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第34話 王城内見学ツアー

 王都アストリオ――中心街から少し離れた宿。


 部屋のテーブルを囲み、一行はひと息ついていた。


「さて……午後はどうするかの? 王都は広いし、せっかく来たからには、いろいろ見て回りたいところじゃが」


 セイがそう切り出すと、待ってましたとばかりにミミが身を乗り出す。


「お城! お城が見たいっ! 高いところに登って、ばーん!って街が見渡せるところとかっ!」


「それなら、観光用の見学コースがあるってギルドで聞きました。お城の展望台から、町を見渡せるらしいですよ」


 リアナがガイド冊子をめくりながら補足する。

 すると隣でエリシアが控えめに手を挙げた。


「……あの、もしお城に行くなら……王城礼拝堂を見てみたいです。とても壮麗で、厳かな雰囲気があると聞いて……大礼拝堂とは、また違った趣があるそうで」


「いいですね! 礼拝堂も見学コースに含まれてるみたいですよ。

 基本、外からの見学にはなるみたいですが、一部は立ち入りも許可されてるみたいです」


 リアナはページをめくりながら答える。

 しばらく眺めていたリアナの指が、ある項目でふと止まった。


「……あっ! ここ……!」


 指差した先には、《王国騎士団の儀礼装備展示室》と記されていた。


「ここ、行ってみたい! 歴代の騎士団が式典で使ってきた鎧や剣が展示されているらしくて……子供の頃から、こういうのに憧れてたんです」


「うんっ、いいね! いこいこっ!」


 三人の希望が出そろい、自然と視線がセイに集まる。

 セイは嬉しそうな顔ぶれにうなずき、満足げに手を打った。


「よし、ならば決まりじゃな! 午後は王城の場内見学ツアーじゃ!」


 こうして一行は、王城の見学ツアーへと向かうことになった。


 ◇


 王都中心部にそびえる王城は、白亜の城壁が街を見下ろす堂々たる姿を見せていた。

 受付前の広場には、見学ツアーの参加者たちが次々と集まっている。


「わあっ……でっかい! ほんとに入っていいのこれ!?」


 ミミは目をまんまるにして、首が痛くなりそうなほど見上げていた。


「お城全部を見れるわけではないですが、貴族や来賓が通る儀礼通路や礼拝堂、展望台なんかは回れるみたいですね」


 リアナが得意げに冊子を掲げたところへ、係員が近づいてきて声をかける。


「はい、見学ツアーは間もなく出発いたします。くれぐれも展示物や壁には触れないようお願いいたしますねー」


「分かってはいるのですが……触るなって言われると、逆に触りたくなりますよね……」


 エリシアがぽつりと呟く。

 ミミも「だよね、わたしも一緒」と小さく頷いていた。


「おぬしら、フラグを立てるでないぞ……!」


 セイの忠告もむなしく、一行は案内係の後について城内へと足を踏み入れる。


 最初に通されたのは、貴族の謁見に使われる赤絨毯の敷かれた長い回廊だった。

 天井は高く、左右の壁には歴代の王と思しき肖像画がずらりと並んでいる。


「うわーっ! これ、端から端まで走ったら、どれくらいかかるんだろうね?」


 広さに圧倒された様子で、ミミが目を輝かせたその瞬間――

 リアナが即座に腕をつかんだ。


「ダメです! 絶対怒られますからね!」


「分かってるよぅ。もうっ、リアナちゃんは心配性だなあ」


 軽く頬を膨らませるミミをよそに、一行は次の部屋へと進む。


 続いて現れたのは、騎士団の儀礼装備が並ぶ展示室だった。

 磨き上げられた鎧に剣、紋章入りのマント――ガラス越しでも、長い歴史の重みが伝わってくる。


「すごい……これ、第一王国騎士団の正礼装……!」


 思わず息を呑み、リアナの表情がぱっと明るくなる。


 その横で、ミミが無意識のまま鎧に手を伸ばしかけ――


「うぉい、だから触るなと言われたばかりじゃろ!」


 セイが即座にミミの手首をつかまえた。


「へへ……あまりにキレイだったからさ。ごめんごめん」


 係員の冷たい視線を浴びつつも、なんとかその場をやり過ごす。


 やがて一行は、エリシア念願の王城礼拝堂へと案内された。


 白と金を基調とした神聖な空間。

 高くそびえる柱のあいだから、柔らかな光が差し込んでいる。


「……ほんとうに、静かで……優雅で……」


 エリシアはそっと手を組み、静かに祈りを捧げ始めた。


 その背後で、ミミが床にしゃがみ込み、小声で囁く。


「ねえセイ……ここの床、めっちゃひんやりして気持ちいいよ……」


「拝礼中に床でくつろぐでない!!」


 セイのツッコミが、静まり返った礼拝堂にむなしく響き渡った。

 周囲の視線が一斉に突き刺さる。

 セイは咳払いを一つすると、何事もなかったかのようにミミの襟元をつかみ、ずるずると引きずりながらその場をあとにした。


 最後に向かった展望回廊からは、王都の街並みが一望できた。

 心地よい風が吹き抜け、ミミは両手を広げて空を仰ぐ。


「わーっ! ほんとに、街ぜんぶが見渡せるねっ!」


「いい景色ですね……こうして見ると、やっぱり王都ってすごいところです」


 ミミの無邪気な姿に、リアナもつられて微笑む。


「こうして眺めると、わざわざ来た甲斐があったもんじゃのう」


「うんっ! やっぱりみんなとこうやって来れて、ほんとに良かったって思うよ!」


「私もです……こんな景色が見られるなんて……」


 見下ろす街並みに目を奪われ、しばし景色を堪能した一行は、名残惜しさを抱えつつツアーの終点へと向かった。


 見学を終えて王城を出る頃には、日はすでに西へと傾き始めていた。


「はあ~、楽しかったねぇ。あんなに歩いたのに、まだまだ歩けそうな気がするよ!」


 ミミが満足そうに伸びをしながら言うと、リアナが苦笑しながらも頷く。


「でも、今夜はしっかり休みましょう。明日は朝から移動ですし」


「……そうですね。王都、名残惜しいですけど」


「では、ひとまず宿に戻って明日の支度じゃな。土産話もたんまりできたしのう」


 セイの言葉にうなずき、四人は夕暮れの街を歩き出す。

 石畳には、長く伸びた影が重なっていた。


 ──こうして、王城見学ツアーは無事に幕を閉じた。


「さて……明日は、ルキア村へ帰るぞ」



────────────────

▼ステータス情報


【名前】セイ

【年齢】25(肉体年齢)

【職業】テンプレ詰め込み勇者

【レベル】21

【スキル】生活知識大全/魔法知識大全/発想展開/世界法則書き換え/時間停止/運命介入/魅了体質/加齢無効/無限成長/強制ハーレム誘導/おじいちゃんの優しさ(ヒロイン全員好感度+100)/威圧/加速支援/魔法適性鑑定/精霊感応/状態異常回復


【同行者】

 ・ミミ(記憶喪失の少女/推定15歳)

 - 好感度:かなり高

 - 能力傾向:回復系(第一段階覚醒済)/ヒーラー適性あり

 - 状態:旅人風の白いワンピースを装備。王城の展望台からの景色を眺め気分もリフレッシュ

 - 補足:多分ひとりで展示物の見学はいかせられない。本人はこれでも気を付けてるつもりのようだ


 ・リアナ(元騎士団の見習い/19歳)

 - 好感度:高

 - 能力傾向:攻撃系(雷・風属性)/貫通・麻痺・加速タイプ

 - 状態:結構高そうな銀の胸当てを装備。王城で見たかったものを見れて大満足。気分上々

 - 補足:騎士団の儀礼装備を前に、興奮しすぎていろいろ大変だったのはひみつ


 ・エリシア(元聖女様/24歳)

 - 好感度:かなり高

 - 能力傾向:支援・結界・祈祷(神聖属性)

 - 状態:青と白のシスターっぽい洋服を装備。王城礼拝堂で気持ち穏やか

 - 補足:王城礼拝堂の壮麗かつ厳かな雰囲気に飲まれながらも、祈りの気持ちは忘れない


最後まで読んでいただき、ありがとうございます!


もし少しでも「面白い」「続きが気になる」と思っていただけましたら、

ブックマークや感想で応援していただけると嬉しいです。泣いて喜びます。


もちろん「面白くなかった」などのご意見も大歓迎です!

しっかり次につなげるべく、泣きながら執筆します。


それと、本作とは少し雰囲気の違う シリアス寄りのファンタジー作品

『暁のアストラニア』( https://ncode.syosetu.com/n2326kx/ )もぜひぜひ!


気分転換に「じっくり読める作品が欲しいな」と思ったときにでも、

ふらっと覗いていただけたら、すごく嬉しいです。


皆さまの感想が、何よりのモチベーションです。

それでは、次回もぜひよろしくお願いします!

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