわけじゃない?」


「そうなのよね……」


「だからさ、こう、一万光年以上離れた場所で、タイムラグが発生してるうちに、現地妻なんてできちゃってたら、どうする? 数百人にひとりくらい、大丈夫な人がいるかもだし? そうなったら一八くんだって気を許しちゃうかもしれないでしょ?」


「……困るけど、もしやーくんを助けてくれているなら」


「うん」


「一人までなら許すわ」


「おー、さすが本妻の貫禄だわ」


 一八が高等部を卒業し、大学へ通うようになったら、千鶴は一八を婿に迎えるつもりでいたのだ。


「こっちの法律じゃないんだから、もしかしたらあちらは一夫多妻制かもしれないんだよ? 一人で済めばいんだけどね?」


「りーんーこーちゃーん?」


「あははは」



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