第36話 あらたな決意
Dランク昇格試験を終え、王都から帰還した翌朝。
一行は昇格報告のため、ギルドを訪れた。
朝の光が差し込む中、扉を開けると、受付のカレンが顔を上げ、柔らかく微笑む。
「おかえりなさい、『キラキラ☆おひさま団』のみなさん。試験、本当にお疲れさまでした」
「……そのパーティ名、何度呼ばれても慣れる気がせんのう……」
セイは肩をすくめ、小さくため息をつく。
「いえいえ、一度聞いたら忘れられない素敵なお名前ですっ!」
「そう言いながら、最初は“キラキラ☆”を省いておったではないか」
セイの指摘に、カレンはわずかに視線を泳がせた。
「さて、王都支部からも連絡が入っています。姉のマリナも、『勇者様ご一行にお会いできて光栄でした』と喜んでいましたよ」
「まあええ。王都から連絡が入っとるということは、魔王四天王とやらの封印が解かれた件も、もう伝わっとるな?」
「はい。私の方では詳細までは聞いていませんが、報告は上がっています」
「となると、またギルドマスターのアルトと話す必要があるのか……?」
少しげんなりと問いかけると、カレンは首を横に振る。
「いいえ。そのあたりはヴァイルさんからアルトさんへ直接伝わっています。ですので今回は、事情聴取のようなものはありません」
「……そうか。なら助かる」
ほっと息をつくセイを見て、カレンは一枚の書類を取り出した。
「では、Dランクとして正式に登録を更新いたします。代表者の方、こちらにサインをお願いします」
「うむ。……ん? そういえば、Eランクのときはこんな書類、書いた覚えがないような……?」
羽ペンを受け取りながら首をひねると、カレンがくすりと笑う。
「ふふ、Eランクまでは各ギルドの裁量で運用されていますので、こうした形式的な書類は省略されることが多いんです」
「なるほどのう。……まあ、いちいち書くのも手間じゃしな」
「ええ、正直なところ――面倒ですから」
あっけらかんと言ってのけるカレンに、セイは思わず吹き出しそうになる。
「……カレン、意外と本音で言うんじゃのう」
笑いながらさらさらとサインを書き終え、用紙を手渡す。
「ほれ、これでええかの?」
「はい、ありがとうございます。これでDランクへの更新は完了です」
書類を受け取るカレンを見ながら、セイはふと首をかしげた。
「そういえば……今さらじゃが、この“ランク”はどういう基準で決まっとるんじゃ?」
「と、いいますと?」
「いやな、ダルセナが復活したときに逃げてきた試験官が『Aランクでも歯が立たん』と怯えておったが……」
「はい。その通りです。ギルドのランクは、冒険者個人またはパーティの総合的な能力――戦闘力、技能、協調性、実績などを基準に、FからSまでの七段階で評価されています」
カレンは指を立てて説明する。
「Fから始まり、E、D、C、B、A、そして最上位がSです。一般的な討伐依頼ならCランクで十分ですが、魔王四天王クラスほどの脅威となれば、Aランクでも命がいくつあっても足りません」
「ふむ……。しかし、この村でSランクなど見たこともないぞ?」
「当然です。Sランクは極めて希少ですから。過去に数名の記録はありますが……現在、ルキア村にSランクパーティの常駐はありません」
「そうなんか。では、この村で一番はAランクということか」
「はい。現在、このルキア村で最上位なのは、Aランクパーティが二組、Bランクパーティが三組、個人のBランク冒険者が二名です。
あっ、ドルクさんにはお会いになりましたよね?」
「ああ、あの熊みたいな大男じゃろ? たしかギルドの顔と言っておったかのう」
「ええ。見た目はああですが人当たりも良くて……そのギャップに当てられた隠れファンクラブもあるらしいですよ」
「うそじゃろ?」
「……冗談です」
軽く笑ってから、カレンは表情を引き締める。
「とはいえ、本部や王都などの大規模支部には、現在もSランクパーティが存在します。
本部にはSランクパーティが二組と、Sランク冒険者が一名。
王都支部にはSランク冒険者はいませんが、Sランクパーティが一組――ヴァイルさんの所属するパーティがその一組です」
「なんと……あやつ、ただ者ではないと思っておったが、本当にすごいやつだったか」
セイは目を見開き、感心したようにうなずく。
「Dランクのワシらとは、まだまだ大きな差があるようじゃのう」
「いえいえ、何をおっしゃいますか!」
カレンがいつになく強い口調で続ける。
「今回のみなさんの活躍も、決して劣るものではありません。魔王四天王の一人と対峙し、無傷で帰還されたのですよ? 本当にすごいことです、セイさん」
「いや、それには……いろいろと事情があってのう」
照れくさそうに頭をかくセイに、カレンは「それでも、です」ときっぱり言って、ふいに表情を引き締めた。
「――ダルセナが復活したということは、他の四天王も既に活動を始めていると見て間違いありません。アルトさんが、セイさんにそう伝えてほしいと」
その言葉に、場の空気が張り詰める。
「魔王の復活も、もはや時間の問題かもしれません。セイさん。これからも、どうかお願いします」
まっすぐな視線を受け、セイは気まずそうに肩をすくめた。
「おいおい……ワシにそんな期待されても、荷が重いぞ」
すると、隣のミミがセイの袖をきゅっとつまむ。
「でもでも、セイなら大丈夫だよ。わたしが信じてる、いちばん頼れる勇者さまなんだから」
「ふふっ、確かにね」
リアナが肩をすくめて笑う。
「なんだかんだ言って、やるときはちゃんとやってくれるんだもの。だから――私も信じてるわよ、セイ」
エリシアも柔らかく言葉を添える。
「私も……信じております、セイさん。どんな困難でも、私たちならきっと乗り越えられます」
三人に囲まれ、セイはぽりぽりと頬をかいた。
「まったく……気軽にプレッシャーをかけおって」
そう言いながらも、表情はどこか柔らかい。
仲間たちの顔を順に見渡し、少しだけ真面目な声になる。
「とはいえ、今のワシらではダルセナどころか、レオナードにも太刀打ちできん。
これからはレベルアップを目指し、積極的に依頼を受けていくぞ」
その決意に、ミミ、リアナ、エリシアの声が揃う。
「うんっ!」
「了解よ!」
「はい!」
こうして、“キラキラ☆おひさま団(Dランク)”の新たな冒険が、また一歩、動き始めたのだった。
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▼ステータス情報
【名前】セイ
【年齢】25(肉体年齢)
【職業】テンプレ詰め込み勇者
【レベル】21
【スキル】生活知識大全/魔法知識大全/発想展開/世界法則書き換え/時間停止/運命介入/魅了体質/加齢無効/無限成長/強制ハーレム誘導/おじいちゃんの優しさ(ヒロイン全員好感度+100)/威圧/加速支援/魔法適性鑑定/精霊感応/状態異常回復
【同行者】
・ミミ(記憶喪失の少女/推定15歳)
- 好感度:かなり高(セイは頼れる勇者様)
- 能力傾向:回復系(第一段階覚醒済)/ヒーラー適性あり
- 状態:旅人風の白いワンピースを装備。ひと晩しっかり寝て体力回復
- 補足:ドルクさんって誰だったっけ?と、ちょっと記憶があやふや
・リアナ(元騎士団の見習い/19歳)
- 好感度:高(しっかりと信頼を表明)
- 能力傾向:攻撃系(雷・風属性)/貫通・麻痺・加速タイプ
- 状態:結構高そうな銀の胸当てを装備。ひと晩しっかり寝て体力回復
- 補足:ヴァイルさん、そんなにすごい人だったんだ……と今さらながら少し驚いてる
・エリシア(元聖女様/24歳)
- 好感度:かなり高(しっかりと信頼を表明)
- 能力傾向:支援・結界・祈祷(神聖属性)
- 状態:青と白のシスターっぽい洋服を装備。ひと晩しっかり寝て体力回復
- 補足:王都でセイとお酒を一緒にできなかったことだけが、少し心残り
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