第6.5話 ツンデレ剣士リアナ(おまけ)
「……え、ここに泊まってるの? すごく落ち着いた雰囲気ね」
リアナは木造の小さな宿《こもれび亭》を見上げながらつぶやいた。
窓からはあたたかな灯りがこぼれ、外には花の鉢植えが並んでいる。
鎧姿の彼女には少し場違いに思えるほど、穏やかな空気が漂っていた。
「うん。人も少ないし、静かで好きなんだ~」
ミミが満面の笑みで答える。
その“人も少ない”の一言に、カウンターの奥で帳簿をつけていた女将の眉がぴくりと上がった。
「ふふっ……いいかも。こんな場所で、のんびり朝ごはん食べてみたいな」
「ねえ、リアナちゃんって……今日まだ宿、決めてないんだよね?」
「え? ああ、うん……急だったから。実はまだなんです」
「じゃあ! 今夜はここに泊まろ!
っていうか、この村だとここしかないし! すごくいいところだし、ごはんもおいしいし!」
ミミは勢いよく手を取って揺らす。リアナは少し戸惑いながらも、頬を緩めた。
「そう……? じゃあ、お願いしちゃおうかな」
「やった! 女将さん、リアナちゃんも泊まれるよね?」
「ええ、客が増える分には大歓迎さね」
その夜、三人は軽く夕食を済ませると、セイの部屋とは別に、ミミとリアナが二人でひと部屋を借りることになった。
木の香りが残る清潔な室内。ふかふかの布団が二組敷かれ、窓の外から虫の声が心地よく響いてくる。
「わぁ……ふかふか!」
ミミは子どものように布団へ飛び込んだ。
「ちょ、ちょっとミミさん!? いきなり……」
「ふへへ……リアナちゃんもおいでよ~」
「ミミさんって、ほんと自由ですね……でも、悪くないかも」
リアナも少し照れながら布団に腰を下ろし、並んで横になる。
天井を見上げながら、二人はぽつぽつと話し始めた。
「ねぇ、リアナちゃん」
「何ですか?」
「今日、やっぱり怖かった? あの魔獣……」
「……はい。怖かったです。助けが来なかったらと思うと、足が震えました」
「わたしも、怖かった。でも、リアナちゃんを見て、頑張らなきゃって思ったんだ」
「ミミさん……」
しばらく沈黙が流れる。
「ミミさんって、ほんとに不思議な人ですね」
「えっ、変な意味?」
「違います。ただ……癒しの力もあるし、それ以上に……一緒にいると落ち着くんです」
「わたしも! リアナちゃんとお話してると安心するの。ね、明日もいっぱいおしゃべりしよ!」
「……うん。楽しみにしてます」
二人は笑い合い、やがて穏やかな呼吸が部屋に広がっていった。
◇ ◇ ◇
翌朝。
「……んぅ、ふぁぁ……よく寝たのう……」
セイは寝ぼけ眼で布団から起き上がる。ところが、違和感を覚えて隣に目をやった。
「……ん? なんでおぬしがおるんじゃ……?」
そこには、ミミが小さく丸まって、セイの布団にすっぽりと潜り込んでいた。
「……むにゃ……セイ、ぬくい……」
「いや、そういう問題ではなかろう……まったく」
セイは肩を落としつつも、ほんの少しだけ頬を緩ませた。
(ま、こういうのも悪くはないかの……)
そのころ、隣室では――
「……あれ? ミミさん、どこにいっちゃったの……?」
リアナが寝起きのぼさぼさ頭で、布団の上にちょこんと座っていた。
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▼ステータス情報
【名前】セイ
【年齢】25(肉体年齢)
【職業】テンプレ詰め込み勇者
【レベル】7
【スキル】生活知識大全/魔法知識大全/発想展開/世界法則書き換え/時間停止/運命介入/魅了体質/加齢無効/無限成長/強制ハーレム誘導/おじいちゃんの優しさ(ヒロイン全員好感度+100)/威圧/加速支援/魔法適性鑑定
【同行者】
・ミミ(記憶喪失の少女/推定15歳)
- 好感度:中(勝手に布団に潜り込むくらいには信頼)
- 能力傾向:回復系(未覚醒)/ヒーラー適性あり
- 状態:衣服・装備も整い、冒険の準備はひとまず完了(直近の依頼報酬にて)
- 補足:リアナと友達に。女子会的交流イベントが発生中。
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