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第52話 リューディアの森

 順調に思えた旅路も、二日目の朝には空模様が一変した。

 正午を過ぎるころには土砂降りとなり、轟音とともに大粒の雨が幌を叩きつける。


 屋根付きのはずの馬車も役に立たず、継ぎ目からは容赦なく水が滴り落ちていた。

 座席のあちこちに染みが広がり、乗客たちは肩を寄せ合い、濡れた袖を気にして身を縮める。


「うわっ、すごい雨……」


 ミミが思わず声を上げ、肩をすくめた。


「これは想定外ですね……」


 リアナも眉をひそめ、濡れた髪を軽く払う。


「この先に《リューディアの森》があります! そこで少し雨宿りいたしましょう!」


 御者が声を張り上げ、馬車は大きく揺れながら森へと進んだ。


 木々の影に入ると、幌を叩く雨音がいくぶん遠のく。

 やがて広い空き地に馬車が止まり、一行は濡れた足取りで外へ出た。


 雨に濡れた葉が揺れる音と、かすかな鳥の声。

 幌の下にいた時よりも、空気はひんやりと肌に触れる。


 カイルは濡れた外套の裾を軽く絞り、肩の水滴を払った。


「はぁ……びしょ濡れだな」


 苦笑しながら空を見上げる。

 木々の隙間から落ちる雨は、先ほどよりも少し弱まっていた。


「このままじっとしてても体が冷えそうだ……」


 そう言って視線を戻し、木陰で休むセイたちへ目を向ける。


「せっかくだし……少し森を見て回りませんか?」


 カイルの言葉に、ジンは腰の剣を確かめ、メリサも肩をすくめて後に続いた。


「いや、ワシらはここで休んでおるよ」


「そうですか。じゃあ、また後ほど」


 短いやり取りの後、三人は木々の間へと姿を消していった。


 残された一行は、濡れた服を気にしながらその場に腰を下ろす。

 じっとしていると、衣服が肌に張りつき、落ち着かない。


「うぅ……冷たい……」


 ミミが袖をぎゅっと絞る。


「風邪ひかないようにしないとだね」


「……ミミさん、服を乾かす魔法はないんですか?」


 リアナが半ば本気で尋ねる。


「ないなあ。セイ、何か知らない?」


「うむ。ちと調べてみるか――スキル《魔法知識大全》」


(服を乾かす魔法:該当なし)


「うーん。ワシの知識にはないようじゃの」


 ミミが肩を落とす。


「じゃあさ! エリシアちゃん、風を起こす魔法はある?」


「ありますけど……」


 エリシアは苦笑して首を振った。


「でも、着たまま乾かしたら体温まで奪われますよ? それこそ風邪をひいてしまいます」


「だめかぁ。残念」


 ミミは口を尖らせ、肩を落とす。


「セイはともかく、私たちがここで着替えるわけにもいきませんし……乾くのを待つしかないですね」


 リアナが小さくため息をついた。


 しばしの沈黙。

 雨音だけが、一定のリズムで森に響く。


 セイがふと顔を上げた。


「そういえば……カイルたち、戻ってこんのう。大丈夫か?」


「たしかに……遅すぎるわね」


 リアナがわずかに表情を曇らせる。


 エリシアも小さく呟いた。


「そんなに奥までは行ってないと思うのですが……少し、見に行ったほうが良いでしょうか?」


 セイは静かに頷き、立ち上がった。


「よし。ワシらも様子を確かめに行くぞ」


 御者に歩み寄り、低く告げる。


「仲間が戻らん。少し探してくる。ここで待っていてくれ」


「……かしこまりました。お気をつけて」


 御者は帽子のつばから滴る雨を拭い、真剣な面持ちで頷いた。


 一行は視線を交わし、濡れた枝葉をかき分けて森の奥へ進む。

 頭上の木々が雨を受け止め、しとしとと滴が落ちる。

 ぬかるんだ土が靴底にまとわりつき、歩みは自然と重くなっていった。


「……何かあったのかなぁ?」


 ミミが泥を振り払うように、前かがみで足をぶらぶらさせる。


「ただ遅れているだけなら良いのですが……」


 エリシアは静かに答え、森の奥へと視線を向けた。


「クリムゾン・ジャッジメント……名前はふざけてますが、ランクはたしかBだったはず」


 リアナが眉をひそめる。


「えー、名前かっこいいじゃん」


 ミミは楽しげに笑う。


「えっ……まあ、ミミさんがそう言うなら……かっこいいです」


 リアナは慌てて言葉を継ぎ、顔を逸らした。


「リアナ、おぬしミミに弱みでも握られとるんか?」


「そっ、そんなわけないじゃない! ないわよ、そう、ないない!」


 ミミは首をかしげ、不思議そうに二人のやり取りを見ていた。


 だが森の奥へ進むにつれ、耳に届く雨音は次第に薄れていき……

 代わりに、冷たい雨の森には似つかわしくないほど甘やかな花の香りが、濃く漂い始めていた。



────────────────

 ▼ステータス情報


【名前】セイ

【年齢】25(肉体年齢)

【職業】テンプレ詰め込み勇者

【レベル】34

【スキル】生活知識大全/魔法知識大全/発想展開/世界法則書き換え/時間停止/運命介入/魅了体質/加齢無効/無限成長/強制ハーレム誘導/おじいちゃんの優しさ(ヒロイン全員好感度+100)/威圧/加速支援/魔法適性鑑定/精霊感応/状態異常回復/索敵


【同行者】

 ・ミミ(記憶喪失の少女/推定15歳)

 - 好感度:好き

 - 能力傾向:回復系(第一段階覚醒済)/ヒーラー適性あり

 - 状態:旅人風の白いワンピースを装備。衣服濡れ(軽)薄布の肌への張りつき

 - 補足:天然な振る舞いでリアナを(無自覚に)圧倒し始めている


 ・リアナ(元騎士団の見習い/19歳)

 - 好感度:好き

 - 能力傾向:攻撃系(雷・風属性)/貫通・麻痺・加速タイプ

 - 状態:黒を基調とした剣士風ドレスを装備。衣服濡れ(中)濡れた上着が体の線を際立たせている

 - 補足:ミミの純粋な称賛に弱く、強く出られない自分に戸惑っている


 ・エリシア(元聖女様/24歳)

 - 好感度:かなり高

 - 能力傾向:支援・結界・祈祷(神聖属性)

 - 状態:青と白のシスターっぽい洋服を装備。衣服濡れ(軽)白衣が透けてしまったため、馬車の陰でこっそり着替え済み

 - 補足:ミミやリアナの言動から、自分が落ち着いて支えてあげなければと思った


最後まで読んでいただき、ありがとうございます!


もし少しでも「面白い」「続きが気になる」と思っていただけましたら、

ブックマークや感想で応援していただけると嬉しいです。泣いて喜びます。


もちろん「面白くなかった」などのご意見も大歓迎です!

しっかり次につなげるべく、泣きながら執筆します。


それと、本作とは少し雰囲気の違う シリアス寄りのファンタジー作品

『暁のアストラニア』( https://ncode.syosetu.com/n2326kx/ )もぜひぜひ!


気分転換に「じっくり読める作品が欲しいな」と思ったときにでも、

ふらっと覗いていただけたら、すごく嬉しいです。


皆さまの感想が、何よりのモチベーションです。

それでは、次回もぜひよろしくお願いします!

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