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第37話 Dランクの依頼

「じゃが、今のワシらでは、ダルセナどころかレオナードにすら太刀打ちできん」


 その日から、いや翌日から、セイたちは本格的に討伐依頼に取り組み始めた。

 まずはギルドに掲示されたDランク依頼の中から、比較的取り組みやすいものを選び、着実に実績を積んでいく。


 ◇ ◇ ◇


【迷惑ヒグマの討伐】


 農村近くの畑を荒らす巨大ヒグマの討伐依頼を受け、セイたちは現地へ向かった。


「ただの獣じゃろ。魔物に比べりゃ楽なもんじゃわい」


 そう気楽に構えていたが、現れたヒグマは予想を超える俊敏さと凶暴さを兼ね備えていた。

 不意を突かれ、リアナが転倒し、一行は後退を余儀なくされる。


「なにこれっ……セイ、これ本当にただの獣なの!?」


 地面に手をつきながら、リアナが叫ぶ。


「……ぬぅ、最近のヒグマはやけに育ちが良いのう」


 セイは額に汗をにじませ、剣を構え直した。


「来るよっ!」


 ミミの声とほぼ同時に、ヒグマが唸り声を上げて再び突進してくる。

 まだ体勢を立て直せていないリアナに向かって一直線――その瞬間、ミミが両手を前に差し出した。


 小さな魔法陣が浮かび、リアナの前に半透明の結界が浮かび上がる。


「リアナちゃん、これで少しは時間稼ぎできるよっ!」


 突進を弾かれ、ヒグマが一瞬ひるむ。その隙にリアナが跳ね起きた。


「助かりました、ミミさん……ありがとう!」


 雷をまとった刃が一閃。ヒグマの肩に突き刺さり、巨体がびくんと震えて動きが鈍る。


「今よ、セイっ!」


「よし、任せい!」


 掛け声と同時に、セイが一気に間合いを詰めた。


 踏み込みと同時に放った一撃が、ヒグマの喉元を正確に捉える。

 深く入った斬撃が巨体を貫き――咆哮を上げる間もなく、ヒグマはどさりと崩れ落ちた。


「このクマのお肉……持って帰れないかなぁ?」


「えっ……もしかして食べる気ですか?」


「だって……なんかもったいないじゃん」


 ◇ ◇ ◇


【森のスライム群討伐】


 郊外の森にある水源地帯で、スライムが異常発生しているとの情報が寄せられていた。

 放置すれば村の水源が汚染されかねないため、セイたちは討伐依頼を受ける。


 現地に到着し、森の奥へ足を踏み入れると、そこには想像以上の数のスライムが這い回っていた。


「うわ……思ってたよりずっと多いね……」


 ミミが足元にうごめく群れを見下ろして声を漏らす。


「数が多すぎじゃのう。ちまちま相手するのは面倒じゃ」


 セイたちは森の地形とスライムの動きを確認し、手早く作戦を立てる。

 前衛はセイとリアナでスライムを誘導。ミミは後方で補助、エリシアは中心で聖なる魔法による“浄化”を担当することになった。


 ぬるぬると這い寄るスライムたちは、一体ずつはさほどの脅威ではないが、数が多く、足元は粘液で滑りやすい。

 リアナが剣を振るうたび、跳ねた粘液が服や髪にべったりと張りつく。


「……もう最悪。服の中までぬるぬるでベトベトだわ……」


 嫌そうに眉をひそめるリアナに、エリシアの柔らかな声が響いた。


「聖なる力、届いてください――浄化」


 瞬間、聖なる光が森の一角を包み込む。

 光に触れたスライムは淡く輝き、そのまま水となって地面にしみ込んでいった。


「すご……あんなにいたのが、全部水になっちゃった……?」


 ミミが感嘆の声を漏らす中、スライムの数は徐々に減っていく。

 最終的には、リアナとセイが誘導した群れをエリシアの浄化魔法でまとめて消し去った。


「リアナちゃん、その服のべとべとも、エリシアちゃんに浄化してもらいなよ」


「いや、それ服ごと消えちゃわないですよね……?」


「大丈夫、大丈夫。消えちゃってもわたしが隠してあげるから」


「全然大丈夫じゃないっ!」


 ◇ ◇ ◇


【洞窟コウモリの巣潰し】


 山中の旧鉱山跡に、大型の洞窟コウモリが巣を作っているとの情報が届いた。

 作業再開を目指す鉱夫たちの安全確保のため、セイたちは早期の駆除依頼を受ける。


 現地に到着した一行は、崩れかけた坑道の入口から慎重に進む。

 ひんやりとした空気の中、天井付近には、無数の黒い影がぶら下がっていた。


「……飛び回る相手は、ちょっと厄介かもしれませんね」


 エリシアがそう呟いた直後、わずかな足音に反応して洞窟コウモリたちが一斉に羽ばたいた。

 甲高い鳴き声とともに、群れが襲いかかる。


「来た! 数も多いよっ!」


 ミミはすぐに両手をかざし、全員を覆う大きな結界を展開。

 無数のコウモリが光の膜に次々衝突し、洞窟内に羽音が響き渡る。


「リアナ、こやつら麻痺攻撃でなんとかならんのか?」


「いやいや、数が多すぎて追いつかないってば!」


 リアナは即座に言い返し、剣を構え直す。


「……あの、もしよろしければ……この子たちには、眠ってもらいませんか? その間に巣だけでも壊せれば」


 提案したのはエリシアだった。


「エリシアさん、そんな魔法も持ってるんですか?」


 リアナの問いに、エリシアはやわらかく微笑んだ。


「魔法というか……歌なんです」


 そう前置きして、エリシアは子守唄を口ずさみ始める。

 その旋律は不思議と洞窟内に響き渡り、しばらくすると羽ばたいていたコウモリたちがバタバタと地面に落ち始めた。


 すべてのコウモリが横たわったころ、セイが首を傾げる。


「……む? ミミが見当たらんのじゃが」


 振り返ると、そこにはぺたりと腰を下ろし、すぅすぅと寝息を立てるミミの姿があった。


「あら……ミミさんまで眠ってしまいましたね」


「まったく……おぬしまで寝ることはなかろうに」


 セイは苦笑しつつ肩をすくめ、ゆるく首を回して息を整える。


「ま、ミミはあとで回収するとして――巣を片付けるぞ」


 リアナとエリシアはうなずき、それぞれ道具を手に取り、壁面に張り付いた巣の撤去に取りかかった。


 すべての巣を片付け終えたころには、外はすでに日が傾きかけていた。


 ◇


 帰り道、熟睡するミミをリアナは背負って歩いていた。


 やがて、村の輪郭が見え始める。


「ミミさん、もう村が見えてますよ……そろそろ起きてください」


 リアナの背におぶさったまま、ミミはぴくりとも動かない。

 むしろここぞとばかりに、気持ちよさそうな寝息をすぅすぅと立てていた。


「……聞こえてるでしょ、絶対」


「すぴー、すぴー……くぷっ」


「もうっ。帰ったら絶対に肩、揉んでもらいますからねっ!」



 ────────────────

 ▼ステータス情報


【名前】セイ

【年齢】25(肉体年齢)

【職業】テンプレ詰め込み勇者

【レベル】23(+2)

【スキル】生活知識大全/魔法知識大全/発想展開/世界法則書き換え/時間停止/運命介入/魅了体質/加齢無効/無限成長/強制ハーレム誘導/おじいちゃんの優しさ(ヒロイン全員好感度+100)/威圧/加速支援/魔法適性鑑定/精霊感応/状態異常回復


【同行者】

 ・ミミ(記憶喪失の少女/推定15歳)

 - 好感度:かなり高(バタバタ魔物をやっつける姿にちょっと憧れ)

 - 能力傾向:回復系(第一段階覚醒済)/ヒーラー適性あり

 - 状態:旅人風の白いワンピースを装備。討伐続きの疲労をリアナの背中でぐっすり眠って完全回復

 - 補足:家に帰った後、ちゃんとリアナの肩をもんであげてご機嫌をとるあたりは、さすがといったところ


 ・リアナ(元騎士団の見習い/19歳)

 - 好感度:かなり高(実戦での連携が板についてきた)

 - 能力傾向:攻撃系(雷・風属性)/貫通・麻痺・加速タイプ

 - 状態:結構高そうな銀の胸当てを装備。討伐依頼続きで少しお疲れ気味

 - 補足:スライム戦で服についたぬるぬるは洗っても取れなかったらしい。結局、新しい服を買う羽目に……


 ・エリシア(元聖女様/24歳)

 - 好感度:高め(依頼を通して信頼が深まっている)

 - 能力傾向:支援・結界・祈祷(神聖属性)

 - 状態:青と白のシスターっぽい洋服を装備。討伐依頼続きで少しお疲れ気味

 - 補足:スライムにも浄化って効くんだと実は本人が一番びっくりしてたのは秘密


最後まで読んでいただき、ありがとうございます!


もし少しでも「面白い」「続きが気になる」と思っていただけましたら、

ブックマークや感想で応援していただけると嬉しいです。泣いて喜びます。


もちろん「面白くなかった」などのご意見も大歓迎です!

しっかり次につなげるべく、泣きながら執筆します。


それと、本作とは少し雰囲気の違う シリアス寄りのファンタジー作品

『暁のアストラニア』( https://ncode.syosetu.com/n2326kx/ )もぜひぜひ!


気分転換に「じっくり読める作品が欲しいな」と思ったときにでも、

ふらっと覗いていただけたら、すごく嬉しいです。


皆さまの感想が、何よりのモチベーションです。

それでは、次回もぜひよろしくお願いします!

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